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地衣類の魅力

 2泊3日で出かけたサンティアゴの取材成果はまた別noteにするとして、今日は地衣類の話をしたい。地衣類って何か知ってますかね。読んで字のごとく、大地を衣で覆っちゃう奴らのこと。チリ南部にいると、結構いろんな地衣類が、樹皮や岩にひっ付いているのを見かけるのだけれど、せっかくだから夏が終わって秋の山に分け入る皆さんに紹介しよう。

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地衣類って?

 地衣類について知らない人と、あんまり知らない僕のために、少し調べてみたことを書いておこう。まぁ山に入るような人は知っていると思いますが。

 国立科学博物館のウエブサイトによると、地衣類ってのは菌の仲間。世界中に棲んでいて、世界で約2万種類、日本だけでも1800種類もいるらしい。ただ、環境の変化や大気汚染に弱い種類が多くて、都会ではあまり見かけないとか。ははーん。

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地衣類の生態

 何といっても地衣類の魅力は、その生態にあると思う。その生態とは「共生」。彼らは必ず、藻類(コケとかシダとか)と共生している。共生っていうのは、相手が不可欠でなければ死ぬ、だから共に生きているってこと。

 地衣類は、藻類に何をしているか。地衣類は藻類に住みかとして自分の体と、水分を与えている。その返礼として、藻類が光合成で生み出した栄養を、地衣類は生活の糧にしているという具合。

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 国立科学博物館のマンガだと、「元気が出ないなぁ・・・」とぼやく菌類と、「一人で生きるのは大変」と上京したての社会人1年生みたいなことを言っている藻類が3コマ目で「おや、気が合いそう」と互いを意識し、「地衣類になろう!」と4コマ目で意結ばれるストーリー。

 このギブ&テイクっていう、世の中の基本的な理でもって彼らが成り立っているのがいい。もうそこは一つの世界であり、マクロレンズで近寄ったりすると、宇宙なわけであります。

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染料にも使える

 先にも書いた通り、地衣類は種類が多い。山や川、海岸なんかを歩いていても結構いろんな種類を見かける。コケ色のものから、鮮やかなオレンジのもの、まさに衣のように樹皮を覆うものもあれば、ヒゲモジャの地衣類もいる。彼らの色に擬態した蛾なんてのも存在したりしていて、これはもう美しさの範疇を超えた恩恵。

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 チリでは地衣類を使った工芸品なんかが道端で売られていたり、淡い緑でヒゲモジャの地衣類は、羊毛の染料にも使われている。結構身近な存在。地衣類での染物なんて、ちょっと日本でも試してみたい。

 そういえば、3年ほど前にチリ最南部のプンタ・アレナスという街を訪れたとき、地衣類の写真集を買ったのだけれど、友達にお土産としてあげてしまった。今回の滞在でも最後に行く予定だからまた見つけたら入手しよう。

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