見出し画像

水を入れ忘れてご飯を炊いた

先日、妻が突然、悲鳴をあげた。

結論から申し上げる。
すでに読者の皆さんのお察しの通りだ。
そう、タイトル通り、お米を炊く際に水を入れ忘れたのだ。

物語の始まり〜悲鳴〜

この物語は、一人の主婦が自ら起こした悲劇から、見事に復活を果たしたお話である。

画像5

「キャーッ!!」その悲鳴は18:30前に起きた。

我が家の夕食は、大体18:30〜19:00ごろに食べるので、それに合わせてご飯を炊くからだ。メニューは、一緒に暮らしている叔母からのリクエストで麻婆豆腐とサラダと味噌汁だ。小さい子供がいるから辛くない麻婆豆腐だ。

たまたまその日は、小学校2年生になる長男が体調不良で学校を休んでいた。医者には腸炎と判断され、腹痛、吐き気、熱があった。妻は当然のことながら心配していた。誰よりも自分の息子の体調を心配していた。
息子が体調不良で少しでもそばにいてあげたいのに、たまたまその日は、仕事の都合で夕方から外出の予定が入っていた。だからいつもより早めにご飯の支度を始めていた。(我々は自宅で仕事している)
そんなこともあって、いつもとリズムが異なり、気が散漫になっていたのだろう。

外出先から戻り、夕飯の準備に戻る。
炊飯器から炊けた合図の音楽がピロロロ〜ン♪となる。
ご飯をほぐすために釜の蓋を開けた瞬間、あの悲鳴だ。

子供と私は「なんだなんだ?お母さん大丈夫??怪我でもした??」と思いながら、妻の元に駆け寄った。でも、妻は怪我はしていない。一人で体を震わせながら立っている。泣いているのか?
子供たちは「お母さん大丈夫?」と心配で声をかけている。

子供たちと一緒に、妻の目の前にある炊飯器を恐る恐る覗いてみた。
そこには見たことのない光景が広がっていた。

米の様子がおかしい

米がなんか変だ。

画像1

米粒が膨らんでいない。みずみずしさもない。むしろカラッカラに乾いている。なんか固そうだ。でも熱気はくる。

画像2

スプーンですくってみると、シャリっ!と固い音がする。シャリだけに・・・。

いままで無口で体を震わせていた妻が、ついに口を開いた。
「どうやらお水を入れ忘れたみたい・・・」

すでに、子供も私も大方の予想はついているが、改めて言葉を聞いて確信した。「お母さんは水を入れないでご飯を炊いたんだ」と。
そう思うと不思議と笑いがこみ上げてくる。ミスをした妻には申し訳ないが、みんなで大爆笑だ。
妻も体を震わせていたのは泣いているのではなく、一人で笑いをこらえていたのだ。

さぁ問題はここからだ。
ご飯が炊けていないのは分かった。でも、この後どうする?
まず、携帯で調べてみる。

意外とみんな同じミスしているのね。笑

最悪なことに、ちょうどこのタイミングでお米の在庫がなくなっているので新たに炊くことが不可能。さらに麺のストックもなし!パンもなし・・・。
ヤバイ!このままいくと今日のご飯がなくなってしまう。私はご飯や麺をコンビニなりスーパーに買いに行ってこようか?と提案する。
でも、妻はなぜか乗り気じゃない。むしろ、どうにかご飯を炊こうと考えている。

思い出したくない思い出

私にある記憶が蘇る。それは数年前、妻の実家に家族で泊まりにいっている時の事だった。定かではないがお正月で、おせち料理も飽きたからといって義母が手料理を振舞ってくれた。ご飯をよそうとき「アレ?」という声が聞こえた。続いて声が聞こえる「なんかご飯炊くの失敗したみたい・・・」
茶碗には普通のご飯が盛ってあるのでどこが失敗したのか分からない。でも、口に入れた瞬間に失敗したんだなと分かった。そのご飯は芯が残っていた。水加減を間違えたのだ。
よくリゾットとかは芯が残っていてその炊き加減がウマイのだが、あれの数十倍の芯が残っていてウマイとは言えない。むしろ食べれない。口のなかが粉だらけ。生米を食べているのとほぼ変わらない。食べれないからもう一度炊飯してみようと試みる。数十分後に炊き上がった。口に入れるとジャリ。口の中が粉だらけ。失敗だ。
さらに義母は諦めず、今度はおかゆにしてみようとチャレンジする。日本人の「もったいない」という美学だ。
数分後おかゆが出来上がった。個人的には正月疲れだからおかゆのほうがちょうど良い。見た目もうまそうだ。お腹もだいぶ空いてきた。早く食べたい気持ちをおさえて梅干しをおかゆの上に乗せてほぐす。・・・そして早る気持ちを抑えてゆっくりと口の中へ。

