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全豪OP決勝とアジア杯決勝から見る人の錯覚

勝ったと思った時から、信じられないくらい崩れていくケースってありますよね。最近そんなシーンを2つ見かけました。

全豪決勝の大坂ナオミ選手。第2セット5-3で迎えた第9ゲーム、チャンピオンシップポイント。しかも40-0。私はTV中継を見ていたのですが、絶対勝ったと思いました。本人もそう思ったはずです。しかし、クビトバ選手のものすごい粘りでこのゲームを落とします。その後4ゲーム続けて失い、結局このセットを5-7で奪われます。クビトバ選手の精神力も素晴らしかったですが、大坂選手のプレーはそれまでとは別人のように見えました。

その約1週間後、サッカーアジアカップ決勝。前の試合でイランに完勝したのを見ていたので、優勝するんだろうという余裕の気持ちでTVをつけました。しかし、開始12分カタール選手のオーバーヘッドキックで失点します。この失点は日本選手に大きな動揺を与えたように見えました。準決勝のイラン戦は完ぺきでした。イランはFIFAランキングでアジア最強29位、優勝候補の筆頭です。事実上の決勝戦と言われていました。ここからは勝手な推測ですが、イラン戦の勝利で代表選手たちは高い確率で優勝すると思ってしまったのではないでしょうか。口ではどう言おうと、脳は勝ったと錯覚していたのではないかと思います。

なぜ、人は勝ったと思った瞬間から崩れる時があるのか?
人は持っているものが失われる(失われそうになる)と、ものすごく恐怖・不安を感じます。これは本能的な反応です。勝ったと思った瞬間から、勝利は既に自分のものになったと錯覚してしまう。しかし、その後ピンチを迎えると、脳は既に持っている(と錯覚している)勝利が失われる恐怖に襲われます。そして、その恐怖・不安によっていつもとは違う体の動きになってしまうのです。

ではどうすればよいのか。基本的には、恐怖や不安に心が捕らわれている最中に、頭でセルフコントロールすることはとても困難です。大坂選手は、第3セット前にトイレットブレイクをとり、気持ちを切り替えることができました。結果、見事優勝です。サッカーの場合もハーフタイムで気持ちの切り替えを図ったのでしょうが、0-2で負けている状態でのリカバリーは極めて困難です。試合に入る前に、慢心することの怖さを意思統一しておくべきだったように思います。

ここで言っていることは結果論ですが、スポーツだけでなく、人は往々にして勝ったと思った後に突然崩れだすケースがあります。もう30年以上前の私の経験ですが、1浪での大学受験の時に、年明けから受かりそうだと思ってからあまり勉強しませんでした。結果、第1志望第2志望にも合格できませんでした。同じ理屈だったように思います。受験シーズン真っただ中、受験生のみなさん、すべての試験が終わるまで決して錯覚しないように。

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