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にしみのライナー運行開始に寄せて(3章)

2021年7月17日から、ホニャラノイエがある大野町から、名古屋駅までの直行高速バス・にしみのライナーが運行開始というニュースが入った!
これを機会に、大野町の公共交通についてあれこれ書いてみつつ、今後こうなっていくといいな!という展望も記してみたい。
第3章では、今後の大野町を中心とした交通体系の在り方について、にしみのライナーにも触れながら記していく。

<路線バス網の再編>

現在、第一章でも述べたように、大野町内にはバスの基点となるポイントが、大野バスセンターと、パレットピアおおのと、2カ所に分かれている。
この問題点は、やはり岐阜駅から考えると、二カ所に系統が分かれることにより、よりダイヤのわかりにくさが増長されているように思える。

朝晩は、まだ乗客数もそこそこいるということもあり、現状の運行体制でも問題ないかもしれない。
問題は日中。途中までは乗客はいるのかもしれないが、少なくとも大野町内でバスを見かける限り、ほぼ貸し切り状態で動いていることが多い。
2時間おきや3時間おきのバスでは使いづらいということも増長して、さらに乗客減に拍車がかかっているのだろう。

そこで以下を提言する。

「平日日中及び、土日に関しては、バスターミナルを、パレットピアおおのに集約する」
パレットピアおおのの拠点性を高めるとともに、日中のバス運行の効率化を図る狙いがある。
朝晩に関しては、通勤・通学の需要が一定あることもあり、現状ダイヤの維持で良いと思う。
具体的にどうするのか?

岐阜行は、パレットピアおおの~直行~北方バスターミナル~直行~北方町内P&R基点~直行(大縄場大橋経由)~岐阜市内という経路に簡略化するのが良いだろう。
北方バスターミナル~岐阜市内の通過となる各停留所に関しては、区間運転便でフォローするのが良い。
パレットピアおおの・北方バスターミナル・北方町内P&R基点ではコミュニティーバス又はデマンドタクシー等と連絡する体制を整え、バスが停車しなくなる停留所付近へのフィーダー輸送を担わせる。
こうすることにより、岐阜~大野間の所要時間は5分~10分ほどは短縮されるため、コストの削減には大きく効果があるだろう。

少し補足だが、「5分~10分」程度、運転時間が短くなったからと言って、乗客が増えるわけでもないし、あまり意味がない。という意見もあるだろうが、公共交通機関においては、直接乗客数の増加につながらなくても、運行経費という側面からみると、停車バス停の削減による、燃費の向上・および、運転士の乗務時間削減による人件費の抑制という効果もあり、長期的な目で見ると、必要なことだと思う。
特に、日中の乗降がほぼ期待できないようなバス停のショートカットは、もっと全国的に試されてもいいのではないかなと思う。

因みに北方町内P&R基点としては、岐阜清流病院を想定している。
高齢者の利用が多いため、より便利になるだろう。
運転間隔は1時間おきとすることが出来るはずだ。

大垣行の便は、日中はパレットピアおおの~大野バスセンターを休止。区間短縮によって、現状の2時間おきの運転であれば、バス1台でも運用できるようになる。パレットピアおおので、フィーダー輸送として、コミュニティーバス等に接続することにより、大野町内全域との交通を確保できる。

なお、穂積行の便に関しては、モレラ岐阜へのアクセスという面もあり、パレットピアおおの発着としようとすると、運行区間がいびつな形となり、効率的ではないので、このままの体制が良いかと思う。もしくはモレラ岐阜~大野バスセンター間を日中は廃止とするか。

ポイントとして、にしみのライナーも含めて、各方面からのバスの到着&発車時間を調整し、コミュニティーバスもその時間に合わせて発着。パレットピアおおので相互に接続できる体系とするのが望ましい。

<にしみのライナーの今後>

にしみのライナーは、7往復半という、新規開設の路線としては、それなりに期待されて設定されたと思われる。同様にターミナルが設定された、山県市からのバスは、土日限定・本数も1往復ということからも、雲泥の差だ。

