玉城武生

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玉城武生

肩書きのない一介の市民。『随想録』https://ja.takeotamashiro.com

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  • 『随想録』から

    時評ブログ『随想録』https://ja.takeotamashiro.com では、政治、社会、時事、哲学を中心に記事を配信しています。

  • 言葉の覚え書き

    日本語の一貫したスタイル・ガイドとして、用字、用語や文章表現に関する情報をまとめています。「ココナラ」で、文章校正サービスも提供しています。詳細はこちらから https://coconala.com/services/1506965

  • 編輯長殿

    『日本経済新聞』『ファイナンシャル・タイムズ』など、日経メディア記事関連の投書。日本経済新聞社のオピニオンマガジン『日経COMEMO』https://comemo.nikkei.comへも同時に投稿しています。

  • #Nサロン新聞部

    • 32本

    皆で読めば、新たな視点──『日本経済新聞』の新しい読み方を提案する「 #Nサロン 」新聞部の活動記録です(「Nサロン」終了により、現在活動休止中)。

  • 東京ノ頽廃地区

    首都圏の暗黒街探訪。格差を敵視する者たちよ、これが下層社会の実相だ。「自然は貴族主義的であり、封建制やカースト制以上に貴族主義的なのだ」(ショーペンハウアー)(各記事は有料コンテンツです。返金不可)

最近の記事

少子化対策に取り組むなら増税議論から逃げるな

岸田政権が導入する「子育て支援金」の評判が悪い。増税批判を避けるあまり、社会保険料を目的外に使用し、且つ現役世代を支援するどころか打撃を与える内容だからである。 記事はこちら

    • 「Bluesky」アカウントも是非ご覧ください

      • 【動画】丸ノ内線70年のあゆみ

        2024年1月20日、東京メトロ丸ノ内線は、池袋・御茶ノ水間が開業してから70周年を迎えます。 銀座線に続いて、東京で2番目に開業。東京、銀座、霞ヶ関、新宿といった都内の主要駅を経由する丸ノ内線は、東京メトロを代表する路線の一つです。 今回、建設の過程を中心に、丸ノ内線の70年のあゆみを振り返る動画を制作しました。 丸ノ内線はなぜ「コ」の字? ときどき地上に顔を出すのは? 方南町行きの支線はなんのため?──そんな日常に抱く疑問も、歴史をひもとけばきっとわかるはず。 動

        有料
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        割引あり
        • ジェンダーに禍根を残した最高裁の違憲判断

          性腺摘出を性別変更の要件とする性同一性障害特例法の規定について、最高裁大法廷は25日、違憲で無効とする司法判断を示した。 大法廷は今回、医学の進展で「必要な治療を受けたかは手術を受けたか否かで決まるものではなくなった」と指摘し、妊孕性(生殖機能)の喪失を性別変更の要件とする特例法の規定は、手術を強制されない自由に見合うものではないと判断した。 だが、「必要な治療を受けた」ことはそのまま「性別変更を認めるべき」であることを意味しない。なぜなら、一口に性同一性障碍と言ってもそ

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        記事

          AIは言語の世界に閉じこもっている

          人工知能(AI)の領域で長年議論されている課題として、記号接地問題というものがある。これは、どれだけ優れた回答を出そうとも、言語の世界に閉じこもっており、実の世界と結びついていない以上、その内容を理解していることにはならないというAIの弱点である。これは、カントが明らかにしたように、言語上の抽象的な思考だけでなく、五感も含めた感覚的な要素があって初めて人間の認識が成り立つことを示している。したがって、AIへの依存は、そのまま直観的な認識を抛棄することにもなりかねないのである。

          AIは言語の世界に閉じこもっている

          パレスチナ問題の原因はイギリスの「三枚舌外交」ではない

          今なお続くパレスチナ問題の原因として、よく槍玉に挙げられるイギリスの「三枚舌外交」。アラブ人、ユダヤ人、仏露に対するそれぞれの協定が互いに矛盾しているというのがその内容である。しかし、3つの協定のうちパレスチナに言及しているのはユダヤ人向けのバルフォア宣言のみで、各協定間に齟齬は見られない以上、パレスチナ問題の原因と結論づけることはできない。 記事はこちら

          パレスチナ問題の原因はイギリスの「三枚舌外交」ではない

          生成AIの利用に必要なのは結局ネット・リテラシー

          「ChatGPT」などの生成AI(人工知能)は、人間のように根拠や確信があって判断を下しているのではなく、関連度合いが高い単語を確率的に並べているに過ぎない。蓄積されたデータから情報を抽出するのだから、結局のところ生成AIもネット検索も、利用する上で大事なのはネット・リテラシーである。 記事はこちら

