長谷川岳雄(明星大学特任教授)

金融関連企業で営業部門11年、人事部門で9年間勤務しました。その後、2014年から大学…

長谷川岳雄(明星大学特任教授)

金融関連企業で営業部門11年、人事部門で9年間勤務しました。その後、2014年から大学教員と企業研修講師をしています。キャリア開発、リーダーシップを主なテーマに書きます。

最近の記事

映画から学ぶ キャリアデザイン&リーダーシップ4「スターウォーズ6 ジェダイの帰還」編

自分の「フォース」を知る方法 スターウォーズ「6」となっていますが、シリーズ第3作目でジェダイの若き騎士ルーク・スカイウォーカーを主人公とした旧三部作最後の作品です。 前回の「スターウォーズ4 新たな希望」では、古今東西の英雄伝説の基本構造、1.旅立ち(セパレーション)→2.試練(イニシエーション)→3.帰還(リターン)について書きました。脚本・監督のJ・ルーカスは、神話学者ジョーゼフ・キャンベルのこの研究成果を枠組みにして、スターウォーズの脚本を書きました。そして、この

    • 映画から学ぶ「キャリアデザイン」&「リーダーシップ」3 「スターウォーズ4 新たな希望」編

      スターウォーズ4-新たな希望-は、ジェダイの若き騎士ルーク・スカイウォーカーを主人公とした物語です。「4」となっていますが、シリーズ第1作目の作品です。大まかなストーリーはこうです。銀河系は、かつて統治していた共和国が崩壊し、新たに誕生した銀河帝国により恐怖政治で支配されています。その帝国軍に対し、自由を求め結集された反乱同盟軍とジェダイの騎士の末裔であるルーク・スカイウォーカーが戦いを挑む物語です。 監督のジョージ・ルーカスは、神話学者ジョーゼフ・キャンベルの研究成果から

      • 映画から学ぶ「キャリアデザイン」&「リーダーシップ」2 「プラダを着た悪魔」編

        リフレーミング -ものを見るメガネをかけ替えて、行動を変える- とにかく、アン・ハサウェイが可愛い!メグ・ライアン以来の可愛いと思ったハリウッド女優さんです。映画も爽快感残るストーリーです。 田舎から出てきたジャーナリスト志望の主人公(アン・ハサウェイ)は、経験がないため希望の仕事につけません。ある出版社に応募し、運命のいたずらで最先端ファッション雑誌の編集長の第2アシスタントになります。ファッションにまったく興味はありませんが、家賃を払うための仕事、次のキャリアへの腰掛

        • 映画から学ぶ「キャリアデザイン」&「リーダーシップ」 「フォレスト・ガンプ」編 偶然を味方にする人とそうでない人の違い

          これから、映画を題材に「キャリアデザイン」&「リーダーシップ」の切り口で書いてみたいと思います。どれだけ続くかわかりませんが・・・。まずは、何度も見た「フォレスト・ガンプ」から。 「フォレスト・ガンプ/一期一会」は、知能は低いがまっすぐな心を持った主人公(トム・ハンクス)の半生を描いた映画です。アカデミー賞6部門、ゴールデングローブ賞を受賞しています。映画の冒頭は、一枚の白い羽が青空にひらひろと漂うシーンから始まります。これがとても印象的です。風にただよう白い羽は何を表わし

        映画から学ぶ キャリアデザイン&リーダーシップ4「スターウォーズ6 ジェダイの帰還」編

          全豪OP決勝とアジア杯決勝から見る人の錯覚

          勝ったと思った時から、信じられないくらい崩れていくケースってありますよね。最近そんなシーンを2つ見かけました。 全豪決勝の大坂ナオミ選手。第2セット5-3で迎えた第9ゲーム、チャンピオンシップポイント。しかも40-0。私はTV中継を見ていたのですが、絶対勝ったと思いました。本人もそう思ったはずです。しかし、クビトバ選手のものすごい粘りでこのゲームを落とします。その後4ゲーム続けて失い、結局このセットを5-7で奪われます。クビトバ選手の精神力も素晴らしかったですが、大坂選手の

          全豪OP決勝とアジア杯決勝から見る人の錯覚

          「#大野くんの夏休み」って、イイね

          嵐のファンの間で「#大野くんの夏休み」というハッシュタグが流通し、トレンドの1位になっているというニュースを見ました(URL添付)。センスのある言葉選びですよね。この記事を読んで、自分の仕事「キャリアデザイン」に関連して、ふたつの言葉が浮かんできました。 一つは、「人生100年時代」です。 アイドルの健康寿命も延びていて、私たちビジネスパーソンと同じく、キャリアの創り方が多様化しているのだと思います。L・グラットンは『ライフシフト』の中で、これまでの「教育」→「仕事」→「引

          「#大野くんの夏休み」って、イイね

          ポジティブなほうがうまくいくのか?

          「キャリアデザイン」をテーマに授業や研修をしていると言うと、よくこう質問されます。 「やっぱり、ポジティブに考えた方が人生うまくいくのでしょうか?」 世の中には、「ポジティブ・シンキング」を推奨する言説は多いですし、「強く望めば叶う」みたいな自己啓発本を読んでいる人も多いからなのだと思います。楽観的で前向きに考えることはいいことのように思えますが、本当にそうなのでしょうか? ぼくも同じ疑問を持っています。 ポジティブに考える人の方がうまくいくのでしょうか? おもしろい心理

          ポジティブなほうがうまくいくのか?

