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vol.7『コロナによって、働き方に対する意識はどう変化したのか』


■今回の課題図書

『ワークスタイル・アフターコロナ~「働きたいように働ける」社会へ~』/ 松下慶太著

課題図書

■ 『ワークスタイル・アフターコロナ』を読んでの学び・感想

コロナをきっかけに生活が大きく変わった。コロナ前は、対面で会うことがコミュニケーションとさえされていたが、今や会議はオンラインのほうが主流となりつつさえあるし、旅行しながら働くワーケーションという働き方もおとぎ話ではなくなった。コロナを機に働くことの意識も変化し、人々は仕事の中にも「幸せ」を追求してもいいような、社会全体として生き方に「寛容」になったように感じる。これは、労働者の権利という観点においては社会の進歩なのかもしれない。

課題図書を読んでの学びと感想

■はじめに

コロナ前後で明らかに働き方は変化したが、労働者の働くことそのものへの意識はどう変わったかのでしょうか。
今回は、「コロナと働き方」をテーマに書いていこうと思います。

■今回の問い

「コロナによって、働き方に対する意識はどう変化したのか」

今回の問い

今回の問いは、コロナによって、働き方と働くことへの意識にどのような変化があったのか、という点について。特に、「仕事」に対する意識がどのように変わってきたのかを著書を通じて学んでいきたいと思います。

■働き方の変化

まずは、働き方そのものがコロナによってどう変化したか。
これはコロナによって働き方が方向転換したというよりは、これまで実現できそうで、できてこなかった「軽やかな働き方」が想定よりも早く導入されたという印象がありますね。

一例を上げると、

・自宅リモートワーク
・オンライン会議
・フードデリバリー
・無人販売所
・ワーケーション(旅行+仕事)

このように、今まで当然とされてきた「移動」「対面」「リアルな共有」がすべて封鎖されてしまったことで、これらの働き方を導入せざるをえなくなりました。

コロナがなければ、通勤して定食屋で食事して、家に帰るというこれまでの当たり前が今も普通にあったのだと思うと何だか皮肉を感じます。

■仕事に対する意識の変化

では、働き方への意識はどうか。
著書によれば、コロナ渦によって、人々は、サービスを「自分が移動するためではなく、自分が移動しないために、すなわち自分にフィットするように活用」するようになったと記述しています。

例えば、ウーバーイーツ。
これまで「自分の移動」が当たり前だった外食が、「自分以外の移動」によって成り立つ。

働き方についても同様に、zoomによって「会議室に行く」から「(こちらの)会議室に来てもらう」というような変化が起こった。

これはとても大きな変化だと思っていて、言ってしまえば、これまで、滅私奉公的に与えられた枠のなかで、「他者(会社)中心」で働いてきた人々が、いい意味で「自己中心」になったような感覚があります。

そのおかげで、コロナは旧来の労働者意識をある意味で「自由」にしたと思っていて、労働者が事業主にずっと言えなかった本音みたいなものを「言っていいんだ」と思い始めたような感じがしますね。

これまでの日本の労使関係は、事業主が強くて、解雇規制が強い日本だとしても、どこか自分の主張をすることは避けられてきた感覚があります(むしろ日本だからこそなのかもしれないですが・・・)。

コロナ前までは、社長に「あれがしたい」とか「それは嫌だ」とか言える人はごく少数だったんじゃないかと思います。

そんななか、コロナによって、食事や移動など生活のあらゆる場面で自分から対象に近づくことができなくなり、誰かに何かをお願いしなければならなくなった。でも、そのおかげで労働者は誰かに頼ることを覚え、自分の意思を主張をするようになった(しやすくもなった)。

個人的には、この「自己中心」の風潮が最大の成果であり、いまの日本の労働者がもっとも必要なことではないかと思っていました。

この風潮がもっと広がりもっと多くの労働者がもっと「自己中心」であれる社会になっていけばいいなと思います。(もちろん、協調することや慮ることは前提としてですけど)

■オフィスという概念の変化

さらに、コロナ禍はオフィスという概念にも変化を与えました。コロナを境にあらゆる場所が「オフィス」になった。例えば、自宅、カラオケ、コワーキングスペースなど、いわゆる「都市全体のワークプレイス化」ですね。

そうであるならば、オールリモートにしてしまって、オフィスはもはや不要なのでは?と思ってしまうが、どうやら違うよう。

著書によると、モバイルメディアの普及している現代においてもオフィスには重要な役割があって、その役割には大きく3つあるといいます。

①そこでしかできない体験
②個と組織をつなぐ求心力
③社会性を継続させる場所

つまり、オフィスはただの機能としての就業場所ではなくなったのです。

また、著者は、コロナを機にオフィスが「井戸的」なものから「焚き火的」なものへと主な意味合いが変わってきたとも指摘しています。

要するに、これまでのモバイルメディアの発達する前までのオフィスは、井戸に生活に必要な水を汲むようにオフィスを作業や要件のための場所とすることをメインとしていたが、今後はより「焚き火的」な機能が強まっていくという。「焚き火的」とは、用件があってオフィスに行くというよりも、そこで社員同士のコミュニケーションが誘発されたり、関係を深めたりすることが期待されることで、オフィスはもはや、業務をする場所ではなく、コミュニケーションをするための場所になった。

■まとめ

このように、モバイルメディアの浸透とコロナ渦という加速装置が絡まって、日本や世界では、テレワークなどの働き方の多様化が一気に加速しました。

この働き方の多様化はコロナが起こってなくても、いずれはそうなっていた可能性もあるが、コロナのおかげで何倍も時間短縮された。

もっとも、コロナによって移動が制限されたことで、働き方を含めライフスタイル全般が奇しくも「自分中心」になったことで、人々が「どうありたいか」、「何が幸せか」を考えるようになったことが最大の変化であり、大きな一歩なのではないでしょうか。今後さらに、「自分の人生」を生きる人たちが増えることを期待しています。

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