おそらく元々、名古屋への需要が存在する地域であることから、充分に需要が見込めるとの判断だっただろう。

理想を言うと、名古屋駅に行くだけでなく、名古屋の中心地でもある、栄・伏見方面へ直行できると、さらに便利になると思う。
そうならなかったのは、運行会社が名阪近鉄バスということが影響しているのだろうか。
名古屋は基本的に名鉄バスの主戦場。個人的には、最初、にしみのライナーの一報を聞いたとき、名鉄バスが運行すると思ったが、近鉄系列の名阪近鉄バスと聞いて意外な思いだった。
確かに大垣~大野間も、名阪近鉄バスが運行しているので、考えると不思議なことではない。


今後、転機が訪れるとしたら、東海環状自動車道の大野神戸IC~山県IC間の開通時だろう。

例えば、名古屋~大野~本巣~山県~関~名古屋というように、環状(正式にはラケット状にはなるが)に運転するような高速バス路線が出来ると面白いかもしれない。
(関市内のターミナルが、ICから離れているところにあるのが問題になりそうだが、ここでは置いておく)
そうすれば、運転効率もよくなり、運行本数が同じであっても増発に近い効果が出る拠点も出てくるだろう。

この時には、もしかしたら名阪近鉄バスと名鉄バスの共同運航という形になるかもしれない。そうすれば、名古屋市内で栄・伏見といった中心地に発着することも可能だろう。

また、関西~高山方面の高速バスが、東海環状道を経由する可能性が高いと思われる。
その際にパレットピア大野に休憩を兼ねて停車し、その時間に合わせてにしみのライナーや、各路線バスと接続を取るようにすると、さらにパレットピア大野を中心とした、バスによるネットワークが強化され、シームレスな移動環境が実現する。

<地域交通の在り方>

現在、大野町内ではデマンドタクシーという体制で地域内交通を賄っており、一定の利用はあるのではないかと思う。具体的なデータは持ち合わせていないが。平日日中、町内を走る姿も時折見かける。


究極の将来。
コミュニティーバスは、全廃止でもいいと考える。
その代わりとして、行政の主導により、地域内の移動を白タクにより担うこととしてはどうか?
おそらく、コミュニティーバスを運行するよりも、維持費も安く、かつ便利に使うシステムを構築できるのではないか。

具体的な方法としては以下の通り。
既存のシステムを活かすために、「あいのりくん」の停留所間を移動する。というところはそのままとする。
新しくアプリを開発する必要もなく、「Uber」と連携し、「Uberおおの」などとして、地域内の移動が気軽にできるようにしたい。
安全性を確保するために、ドライバーとして登録には3年以上の運転歴があり、2種免許の所持もしくは無事故・無違反などの制限をつけるのが妥当だろう。
車両は各個人の所有車を利用。
利用料金は1乗車300円。ただし、バスとの乗り継ぎ利用の場合は100円。
ドライバーには1走行あたり、報酬として500円が支払われるものとし、料金との差額は町が補填するというシステムが出来ると良い。

基本的にアプリ上若しくは、予約センターにて乗車希望を集約。それに応じて各ドライバーに一斉通知があり、条件が合えば配車決定という形が良いだろう。

ただし、にしみのライナー乗車時に、運転士への申告によって、予約できる方式も採用すると、より便利だろう。

この方式の狙いは、どうしてもタクシー会社等に委託するような形式であると、維持費がかかり、利用が少ない場合に意味があるのか?という議論の元ともなる。
ある程度の人口がある地域であれば、比較的自由に動ける人も一定数いるはずであり、そういった人たちの力を借りるのも一手ではないかと思う。
また、役場の職員も数名、登録をしておき、乗車希望に対して受け手が現れないようなときに勤務時間内でフォローするという体制を整えるのが望ましい。

今後の地域の「持続可能な交通」を維持するためにも、従来の枠組みを取り払い、新しい方式を取り入れる時期に来ているのではないかと思う。

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