お前も貴様も、元は敬語。

 うーん、ドラゴンズの応援歌の話はちょっと違うな…と思いますね。まず文脈として、

熱い思いからそういう親しい人だけが使う表現を使っている

というものがあるでしょうし。そういう観点からすると、批判はお門違いだと思いますよ。

 現代において問題視された方が良いのは、かつては問題ないとされた表現を一律で規制することではなく

差別や侮辱を特定の人たちに助長するもの

であるべきじゃないの?と思うから。

 こういう見方でいうと、女性に対する料理作るべき、子供育てるべき、などについては女性に対する固定概念を助長するもの。反対に男性に対しても

料理や子育てしなくていい

といった、個人の個性を無視した価値観を植え付けることになる。そもそもこういう画一的な価値観が作られた過程を知らずして、そういうものだで片づけるのは無理がありますし。

 話をドラゴンズの応援歌に戻すと、そもそも

お前や貴様といった表現が昔はどうだったか

ってトコ、知ってて言ってるのかな?と思う。元は

敬称

だったのにね。

 お前、という表現にしても御前(ごぜん・おんまえ)→お前→オマエと砕けていったわけだし、貴様もそう。旦那についても、奥様だってそう。元は上の人たちが使ってた表現が一般ピープルにまで下がってきたからだよ。そういう経緯を知ってて文句言ってる人、少ないんじゃないかな。

 こうしたことから考えても、言葉の使い方や意味は時代と共に変化していくものだし、日本語の場合かなり自由度が高いといえるくらい、変化している部分はある。だったら逆に、そういう表現についてとやかく言わず、差別や侮辱といった

人としてどうなの?

という原則に抵触する部分だけ、改めればいいと思う。

 この問題って、二つの側面があると思ってます。それは

1:きれいごとに対して過剰反応

2:それを悪用して自ら首を絞める人たち

ということが。1はとにかく倫理基準を厳しくすることつながる訳ですが、言ってる人たちは文句言いたいだけ、というレベルも中にはあるんじゃないかな。なぜなら、

厳しくしたら、その流れで行きつく先がどこなのか分かってない

からね。歴史から見ても、厳しくして直る者じゃないのは証明されてるの。むしろ、根本や原則以外に目くじら立てない社会の方が、結果的にみんな楽に暮らせるんだよ。それが2につながってくる。

 ドラゴンズの応援歌については、私個人としては変更の必要はないと思う。でも、より多くの人たちに受け入れられやすい内容にすることも、一方で大事。昔から続いているから、で議論の対象にしないのは良くない。だから、すでに提案もあるけど

名前を入れる

与田監督のアイディアが着地点としてはいいんじゃないかな。私個人としては、変える必要はないと思うが。

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