Cyberia Layer-05裏話

「ごめんね、、厳しいことを言うけれど、こんなレベルのものを送ってこないで欲しい。」

と穏やかながら厳しい言葉を言われたのち、私の音楽制作は新たなステージに到達したと確信した。

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WASEI "JJ" CHIKADAさん(以下、JJ)のアルバムの制作発表を聞き、参加したいと思っていた。そんな中、JJから連絡が来た時は小躍りした。

JJが並々ならぬ想いを今回のアルバムに対して抱いていることを言葉の節々からすぐに理解した。何とかその思いに応えたく、過去一の慎重さを持って作業を進めていたのだが、私はやらかした。要求から剥離した音源を送ってしまい、私はJJを失望させてしまった。

以前の私なら厳しい指摘にショックなら受けたと思う。でも、その時は集中していた。この状況を打破するために一言も聴き逃してはいけないと思った。コメントから、何が問題だったのか、何をすれば要求に応えられるのか、ヒントを探した。JJの指摘は的確で、問題点はすぐ理解できた。

録音時に剥れた爪が回復するまでの数日間は脳内で検証するに留めた。手を動かせないと良くも悪くも色んなことを考えてしまう。

きっと、この厳しさがプロの音楽家に求められる仕事で、今その領域に足先が入ったのだと思った。挽回して、このチャンスをモノにすれば次のステージに進めるかもしれないと思ったら、体の芯がどうしようもなく熱くなった。

爪が治った夜に、早速演奏をやり直した。問題点はいくつかあったが、一番大事なのは「演奏のドレスコード」だ。僕が演奏を作るとジャズのダークな響きやクラシックの重厚な響きを使いがちなのだが、それはカジュアルではない。みんなでBBQをするのにタキシードを着ていたらドン引きするわけだ。加えてディテールの作り込みだ。今までも相当丁寧にやっていたが、音色や発声のタイミングの微調整の緻密さを1段階2段階引き上げた。
完成した時には次の日の朝だった。そこまで気合が入ったトラックでも採用されたのは一部だったが、作業は進展した。その後全体の調整がなされ、Castaliaの見せ場になるピアノソロが完成した。

その後も色々なパートの録音・送付・改善を繰り返し、私が関わった二曲分のトラックが完成した。

完成した音源は、私が関わったこれまでの楽曲で、最も素晴らしい一曲だと感じた。

JJはずっと厳しかった。しかしそこには「お前の実力はこんなもんじゃないだろう?」という激励の気持ちが常にあったように思えた。この拘りと熱意が、芸術において第一線で数十年活躍し続ける人間の核なんだと思った。私は短い期間に多くを学んだ。あまりに貴重な経験だった。

WASEI "JJ" CHIKADAさん、本当にありがとうございました。

CastaliaとScar、是非聴いてください。

https://youtu.be/teo1W-Kz_yc?si=kxBjYmbfi1QmPiTT

アルバム、Cyberia Layer-05は発売中です。よろしくお願いいたします。

本記事はJJに内容を確認いただいています、Facebookへの投稿記事を加筆修正したものです。

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