たけし

たけしと生活研究会

2019年07月26日18:24 久保田翠ブログ「あなたのありのままがいい」から

「親なき後をぶっ壊せ」というブログ文章を書いたのはもう1年ほど前になる。
20歳を過ぎた重度障害者の我が息子、たけしとの生活で感じてきたことを綴っている。
二十歳を過ぎた青年が親と生活したいだろうか(多分したくはないだろう。私だっていやだ)
家族は「自分に代わる支援者」を望む。しかし、そもそも家族に代わる支援者なんているのだろうか。それよりも「ともだち」でいいじゃないか。
介護も、子育ても、障害者も全部家族支援を基本としてていて、家族に負わせているもの大きすぎやしないか。
障害者の人権は擁護されても、家族の人権はどこに行ったのか・・・。
などなどを書いている。

私はかれこれ30年近く「子ども」のいる生活をしてきた。毎日ご飯をつくって、食べさせて、掃除して、洗濯して、世話をして、介護して・・・。
それを、毎日繰り返している。
時々にいろいろなトピックはあるが基本はその生活がエンドレスに続いていく。
ゆっくり旅行に行きたい、のんびり食事がしたいと思いながらも、それはなかなかかなわない。
もちろんショートステイに月1回か2回利用しているがそのほとんどは仕事の予定で費やされていく。その時ですらたけしの支援者の手配をし、時間を気にして、大慌てで帰宅するといった生活。
そろそろ解放されたいなと感じるようになった。

レッツは現在25人強のスタッフがいる。弱小NPOではあるが、代表である私は利用者やスタッフの生活を守っていかなければいけない。私は直接支援に入ってはいないが、まあ、さまざまな問題が山積している。それらをこなし、たけしや家族の世話や、家の掃除や、庭の手入れや管理や…。
最近、急激にしんどくなっているのは事実である。

たけしの生活を考えてみる。
しかしいっこうにワクワクしない。
なぜかと考えてみる。
それは家族だからだと思う。
自分と地続きであるがために、何らかの閉そく感が生まれてしまう。

一方、自分の生活を考えてみる。最近夫とも死別してしまった。とてもじゃないけれど今考えたくはない。・・・・。

たけしと生活研究会は、こんな私とたけしでもどうやったら幸せに生きていけるのかを考察する機会になるのだと思う。
「障害者だからこうした生活がいい」ではなく、一人の人として、どう生活があると楽しいのか、ワクワクするのかを、関係する人たちを渦のように広げながらみんなで考えていくのだと思う。
その一人として親である私もいる。
そして同時に、私自身が残りの人生をどう生きていくのかを考える機会にもなるのだと思っている。

1回目は重度の知的障害者で自閉症の方の一人暮らしを支えているNPOの代表の方の話だった。かなりど真ん中で、刺激的でもあった。
しかしこの研究会は、「障害者」だけの生活を考える機会ではない。
私は、あなたや、多くの人たちにとっての「生活」を考えていくのだ。
いろいろな立場の方々にご登壇いただいて、みんなで「たけし(わたし・あなた)と生活」を考えていく。

年度末にはどんな話になっているのだろうか。
そして私の「生活」は見えてくるのだろうか。

たけしと生活研究所


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?