          生成AIの利用に必要なのは結局ネット・リテラシー

          我々は時空を共有しているのか

          光の速さは観測する場所にかかわらず常に一定であることから、アインシュタインは特殊相対性理論を確立した。速さが固定されるということは、距離や時間が伸縮することを意味する。実際に、高速で走行する新幹線の中では、静止している環境に比べて、一秒の長さはごくわずかながら短くなり、長さも縮んでいると言われている。そうであるならば、我々は一人ひとりが固有の時空を有しており、その中で孤立している存在であるとはいえないだろうか。 記事はこちら

          我々は時空を共有しているのか

          「Twitter」はコミュニティーか広告か

          旧「Twitter」の有料化をめぐる騒動の背景には、交流を目的とするユーザーと収益化を目的とする運営側との間に横たわる、ソーシャル・メディアへの認識の差異が根柢にある。そして行き着くのは、公開型のメディアにとって避けては通れないある傾向である──日常の会話でも往々にして、誰か一人の自慢話で閉口せざるを得なくなることがあるように。 記事はこちら

          「Twitter」はコミュニティーか広告か

          自分も生き、他人(ひと)も生かす

          ジャニーズ事務所の創業者喜多川擴による性的虐待に目をつぶってきたマスメディア。ビッグモーターの保険金不正請求を見過ごした損害保険各社。共通するのは、利害を共にする者同士の過度な依存関係である。 記事はこちら

          自分も生き、他人(ひと)も生かす

          ジャーナリズムの役割とは

          ジャーナリズムは第四の権力だとか権力監視が役割だとかよく言われる。だが、本来の役割は、事実を淡々と記録することで、のちの検証や議論の用に供することである。 記事はこちら

          ジャーナリズムの役割とは

          夫婦は「別姓」に決まっている

          「選択的夫婦別姓」を求める主張が唱えられて久しい。ここで敢えて鉤括弧を使ったのは、「夫婦別姓」が単なるトートロジー(同語反復)であるからだ。すなわち、名字に関わる制度の変更を望む割には、彼らは名字の役割や定義については全くの無理解であることを、この語は示しているのである。以下の記事では、日本人の名字である「氏」が中国や韓国などにおける「姓」とは全く異なる性質のものであること、そして「氏」の持つ意味及びその背景について解説する。 記事はこちら

          夫婦は「別姓」に決まっている

          話し言葉の血なまぐささ

          話し言葉はその場で瞬時に発しなければならない上、形には残らないという性質から、語法や文法は崩れたものとなりやすい。戦前までの日本語は、文語と口語を截然と分かつことによって、書記言語が荒らされるのを防いできた。だが、明治以来の言文一致運動、表音主義に基づいた戦後の国語改革によって、話し言葉と書き言葉との区別が曖昧になり、書記言語が保ってきた語法文法の正則性が損なわれてしまった。更に、話し言葉特有の凌虐的な傾向が書き言葉に持ち込まれ、書記言語の有していた品位は堕落の一途を辿るばか

          話し言葉の血なまぐささ

          「底辺の仕事」が生まれるわけ

          とある就職情報サイトが一時期掲載していた「底辺の仕事ランキング」。土木、建設、ごみ収集、介護などを名指しして、肉体労働である、誰でもできる、単純作業が多いといった特徴を挙げて「底辺」呼ばわりしたこの記事は、世間から囂々たる非難を浴びた末に削除された。 名指しされた仕事は、インフラストラクチャーを支える不可欠な仕事としてクローズアップされた「エッセンシャル・ワーカー」でもある。感染症による行動制限のさなか、この世に要らない仕事などないと我々は思い至り、「職業に貴賤なし」を再確

          「底辺の仕事」が生まれるわけ

          「私、馬鹿だからわかりません」

          「私、馬鹿だからわかりません」──これを謙遜の言葉と取るのは大きな間違いである。実際はその逆で、尊大さ、他責性などを詰め込んだものだ。 そして何よりこの台詞は、相互理解を抛棄し、一切の対話を拒絶する不寛容の表れである。自らの凡庸さを棚に上げ、いやむしろその凡庸さを誇り、凡庸さを強制しさえする。それは、かつてオルテガが嫌悪した「大衆」の姿を髣髴とさせる。 記事はこちら 参考文献 ホセ・オルテガ・イ・ガセット(神吉敬三訳)『大衆の反逆』(ちくま学芸文庫)、筑摩書房、199

          「私、馬鹿だからわかりません」

          読めますか?──「形相」

          二とおり読み方があり、それぞれ異なる意味を表します。 ギョウソウと読んだ場合は、顔かたち、表情のこと。ギョウは「形」の呉音。 ケイソウと読んだ場合は、哲学用語で個物に内在する本質を指し示すもの。アリストテレスが「質料」ὕλη(ヒュレー)に対置する概念として用いたεἶδος(エイドス)の訳語です。例えば、彫像の材料となる大理石が質料だとすると、彫像の表す形が形相になります。

          読めますか?──「形相」