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君の名前で僕を呼んで

4/27公開ですが 一足早くレビュー。
アンドレ・アシマン原作小説の映画化。
1983年
大学教授で美術史学者の父と翻訳家の母を持つ17歳のエリオ(ティモシー・シャラメ)は、毎年夏になると両親と共に北イタリアの別荘で過ごしている。
その度に父の研究を手伝うインターンが招待されるのだが、今年は博士課程に在学中の24歳の大学院生 オリヴァー(アーミー・ハマー)がやってくる。
はじめはオリヴァーと距離を置くエリオであったが、共に過ごしていく内に抑え切れない想いが込み上げてくるのであった。
6週間の儚くも力強い恋模様を通し、心に芽生えた想いを噛み締められることの価値を描いた作品だ。

何て優しい映画なんだろう
ジャンル的にはLGBT映画に括られるのかもしれないが、少し違う
誰もが通る初恋の儚さを、恋することで直面するあらゆる葛藤を、生きていく上で本当に大切なことをこの作品は感じさせてくれる
心が洗われるとは、こういうことを言うのだと思う

正直、途中まで上手く入り込むことができなかった
でも、オリヴァーを歳上のお姉さんに置き換えたのなら合点がいった
17歳の少年が24歳の超絶美人と一夏を共に過ごすのだと想像した途端、ピンときた
些細な日常の風景を描いていたと見せかけて、とても繊細な心のやり取りが描かれていたのだと
二人の間で行われていたことが、探り合いや駆け引きであったのだと分かってくる
ぼくの場合、自分の心に蔓延る差別や偏見にだって気付かされた。

ぼくは女性が大好きだけど、山﨑賢人くんと中島健人くんを目にする度にときめいてしまう
それとは別に、自分より身長が高くてガタイの良い照英さんのような男性にハグされたい願望だってある
キッカケが訪れていないだけで、同性に恋する可能性を秘めている
そんな風に自分のことを思っていたから、同性愛に関して人より理解のある方だと思っていた

が、序盤からすんなり入り込めなかったことをはじめ、直接的な描写を前にすると引いてしまっている自分がいた
時代設定もさることながら、二人が親密になっていけばいく程にどんな悲惨な結末が訪れるのかとヒヤヒヤしていた
純粋な恋愛模様を真摯に描いた作品なのだと理解するまでに、酷く時間を要してしまった
結局は理解しているつもりなだけの偽善者
あなたもそうだとは言わないが、どうかぼくと同じ轍を踏まないで欲しい
ド頭から二人の恋模様だけを見つめられたのなら、より深く没入できるはずなのだから。

二人の恋模様に集中でき始めたのなら、見えるモノが増えてくる
逞しい肉体をした彫像のように、劇中の殆どにおいて肉体を露わにしている登場人物達
どんなに美しいものであっても、いつかは朽ち果てる
完璧に見えても、どこかしらに綻びは生じてくる
その肉体は彫像とは違い、傷付き ハエも纏わりつき 血も流す
永久に同じ肉体をキープしてはいられない
それは心も同じこと

何事においても、否定されれば傷付くし困惑もする
芽生えた想いが芽生えてはならなかったモノなのだと思い込む
その積み重ねが心を殺し、感情の振れ幅を狭くする
いつしか芽生えることすら無くなり、数多の可能性を失ってしまう
そうしてツマラナイ大人になっていく。

親に叱られたことで、友人にバカにされたことで、大事な人に拒絶されたことで閉ざしてしまった感情があなたにもぼくにもあると思う
最早思い出すことすらできなくなっているかもしれない
それでも、大切だと思える何かが今もその心には宿っている
その感覚が失われることなく今も残り続けているのには理由がある
自分を認めてくれる存在がいてくれるからだ

同性愛でなくとも良い
叶えたい夢 伝えたい想い 譲れぬモノ、打ち明けるのに勇気や覚悟が伴うこと
それらを否定せず受け止めてくれる人がいるから、その気持ちを捨てずにいられる
笑ったり 泣いたり 怒ったり、あらゆる自分を解放できる
恥ずかしくて ダサくて 情けなくとも、生きていられる。

思いのままに感じられること
感じた想いを噛み締められること
どんな自分でも受け止めてくれる人がいること
二人の恋模様を通し、そのありがたみをあなたは知る
終盤、それからラスト、涙無しには観られない

今のあなたを構成する上で、心に刻まれている言葉
その言葉を聞くだけで、過去のセンセーショナルな出来事が鮮明に蘇るような言葉
『君の名前で僕を呼んで』というタイトルが、観終える頃にはとてもロマンチックなモノに感じられると思います。

繰り返しになりますが、とても優しい作品です
原作の途中までしか描かれていないため、続編が作られることを願います!
ぜひ劇場でご覧ください。

青春★★★★
恋 ★★★
エロ★★
サスペンス★★★★
ファンタジー★★★★
総合評価:A

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ミヤザキタケル/映画アドバイザー

WOWOWシネピック連載、映画boardにて記事執筆。映画サイトへの寄稿・ラジオ・web番組・イベントなどに出演。『GO』『ファイト・クラブ』『男はつらいよ』とウディ・アレン作品がバイブル。お仕事の依頼はこちらまでa.safety.pin.storm@gmail.com

カ行

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