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繁忙期輸送について(車掌時代)

前回は駅員目線から繁忙期について書きましたが、車掌目線からしても、やはり繁忙期というのは気を遣うモノです。

特に特急列車。勤務のローテーションを見て、もろに繁忙期間に特急を乗務する行路が連続で入っていたりすると、うわ~(-_-;)と思うモノです。

こんな時期は、やはり増発+増結。さらに、乗り降りに時間がかかることもあって、列車の遅延も侮れません。単線区間が乗務区間だったので、行き違いの遅延、また、昼頃には数分の遅れが各列車に発生していることもあります。これは普段から、あまり余裕のないダイヤになっていることも一因であり、それは在職中のダイヤ改正で幾分か改善されたところもあります。

特に、途中の観光地である途中駅は、それなりに乗降があるのに加え、年配の方も多いこともあり、乗り降りの動きが遅いです。そんな途中駅で1分30秒の停車時間では、その時間内に乗り降りが終わることは、寧ろ稀なことでした。

話を戻して、増結について。線区内の最大両数は10両でしたが、全ての列車がフルに増結できるわけではありません。車両数の問題もあるので、特に運転区間が長い列車を中心に、9両や10両での運転がされていました。
増結で曲者だったのが8両。増結後の両数が8両と9両では天と地ほどの差がありました。
というのも8両だと1人で全ての車両を担当しないといけないのですが、9両以上になると、内規でもう一人、改札担当の車掌を臨時で付けてくれるのです。
いや、この差って心理的に非常にデカい。
8両となると、満席になったとすると400人以上のお客さんを相手にする訳です。何もなければ問題ありませんが、そんな時期、何かしらの車内トラブルが発生しないとは限りません。

9両や10両であっても、2人乗務であれば、まだ気楽なもの。一人当たり5両も見ればいいのですから。しかも一人は基本的にドア扱いなどを行わない客室専門の担当なので、お客さんの対応に専念できるといのが心強い。
8両と9両では、天と地ほどの差があるということが、なんとなく想像いただけるかなと。
要員の関係もあってなかなか難しいところだが、やはり、多客の時期の特急は、なるべく複数人での乗務が好ましいのではないか?と個人的には思っていました。

混雑した列車では、なるべく多くの方に座ってほしいもの。指定席はビッシリと指定された席に皆さん座っていますが、自由席はなかなか大変です。
座席に荷物を置かれている方、切符を用意していない小さいお子さんを座らせている方、3人グループで向かい合わせにして、雰囲気的に座りにくい…などなど。勿論、余裕のある時なら問題はないのですが(ガチガチの規則からすると、席の利用は1人1席が原則なので、よろしくないということになりますが)デッキにはお立ちの方がいる状況。窮屈にはなるものの、一人でも多くの人に席を使ってもらえるように、そこはご協力をお願いしていました。
そうしていたら、数分、数十分はあっという間に過ぎていきます。

勿論通常の仕事である、車内改札も大事ではありますが、こういったときはその前にこうして車内の座席を、ある程度整理することを優先することがあります。

よく、指定席が買えないか?と車内で車掌に聞いてくる方がいますが、基本的には車内で車掌が指定席を販売することはありません。
よく知っている方は、調整席があるだろう!と言われることがありますが、その席は、何らかのトラブル。近年では座席発売のダブりはほぼ無い状況ではありますが、座席汚損・故障などの際に使ってもらうための予備の席でもあるのです。そのため、車掌の考えにもよりますが、基本的にその席を案内することはないということになっています。

とはいえ、場合によっては小さな子ども連れや、お年寄りなど、そういった方が立っているのは好ましくないことも事実。ある程度状況が落ち着いて、まだ数人立っているという状態で、多少、指定席に余裕がある…といった時には、立っている方にこちらからお声かけして指定席を案内することもあったりしました。
とはいえ案内できるのはせいぜい数席。沢山の立ち客がいる状態では下手な案内は不公平になりかねないので、特に案内の仕方には気を遣う所。
また、現状は空いているものの、今後移動して頂いたり、再び立ってもらう可能性があることも併せての案内になります。

さて、繁忙期によくあるのが「指定席誘導」です。これは自由席が大幅な混雑の際に、指定席車両のデッキにも立っていただくという案内をすること。
これを指令に要請することにより、各駅にもその旨が伝達され、お客さんにも放送で指定席の車両にも立ち乗りするよう案内がされます。
(ただ、その時でもグリーン車は立ち入らないのが原則でした)
これから混雑してくるな…というところでは早めに指定席誘導を実施することにより、ある程度分散して乗車してもらえることから、遅延の防止になります。
これも繁忙期ならではの取り扱いですね。

そんなこんなで、繁忙期の特急列車車掌は、大忙しのままに終着駅に到着することが多いです。普段なら楽勝で全て終わらせる車内改札が、全員見切れずに終わってしまうことも。
こんな時は本当にあっという間に時間を感じたな…

まあ、現在は指定席の発売状況を車掌もリアルタイムで把握し、指定席の車内改札は省略するということになったので、だいぶ車掌の業務としては楽にはなりました。

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