【自家製サッカー概論】14 算数的テレビ観戦法
サッカーの取材から遠ざかり、観戦はもっぱらテレビやネットとなった。
もちろん、サッカーはスタジアムで観るのが一番だと思うが、テレビ中継も進化しており、捨てがたいものである。
昔と比べて、画面も広くなり、中継でも充分ピッチを広く見られる様になった。
そして、やはりテレビ桟敷の一番のメリットはリプレイだろう。
パッと見では分からないファールやシュートの場面もリプレイで確認してくれる。これはサッカー初心者にはありがたいのではないか。
さて、このサッカー中継だが、中継を見つつ、サッカーについてあれこれ考えている内に自分なりの観戦方法が見つかったりする。
それが、今回の「算数的観戦法」である。
難しい事ではなく、画面に映っている選手と、映っていない選手の数を合わせて10人にするだけのことである。
例えば、フィニッシュの場面。ゴール前に3人いて、クロスを上げた所に2人いて、ゴールから離れている所に守備的ミッドフィルダーが1人いたとする。
すると、画面に映っていない選手が4人だ。これが、カウンターに備えた守備人数となるのである。
なぜ、こんな見方をするのか。
それは、「ゴール前に何人かけている」のか、「サイドを崩すために何人かけている」かを割り出し、逆に、「カウンターに何人備えている」かを想像するためである。
試合が始まれば、選手はフォーメーション通りに動くとは限らない。
こちらは、以前から「フォーメーションよりも役割の方が大事だ」と主張してきた。
それに沿って、選手の役割がどうなっているかを確認するために、ゴール前の人数やサイドの人数、そして、守備人数を割り出す観戦法に辿り着いたという訳である。
しかも、この人数を確認していると、攻撃に転じた時の人数で、そのチームの攻撃性も見えてくるのである。
中盤で相手ボールを奪い攻撃に転じる――。当たり前のことだ。だが、その時に2人くらいしか人数をかけていなければ、残り7人は中盤か、守備に残っていることになる。
攻撃機会に、人数をどれだけかけているか、何人がゴール前に飛び出してくるか。これが見えてくるのである。
各チーム、それぞれに事情がある。
残留争いで失点したくない、逆に、優勝争いで先制点が欲しい。
攻撃や得点への渇望、逆に、失点への警戒。それらが、攻撃の人数、或いはカウンターに備える人数に現れてくるのである。
サイド攻撃に3人、ゴール前に5人、そうなるとカウンター守備要員は2人である。かなり攻撃的と言える。
逆に、ゴール前に2人で、逆サイドからゴール前に入って来ないとなると、攻めている様に見えても、守備要員を多く残していることになる。
動き回る10人の内、何人が攻撃に出て、何人が守備要員として待機しているか。
サッカーの戦術、戦略を推察するのに大事な要因だと思う。
中継画面でエリアが区切られたことで生まれる人数の仕切り。
それが、チームの攻撃性や守備的な部分が透けて見えてくるのである。
リーグも終盤を迎え、それぞれのチームの状況が戦い方にも大いに影響してくる頃である。
算数的観戦法で、チームが本当に攻撃的かどうかをチェックするのも面白いのではないかと思う。
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