サウナコミィティの分類

なんだかギスギスしているサウナコミュニティを分析してみた

いまだ影響力の強いテレビ。サ道のドラマ化でサウナの楽しみ方が多くの日本国民に伝わる1年くらい前から、サウナ愛好家達がギスギスし始めた。

きっかけはサウナシュラン2018

おれたちはサウナ界のミシュランだ!とでも言いたげなタイトルで、とある団体がサウナ施設の格付けランキングを発表した。発表当初は幻冬舎のゲーテで取り上げられたが、なぜかすぐに当該記事は削除。プロサウナーが厳選したサウナランキング、という謳い文句が古参のサウナ愛好家達を激昂させた。

そもそもプロのサウナーってなに?
具体的な選定基準が公開されないランキングって?
誰がどうやって審査したの?
網羅性の観点から当然日本全国の全ての温浴施設を体験したんですよね?
など。

不透明な審査過程が当然疑問視された。ランキングに掲載された施設そのものは素晴らしい施設であっただけに、ランキング批判 = 施設批判 と誤解を受けやすい構造もあり、声を上げられずに鬱憤は溜まっていく。

発表団体の主観的なランキングとして留めておけばよかったものを、「俺たちこそがサウナ界の代表!最強!参上!」と韻を踏みたいかのように発表してしまったのがマズかった。幻冬舎が一枚噛みしていたのならば、ただの個人が遊びで作ったランキングとは訳が違う。大なり小なり他の温浴施設の経営にも影響を与えかねない。実際にあったかどうかは不明だが、不透明な審査方法によって、ランキング掲載施設への忖度も疑われてしまっていた。

一方で発表団体のファンを中心に、サウナに行ってみる良いきっかけになる、まずは足を運んでみようと思ったなど、ビギナーの中にも好意的に捉えていた層も存在した。

この事件を機に、パリピ属性が強めの新興層と古き良きサウナを愛する古参層の対立が明確になった。

フィンランド大使 サウナアンバサダープログラム

サウナ発祥の国、フィンランド大使館が日本のサウナ人気に目をつけた。サウナシュランが発表される少し前のサウナイトの参加者から選抜された、大使館によるフィンランドサウナアンバサダー認定式が行われた。

後日、別の方法でもアンバサダーになることができるのだが、その時はPeatixの申し込みフォームにあるエントリーシートを参考にして選ばれたようで、選定基準は不明である。ちなみに僕は選ばれました...。

アンバサダーの活動内容は具体的には定められておらず、各々のメディアでフィンランドのサウナや文化について発信することが求められているが、大使館からのサポートはほとんど無い。

ヘルシンキ行きの航空券でもあれば軽くNoteの100本は書いて全力で広めるのだが、この場ではこれ以上は言うまい。

日本の主要サウナもサウナタイムやサウナイキタイなどのメディアにより開拓され尽くされたタイミングだったので、このあたりから「本場」の自然共生的で、幸福論とも絡められたフィンランドのサウナ文化の情報が出回るようになる。

中温中湿、湖と森と木の小屋での蒸気浴、ロウリュには森の神が宿ると言われ、自然と一体になる体験こそが本来のサウナ。マインドフルネスで身も心もストレスを解放する場。サウナの中では皆が平等。フィンランドのサウナ文化こそが唯一解。

いやいや、日本には日本のオリジナルがあるんだ!

1963年、東京オリンピック開催前にサウナは日本に輸入された。汗をかくこと、男の我慢大会、サラリーマンの終電後の避難所などの文脈で独自の進化を遂げ、高温低湿のカラカラセッティングを熱愛するシニアは多い。何より、男だけの空間で、徹底的にリラックスできる = 堕落体験ができるの昭和日本的サウナの魅力だ。

そんなこんなで、本場フィンランドのサウナに対する価値感と、昭和日本の価値感の対立も目にするようになった。

こんな狭いコミュニティでマウント取り合ってしょーもな!と思いつつ、それはごく少数で、大多数のサウナ愛好家はどちらの良さも受け入れて楽しんでいるというのが実態だと思う。

サウナーのポジション

そんな狭いサウナコミュニティを、革新-保守、北欧嗜好-昭和日本嗜好で分類し、サウナータイプを分析してみた。

サウナコミュニティはTwitterを中心に盛り上がっており、極端な論調は基本的にはラウドマイノリティであることが多い。

右上 瞑想者
マインドフルネスやデトックスのためにサウナを利用し、自然共生的な北欧サウナの考え方に共感している。余計な音のしない静かなサウナ環境を好む。

右下 堕落者
日本のサウナ愛好家のボリュームゾーン。家族や異性の目を気にせず、ダラダラと過ごすことができるサウナ施設を愛している。シニア層が多く、一つの施設を長く愛用するので、ナワバリ意識が強く、自分本位なのでマナーもあまり守らない。テレビが好き。

左上 開拓者
ファッションや音楽、芸術などのポップカルチャーと融合した新しい体験を好む層。いわゆる「チル」な体験としてサウナを捉えており、パリピ属性が多い。最近増加しているのはこの層で、新参ゆえにルールやマナーに疎いので古参とトラブルになりやすいが、一度覚えるとしっかり守る。団体で来ることが多く、基本的に騒がしい。

左下 探求者
いまあるもので、できることの最大限に挑戦する層。水風呂に備長炭を沈めたり、照明を工夫したり、セルフロウリュができるようなオペレーションを組んだり提案したりする。水風呂の前に、冷えシャンプーで身体を洗ってから入る変態もこの層。施設が本来持つポテンシャルを見抜くのが上手で、どんなタイプのサウナとも上手に付き合うことができる。

主観であてはめてみた

Twitter上で見かけるサウナコミュニティを「なんとなく。それっぽい。」という理由だけでマッピングしてみました。違ってたらごめんなさい。

よく争いになるのが、開拓者 vs 堕落者です。堕落者はナワバリ意識が強いので、新参者が増えるの基本は快く思っていません。

温浴産業は決して成長産業とは言えないので、新しい取り組みをして少しでも新しいサウナファンを増やして業界を盛り上げる。という開拓者の主張にも一理あります。

良いサウナはコミュニティマネジメントが上手

サ道の効果により、上野 サウナ北欧はおじさんのサウナからワカモノのサウナになりつつあります。日によっては入場規制がかかるほとです。

仮にサウナがいまブームだとして、ブームが終わり定着フェーズに入ってきたら、開拓者が探求者、瞑想者、堕落者へとシフトチェンジしていくでしょう。開拓者はその名の通り市場開拓の役割を果たし、新規顧客獲得はここがメインストリームになる。

左と右の議論は世の中の至るところにあり、時代によって左が右になり、逆に右が左になることもしょっちゅう。

サウナ施設に今後求められるのは、設備の質やイベントの開催などではなく、新しい人も昔からの人も、快適に過ごすためのコミュニティマネジメントなのではないか。

#comemo #サウナ #北欧 #交互浴 #フィンランド

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