サニー/32

2004年に起きた佐世保小6女児同級生殺害事件、通称“NEVADA事件”に着想を得た物語。
新潟
中学校教師の藤井赤理(北原里英)は、24歳の誕生日を迎えたその日に二人組の男に拉致されてしまう。
赤理を「サニー」と呼び山麓の廃屋に監禁する柏原(ピエール瀧)と小田(リリー・フランキー)は、14年前に「犯罪史上、最も可愛い殺人犯」と呼ばれネットで神格化された当時小学生の少女“サニー”の信奉者であった。
柏原に連れられてきた複数のサニー信奉者達を前にしても、自分が“サニー”であることを否定し続ける赤理であったが…。
“サニー”を巡るそれぞれの思惑を通し、不完全な人の心を描いた作品だ。

誰も進んで口には出さないけれど、歪んだ感覚や人道に反する想いを抱えてしまうことがあると思う
それらを実行に移したらマズイことも重々承知しているから、何かしらの方法でその欲求を発散しているはず

人やモンスターを殺しまくるゲーム
匿名や鍵アカで思いの丈を書き込めるSNSや掲示板
芸能人が堕ちていく様を堪能できる週刊誌
頭のおかしい連中を安全な場所から見られる警察24時
ありとあらゆる性の欲望を満たしてくれるAV
あなたにはあなたの、ぼくにはぼくの代償行動があって、日頃吐き出すことのできない鬱憤の数々を晴らしていることだろう。

ぼくはこの作品が楽しみで仕方なかった
それは、代償行動の一つとして楽しめる要素があったから
これを書くとあなたに嫌われてしまいそうだし、サイコパスだとも思われかねない
が、誤解されることを承知で書こう

ぼくは拉致監禁のリアリティを味わいたかった
『凶悪』コンビのエゲツない二人が、若くて可愛いきたりえを拉致るという構図だけでそそられた
そこに門脇麦ちゃんも加わるのなら、尚のことたまらない
実人生において女性を拉致監禁することなど絶対にあり得ないが、それに近しい思いをAVにブツけたことは少なからずある
映画を楽しむ以前に、自分の中の歪みを満たしてくれる気がして楽しみだった。

だが、物語は想定していた斜め上をいく
拉致監禁ものの枠を飛び越え、リアリティとは程遠い別領域へと進んでいってしまう
ドローンやユーチューバー的動画配信の登場によって外付けのリアリティは付加されていたが、それだけでは補い切れない
むしろ、ネットの拡散力等のリアリティは欠けていた
ぼくの歪んだ欲求故の物足りなさも上乗せされてはいるが、期待していたものとは全く異なるものを見せつけられる

中盤でもう一人のサニー(門脇麦)が現れるも、どちらが本物のサニーなのかという駆け引きも殆ど描かれない
というか、ポスタービジュアルから読み取れる関係性に騙された感が否めない
人を殺めることに関する問題提起もされるが、登場人物達が真っ向から対峙しないんじゃ、観客であるぼくらだって対峙の仕様が無い
彼女達が本心から思い悩む姿を見せつけられない限り、自分事のように思い悩むのは難しい。

奇をてらうような描写では無く、真正面から人の心に宿る歪みを暴いて欲しかった
観る側の歪みを存分に引き出した上で、コテンパンに打ちのめして欲しかった
幼くして歪みを露わにしてしまった者の末路を、本来であれば想像することしかできないモノの手触りを感じさせて欲しかった

若松孝二監督作品へのオマージュであったり、「アイドル映画」と言い切るスタイルを咀嚼できる人で無ければ、噛み締めるのが難しい
『凶悪』程の凶悪さを求めていたとすれば、物足りなさを感じてしまうかもしれません。

青春★★
恋 ★
エロ★★
サスペンス★★
ファンタジー★★
総合評価:C

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サ行

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