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人はなぜ変われないのか?

仕事柄、人のビジョンや目標、そして、そこに向かう行動計画を聞く機会が多い。大学では学生にこれからのキャリアや就職活動に関する相談を受ける。また、企業研修では受講者の方にこれからのビジョンを描いてもらい、そのアクションプランを立ててもらう。しかし、そこで語られる行動計画が実際に行動に移されるかどうかは、甚だあやしい。もちろん、教員・講師としての私の力量の問題もあるが、人のアクションプランが実行に移されるかどうかは、話を聞いていると何となく予測できる。

カウンセラーは知っている!なぜ人は変われないのか?
その要因を4つに整理してみる。新年を迎えるにあたって、来年の目標や行動計画を立てられる方も多いと思うので、参考になったら幸いだ。

1. 感情(心からなりたい、やりたいとは思っていない)
こうなりたい!そのために〇〇する!と口では言うが、心からそうなりたい!そうしたい!とは思っていないケース。研修で書けっていうから書いた。親が問わず語りに望んでいるからそう思い込んでいる。世間体がいいとか、友達に自慢できるからそうなりたい。そうする“べき”だと端から思い込んでいる場合もある。頭(意識)ではそう思っているが、心(潜在意識)ではそう思っていない。このような、頭と心、意識と潜在意識のダブルバインド状態では、人は変われない。その行動は絶対に長続きしない。仮に長続きできたとしても、ハッピーな結末にはならない。

2. 具体性(行動計画が抽象的すぎて、行動に移らない)
〇〇する!と言うが、その内容が具体的でない。一生懸命がんばります!と言うけど、何をがんばるの?というパターン。ボクも企業勤務時代、「がんばります!」と言って、「がんばらなくていいから、何をいつまでにするか言ってくれ!」と怒られてきたので、あまり笑えない。しかし、このケースは対処のしようがある。質問を通して、「具体的に何をするのか」「いつするのか」「いつまでにどのレベルまでするのか」を明確にしていけばよい。

3. 環境(行動を変えようとするが、環境を変えない)
人間は周囲の環境にものすごく影響される。どんなに意志の強い人でも周囲の環境に大きな影響を受けている。行動を変えるには、まず環境を変える必要がある。以前幾度となく禁煙に失敗し続けた経験からよくわかる。禁煙が途切れる時はいつも飲み屋だった。ボクの意志の弱さが一番の原因だが、アルコールと周囲でたばこを吸う人など外部環境の影響はものすごく大きかった。ダイエットもそうだ。スイーツを控えようと思ったら、スイーツを提供する店にそもそも行かないことが大切だ。意志力で行動をコントロールするのではなく、誘惑に負けそうな環境に自分自身を置かない。できれば自分が取りたい行動を促進する環境に身を置くことだ。

4. 関係性(家族・パートナーがその目標・行動を望んでいない)
家族やパートナーなど身近に生活している人が、自分がそうなりたい!そうしたい!ことに反対しているケース。学生の場合は親の影響だ。親が公務員になりなさい、先生になりなさいと子供の頃から問わず語りに言ってきた影響で本人もそうなるものだと思っていたが、実は〇〇になりたい、〇〇したいという相談は多い。学生だけでなく大人も、パートナーが心ではそうなってほしくないケースがある。最後は、自分の人生を決めるのは自分だ。しかし、我慢して我慢して最後にキレることのないよう、自分のしたいことやりたいことを家族やパートナーに話し、根気強く説得していくプロセスが大切だ。

人が変われない(アクションプランが長続きしない)4つのパターンを書いてみた。では、どうすればよいのか?
自分の行動を変えようと思う場合、次の4つの問いを自問自答したらよい。

1. 自分は心からそうなりたいのか?   (感情)
2. そのアクションプランは具体的か?  (具体性)
3. 行動だけでなく、環境を変えているか?(環境)
4. 身近な人間に納得してもらっているか?(関係性)

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