          夢とビジョンの違い

          数年前ですが、学生からこんな質問をもらいました。「長谷川さんは授業でビジョンという言葉を使いますが、ビジョンと夢の違いって何ですか?」 いい質問ですよね。「夢」という言葉は、何かふわっとした感じがするので授業では使っていませんでしたが、その時改めて二つの言葉の違いを考えてみました。 以来、こう説明しています。 夢:意志と行動を伴わないビジョン -Vision without will and actions ビジョン:意志と行動を伴った夢  -Dream with will

          成長する人とそうでない人

          新年明けましておめでとうございます。 年の初め、「成長」をテーマに書いてみたい。これまで、たくさんの新入社員、若手社員を見てきた。今は、多くの学生と接している。30歳くらいになり見違えるように成長している新入社員。大学4年生になりひと回りもふた回りも大きくなった学生。一方、そうではない人もたくさんいる。成長していく人とそうでない人の違いはどこにあるのか?3つの行動特性に整理してみた。 1.ストレッチする 成長する人は、自分に適度な負荷をかけている。いつもプチ・チャレンジをし

          成長する人とそうでない人

          世の中から“寛容さ”が失われていく

          南青山の児童相談所の件は、世の中から“寛容さ”が失われている典型例だ。ここ数年、「そんな目くじら立てるほどのこと、ないじゃん」という出来事が多い。芸能人の不倫バッシング、駅員や店員へのカスタマーハラスメント、保育園の建設反対などなど。 ベッキーは公共の電波や媒体であれだけ叩かれるようなことをしたのだろうか?駅員や店員に暴言や暴力をふるう人間は何にそんなにイライラしているのか?いつからこの国では子供の声が“騒音”になってしまったのか?「児相ができると土地の価値が下がる」「南青

          世の中から“寛容さ”が失われていく

          人はなぜ変われないのか?

          仕事柄、人のビジョンや目標、そして、そこに向かう行動計画を聞く機会が多い。大学では学生にこれからのキャリアや就職活動に関する相談を受ける。また、企業研修では受講者の方にこれからのビジョンを描いてもらい、そのアクションプランを立ててもらう。しかし、そこで語られる行動計画が実際に行動に移されるかどうかは、甚だあやしい。もちろん、教員・講師としての私の力量の問題もあるが、人のアクションプランが実行に移されるかどうかは、話を聞いていると何となく予測できる。 カウンセラーは知っている

          人はなぜ変われないのか?

          いま、「望む力」が衰えている

          大学教員になって5年。学生と接していると、この国の未来は明るいと思う。ボクが大学生だった80年代後半と違い、大学生はまともだ。しかし、これからの世の中で生きていくために足りていない能力・スキルも見えてくる。その一つは、「望む力」だ。もしくは、「みらいを描く力」といってもよい。 大学の授業で毎回、「大学時代に何をしたいか?何を実現したいか?」についてワークをしている。それをしている(実現した)時に自分から見える光景を絵に描いてもらう。そうすると毎回、100人いたら3~4人の学

          いま、「望む力」が衰えている

          才能なのか、環境なのか、努力なのか、運なのか

          ソフトバンク、日本シリーズ制覇、2年連続9度目。強いですね。私は22年間優勝していないオリックスファンなので、うらやましい限りです。シリーズMVPは甲斐捕手。6盗塁すべてを阻止した活躍は素晴らしい!このチームのすごさは選手層の厚さで、その要因の一つは育成選手から一軍に上がって活躍する選手がものすごく多いことです。今シーズン活躍した千賀、石川、甲斐、モイネロ4選手、すべて育成出身です。甲斐選手に至っては2010年育成ドラフトの6巡目。この年97人がプロ球団から指名を受けますが、

          才能なのか、環境なのか、努力なのか、運なのか

          新たな機会に、YESと言う!

          先日のNIKKEI STYLEの記事に、日本マクドナルド・カサノバ社長の「チャンスが来たら絶対Yes!」 という記事がありました。 「私は、ビジネスウーマン向けのシンポジウムや女性社員向けの社内イベントで話をする際、必ず『Say yes to every opportunity』と 言って、女性たちを励まします。チャンスをもらったら絶対にノーと言うなという意味です」女性だけでなく、新たな機会にオープンマインドで、YES!と一歩踏み出すことは大切です。この記事を読んで、映画

          新たな機会に、YESと言う!

          相次ぐデータ改ざんとリベラルアーツ

          企業の品質データの改ざん事件が相次いでいる。東洋ゴム、旭化成建材、神戸製鋼、そして最近のKYBによる免震・制振装置の品質データ改ざん。報道を見て一番驚くのは長期間にわたって不正が続けられていることだ。上記4社の場合、最低でも10年以上、長い会社では40年以上改ざんが続けられていた。私はメーカーに勤務したこともないし、製造現場にまったく通じていないが、なぜ長期に渡ってデータ改ざんが続けられたのかという疑問を、大学の一般教養課程でも扱う内容で考えてみた。副次的に、リベラルアーツも

          相次ぐデータ改ざんとリベラルアーツ

          上司三日で、部下三年

          上司の良し悪しを部下は三日で分かってしまうが、部下の出来不出来は少なくとも三年間付き合わないと分からない。なるほどうまいことを言う。実際にそうだと思う。組織では、下から上への見通しは良いが、上から下への見晴らしはすごぶる悪い。このフレーズを聞いてから、なぜそうなるのかがずっと疑問だった。 最近読んだ本から、その理屈が自分なりに腑に落ちた。理屈はシンプルだ。部下は上司のことを見ている頻度・時間が多く、上司は部下のことをよく見ていないからだ。類人猿を研究している人類学者は、「群