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仕組み化の本質

管理職を対象にした、安藤広大さんの『とにかく仕組み化』という本がベストセラーになっていることからも、世のマネージャーたちはチームを効果的に運営する「仕事の仕組み化」の方法を模索していることがうかがえます。

僕もご多分に漏れず『とにかく仕組み化』を読み、めちゃくちゃ参考になったので、3ヵ月ほど前からチームの仕組み化をはじめました。

この本に書かれているように、不文律を文書化して事業部のルールをつくり、Aの次はBというように決まりきった作業はフローを明確にして手順書をつくったうえで、「ルール」と「手順」をメンバーに守らせるようにしました。
すると、各自が些細な判断に要していた時間をまるっと削ることができ、空いたリソースをクリエイティブなことに使えるようになって、メンバーの思考力もチームの生産性も見違えるほど上がりました。

正直「これはうまくいった!」と思っていました。「ルール」と「手順」をどんどん追加していけば無限に生産性が上がんじゃないかとホクホクでした。

しかし、もちろんそんなにうまくはいかず。
メンバーの行動を細かく見てみると、部分的にルールを守らなかったために行き違いがあったり、手順を飛ばしたことで手戻りが起きていることがわかってきました。

電気も水道もない荒野の集落に井戸を掘り電気で明かりを灯したらかなり文化的な暮らしになりますが、それはただ最低限のインフラができただけで近代の暮らしにはほど遠い、というのと似ています。
もともと「ルール」も「手順」もなかったところに「ルール」と「手順」を『つくっただけ』の効果はありましたが、そのさきの本当の仕組み化には届いていない状態だということを目の当たりにしました。

そこで「どうすればルール・手順を守ってもらえるだろうか」と考えたのですが、出てきた答えは「そんなの無理やん」でした。

ひとは感情で動きます。「めんどくさいなー」「なんか気分が乗らないなー」と思っただけで、決められた「ルール」や「手順」をいとも簡単に無視します。
(意図的に無視するというよりは、「そんなに厳密に守らなくてもいいや」という気分になってルールや手順を飛ばしがち。慣れれば慣れるほど)
いくらマイクロマネジメントでやらせようとしても、やらないときはやりません。やらなかった理由を聞いても「忙しくてできませんでした」「そんなに重要だと思っていませんでした」という答えが返ってきます。
※気持ちはとてもわかります。マネージャーになる前は自分もこうでした

では、もうそれならどうしようもないのかというと、実は一縷の望みがあって、それは「ルールや手順を守ると期待しないこと」です。

「ルール」や「手順」を守ってもらう・守らせるというやり方は、『守ってくれるという期待』のうえに成り立っています。
そこには前述の通り、ひとの感情が入るので完全にコントロールすることができません。

仕組み化の目的は、属人化の脱却と作業の効率化です。
この本来の目的から逆算すると、「ひとの感情をできるだけ排除する」という選択肢が見えてきます。

仕組み化=自動化と思われがちですが、自動化はひとの介入を排除するためのひとつの方法なだけで、イコールではありません。
その作業が得意で苦にならないひとに一括して任せる(ルールと手順はあるので属人化にはならない)とか、決められた手順をクリアしないと先に進めないようにするとか、方法はいろいろあります。

大事なのは、「ひとの感情をできるだけ排除する」という前提で、メンバーがルールや手順を守らなくても仕組み化ができる方法を考える、ということです。

こと仕組み化においては、「他者に期待しない」という意思を持って設計すると、良い効果が得られると思います。
(僕も実践はこれからなので、みなさんも一緒にやってみてもらえると心強いです)

それでは、また。

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