画像4

一口噛んで分かった。再起は不可能だ。
口の中は粉だらけ。おかゆのベチャベチャとした感じと生米のボソボソした粉が口の中でマリアージュする。それは、なんとも言えない味だった。食べたことのないまずさだった。すぐにでも吐き出したかったが、義母の手前、あんなに頑張ってくれたのにマズイとも言えない自分がいた。でも、義母も同じ思いだったようで「これは諦めよう。もったいないけど捨てるね」と言ってくれた。
でも私の中で変な忖度の気持ちが起きていた。義母へ気を使わないといけない思いが優先し「意外と大丈夫ですけどね・・・」と強がっていた。強がった手前引けに引けなく、もう一口食べた。その後のことはなぜか記憶がない。

そんな思い出があるから、今回も再起は不可能だと思ったので妻の再度ご飯を炊こうとする行為に反対し買出しに行こうと提案した。もうあんな思いはしたくない。それでも妻は頑なにチャレンジしようとする。
私はそれでも反対する。でも聞き入れてくれない。
こんなにも妻は頑固だっただろうか?と疑いたくなるくらい聞き入れない。
ついには、私の反対を押し切って炊き直そうと行動に移した。

で、どうやって失敗したご飯を炊くのか?

復活の儀式〜失敗した米を復活させるために〜

その方法は、フライパンに入れて炊き直すという。ようはググったわけだ。
フライパンをつかって10分でご飯を炊くというサイトを参考にしたようだ。

でも私は「このサイトは最初から炊く方法で今回とは条件が違う!以前、義母さんが失敗したから無理。あなたも食べてまずかったでしょ!!」と伝える。それでも試してみるという。本当に諦めが悪い。

まずは炊飯器からフライパンに移す。その様子をビデオに撮ったのでお時間があるときにでもみて欲しい。シャリシャリした音が失敗の凄さを物語っている(大げさ)

フライパンに入れたあと水を入れ、火にかける。
グツグツと煮ながら、その時を待つ。

そして出来上がったのがこれだ!

画像3

た、炊けているっ!!どうみても炊けているし普通のご飯になっている。
しかもちょっとおこげもできていて、実に美味そうだ。

いやしかし、以前も義母の件で痛い目を見ている。どうせ前みたいに芯が残っているんだろうと高を括る。

試しに食べてみる。

あれ?まさかそんなはずはない。何かの間違いだと。信じられない私はさらにもう一口食べてみる。
まさか?さらにもう一口、そしてもう一口。

・・・完敗だ。
妻よ、完璧に私の負けだ。

間違いなく美味いご飯に炊けている。

物は試しとはよく言ったものだ。そして、失敗も状況に応じてやり方を変えれば取り戻せるということを学んだ1日だった。

復活のレシピ

ほとんど必要ないと思うが念のためレシピを載せておく。
フライパンをつかって10分でご飯を炊くというサイトを参考にした「水を入れ忘れて炊いたご飯」を復活させるレシピ。

1)失敗した米をフライパンに入れる。
2)洗米した水分が含んでいるので、上記サイトのお水の量から少し減らした。
  我が家は普段1合に対して200ml入れているので、180mlに変更。
3)フタをして強火にして沸騰させる。沸騰したまま1分。
4)弱火にして5分。水分の様子を見ながら調整。水分が多かったのでプラス3分した。
5)再度強火にして1分。その後、火を消す。
6)フタをしたまま10分蒸らす。
7)フタを開けほぐして完成。

もし、あなたもこんなミスをやってしまったら試して欲しい。


たけなお商店でした。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?