『溺れるナイフ』を観てきた

もう大前提で、私は原作が強烈にすき、ということを先に書いておきます。
本当はすきともちょっと違うんだけど。

溺れるナイフを読んだことがある人ならみんな分かると思うんですが、心苦しいことも不愉快なこともたくさん出てくるから単純にすき、では括れない部分が多々あるんですが
それでもやっぱりぜったいに忘れられない作品であることは間違いないんです。

そしてその感覚はまるっきり映画でも同じでした。
そりゃ物理的に端折らなきゃいけないシーンはたくさんあるんだけど、私は映画や漫画やライブなんてぜーんぶ見終わったあとにどんな感覚が残るかだけしか信じてないところがあるので、そこが同じなら実写化は大成功、大正解、大正義だと思うんです。

そして何といっても大友。
この作品は、大友を見るだけでありがたくて申し訳なくて胸がいっぱいになってしまうかどうか、に懸かってると思ってるので
そういう意味ではもう完璧でした。

原作愛読おばさんの私は映画の大友が最初に映ったその瞬間に、本当に泣きました。きもちわるいなぁ。
重岡くん、素晴らしかった。
キャスト発表の時から、ごめんね青春の海老沢くらいしか知らない私でも「ぴっっったり!!!!」と思っていたけど、
映像で見たらその想像の何百倍も説得力があって、涙が止まらなかった。

映像になることで生まれる説得力、というのは他にも沢山あって、たとえば
事件後に何かがどうしようもなく変わってしまう、というところも原作読んでるとき私はどこか、そんなことないよ大丈夫だよ気の持ちようだよがんばれ若者 という気持ちで見守ってたんですね。
だけど映画の中の夏芽は本当にどうにも救いようのないくらい光を失ってて。
表情はもちろん、キューティクルとかもほんと全然ないんですよ。どうやってるんだろう。
逆に中学生のカナはヘアピンの留め方とか制服の着こなしとかザラッザラで女子ならたぶんみんなちょっと身に覚えがあるからウッとなるんじゃないかと思うんだけど、それが徐々に自己流で色気を帯びていくのが不気味で薄気味悪くて。プロのヘアメイクさんの影が全然ないんです。

音楽の使い方もヤケクソで面白かったなぁ。
丁寧にスケッチした絵にネオンピンクのインクべっ!と振りかけてるみたいで。
舞台になってる風景や、核となる事件とか夢とか
描こうと思えばいくらでもシリアスに出来そうになるタイミングで決まって甘ったるい歌が流れてきて、あぁこれは少女漫画なんだよ、と言われてる気分だった。

はぁ、良かったな。
…大友、良かったな。

前半はコウや夏芽が特別で異質な存在のはずなのに、気付いたらあんなに健全でまっすぐなことがいちばん貴重で尊いことを教えてくれる大友は偉大だ。
それ自体がすごくアイドル的だと思いました。
もちろん重岡くん個人のキャラクターや演技力によるところが大きいんだけど、それでもあの圧倒的な明るさやパワーは私がすきだと思うアイドルたちみんなに共通していてだからそういう人たちは尊敬できるんだよぉ、となぜかアイドル愛でまた泣きました。
小難しいことや全貌の見えにくいものばかりが評価されやすい世界では健やかな存在は軽視されがちなのかもしれないけど、私はどうにも大友みたいな人たちに弱い。

最後に、重岡くんのエピソードで最高に大友なやつがあるので貼っておきます。
はぁ〜アイドルすごい。マルチ。

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