【1月2日、羽田の事故に思うこと。元鉄道マン目線から】

少し投稿が遅れました。
2024年の年明けは、いきなりの大震災に始まり、さらにその翌日は羽田空港での海上保安庁の航空機とJAL機の事故があり、文字通り、波乱の幕開けとなりました。
被害に遭われた方も多く、巻き込まれた方、早く心身ともに平穏を取り戻す日が来ることを願います。

さて、羽田空港の事故に関して、概ねニュースなどでも原因解明が進んできたところ。ネットニュースではありますが、時折注目をしていました。僕は特に航空業界に詳しいわけでもなく、なるほど…と思うばかりではあるものの、その中にもあれ?と思うことがあったので、記してみたいと思います。

今回の事故の直接の原因としては、管制官からの指示(滑走路手前で待機という内容)を、海保機の乗組員が離陸許可と勘違いし、JAL機が着陸しようとする滑走路に侵入。その結果、着陸するJAL機と接触し、爆発・炎上したというものです。

背景要因には、乗組員には被災地への物資救援で先を急ぐ気持ちがあったり、管制官も年始の旅客輸送ピークで只でさえ稠密なスケジュールに、無理やり海保機のフライトを組み込んだり。
こういったことから、ヒューマンエラーが発生しやすい状況にあったということが考えられます。


侵入した航空機を示す警戒表示が管制で表示されていたハズだから、管制官の責任を問う意見もあります。確かにそれに気づいていた場合、もしかしたら今回に関しては、滑走路侵入から40秒が経過していたらしいこともあり、何らかの回避指示が出来た可能性もあります。
しかし、これは根本的な問題ではありません。
そもそも、滑走路への侵入が着陸する直前であった場合は、いくら直ぐに管制官が直ぐに気付いたとしても、200km以上のスピードで侵入する航空機に対してはなす術がないと思われます。

僕自身、鉄道会社で働いていた身からすると、残念ながら、「人」が関わる作業に関しては、どんなに簡単な作業であってもミスは発生しうるものだと思います。100%の作業性を求めるのは、単なる理想論であり、現実的には不可能です。

僕が疑問に思ったのは、着陸機が控えている…という滑走路に、ヒューマンエラーが原因にしろ、なぜ容易く他の航空機が侵入できる状況なのだろうか?というところです。

これをざっくりと鉄道に置き換えると、退避駅で停車中の列車が、高速で列車が通過する本線に侵入できるような状況である。
といえます。
こういった場合、鉄道であれば、ATSなどの保安装置が働いているため、万が一にも運転士が列車を誤って出発させても、その手前で停止させることができる仕組みを構築しています。

そういった安全装置が無いことに対しての論調はあまりないのだな…と不思議に感じました。

パイロットの混乱を招くとされ、離陸順を伝えるのを禁止するということが対策として発表されましたが、根本的には、保安装置でバックアップするのが最適ではないかと思います。
具体的には、他機が着陸・又は離陸状態にある滑走路に、他の航空機が侵入しようとしたときに、自動的に停止させることができるような装置を作動させる。
技術的に難しいのであれば、せめて絶対停止を指示する信号を発信し、パイロットに知らせる。ということは最低限必要でしょう。

今回の事故が、航空機のさらなる安全性の向上につながれば…と思います。

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