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よく知らないチームの試合を観て面白い?JFL・F.C.大阪、奈良クラブホームゲーム観戦記

9月23日23時59分まで残りわずかとなりました、クラウドファンディングを通じて先行販売を展開中の『〝サッカー旅〟を食べ尽くせ! すたすたぐるぐる 埼玉編』。

皆さまからのとても温かいご支援、ご協力をたくさんいただきまして、誠にありがとうございます!!

OWL magazine公式Twitterの中の人は、次のように言っています。

8月25日(水)に開始して28時間47分後に目標達成率100%となった主な理由は、サポーターの皆さまからOWL magazineに向けられた声援だ。だからこそ、47都道府県の〝サッカー旅〟を絶対に食べ尽くさなければいけない!!

私たちOWL magazineは皆さまからいただいた温かい声援を胸に、残り46都道府県をすたすたぐるぐる〝サッカー旅〟を食べ尽します!!

残りわずかとなりますが、最後まで何卒よろしくお願いいたします。


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チームの名前は知っているけど、選手の名前などは知らない。

このようなチームの試合を観に行くと家族に友人に伝えると、必ず次のように言われます。

知らないチームの試合を観て、何が面白いの?

正直言って、知らないチームの試合を観て面白いのか僕にも分からない。

Youtubeとかライブ配信で見るとかではあかんの?

現地観戦とスクリーンを通して見るサッカーに違いがあるから。サッカーの試合はポンポンと得点が入るスポーツではないからこそ、現地に行かなければ分からない雰囲気を味わえないから行きたい。

しかし、何を言っても周りには言い訳のようにしか聴こえないと思う。

2019年2月に創刊したサッカーと旅を紡ぐOWL magazineに影響を受けて各地へサッカー旅をするようになり、かれこれ2年半になります。

このウェブマガジンに出逢うまで僕は社会人サッカーチームで「プレーするサッカー」を22年間ほぼ最優先し、「観るサッカー」は友人の応援を兼ねて観たり、招待券を頂いて観る、といった受け身的な観戦しかしてきませんでした。そのため、そのようなスタンスで長年サッカー観戦をしてきたので、周りから上記のように言われても仕方ない気がします。

それでも、なぜ知らないチームの試合でも観に行きたい衝動に駆られるのか。ある意味、禅問答のような答えを見つけに行こうと考え、僕はF.C.大阪と奈良クラブのホームゲームを観に行きました。


2021年9月5日 F.C.大阪 vs Honda FC 観戦記

興味がある、自分好みのアウェイチームとの対戦の場合を除いて、これまでF.C.大阪の試合を観に行こうと全く思いませんでした。

なぜなら僕の中でのF.C.大阪は「大阪第3のJクラブ」を目指すチームとしか知らなかったからです。全国各地によくあるJリーグを目指して頑張ります!と宣言するチームの中のいちチームで、大阪府東大阪市にある花園ラグビー場を含む東大阪市花園中央公園の指定管理者になったニュースを知っている程度の認識でした。

まるで自動販売機で売っているブラック缶コーヒーのような薄い情報でのF.C.大阪しか知らない中で、僕は2020年9月10日・11日掲載された宇都宮徹壱ウェブマガジンの記事を読みました。


このインタビュー記事では、F.C.大阪がラグビーの街として有名な東大阪市を本拠地としたクラブビジョンや、花園ラグビー場の指定管理者となる経緯など、これまで表に出てこなかった話を引き出していました。

このような切り口でF.C.大阪を知ったら、観に行かないと行けないという衝動に駆られてしまい、9月5日に花園ラグビー場・第2グランドで行われる試合を観戦しました。

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花園ラグビー場と言えばこのスタジアムです。この威圧感は2019年ラグビーワールドカップの試合会場になったからではなく、このスタジアムで行われた全ての試合に宿ったラガーマンの想いや言霊があるからだと感じます。

東大阪市がラグビーの街としての象徴としてこのスタジアムを示すかもしれませんが、僕は違うと思います。

なぜなら、

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花園ラグビー場がある公園内の多目的トイレに理由があります。

何と言ってもラグビーボールの窓枠が素敵だからです。

マンホールにラグビーの絵が描かれているからラグビーの街だけではないと思います。トイレにまでラグビーを彩るということは、やはり東大阪市がラグビーの街と言われる所以なのではないでしょうか。

また、この公園内には大きな石造があります。

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イングランドにあるストーンヘンジに似た石造ですが、そうではないのです。

この石造の作者はこれを「對話(たいわ)」と名付けているそうです。

「東大阪を日本のイングランドに」という大きな夢と希望を持つF.C.大阪は、ラグビーだけでなく、サッカーも含めたフットボール文化によってスポーツツーリズムを東大阪市に呼び込む一角を担う役割を果たそうとしています。この石造に込められた想いのように、今後この地に訪れる人々がフットボールを通じて対話していく姿を想い馳せることができます。

この石造がある公園から試合会場の花園第2グランドまで徒歩3分程度。花園ラグビー場の屋根の構造をゆっくり堪能しながら歩いていきます。

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ラグビー場として設計された花園第2グランドでサッカー観戦をする。何だか不思議な気持ちにさせてくれます。

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タッチラインから観客席までは約3メートルほどの近さで観戦するからです。この距離間で観戦できる体験はそうそうない。身体をぶつけ合うラグビーの試合ならもっと迫力を感じるはずです。この距離間ならラグビーを観る目を肥やす土俵となっているのかもと想像しやすいです。

また、生駒山系を眺めつつサッカー観戦ができる環境はフットボール好きにはもってこいのスタジアムです。本当に心地よいです。

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試合は1対2でF.C.大阪がHonda FCに逆転負けをしました。両チームの自力の差が出た試合とも言えますが、そう簡単に一言で言えない想いがあります。

52分にF.C.大阪が先制した後に、Honda FCは選手交代をする度に攻撃の強度を上げていきました。そして、Honda FCの猛攻に耐え切れずF.C.大阪はアディショナルタイムで逆転を許します。失点シーンのシュートはゴールキーパーのニアサイドを突き刺しました。

通常、角度がないサイドからのシュートに対するゴールキーパーは、ゴールポスト側・ニアサイドに集中してポジションをとります。ところが、このシーンだけニアサイドがぽっかりと空いてしまいました。それだけHonda FCの攻撃には圧力があったのかと考えます。

もし、大阪第3のJクラブになる確固たる決意があるのであれば、アマチュアサッカーの最高峰のチームであるHonda FCを絶対に越えなければいけません。この敗戦はHonda FCからの「まだJクラブになるには早い」というメッセージが込められているように感じました。

しかし、僕にはF.C.大阪の未来には希望があると思います。

試合終了のホイッスルが鳴り響くと同時に席を離れる観客が多い中で、僕は親子の対話を耳にしました。

「試合は負けたけど、むっちゃ近くでサッカー観れて楽しかった。」

「かき氷も美味しかったし、また観たいわ。次の試合っていつなん?」

と言って、帰ろうとしない子供に困り顔をする保護者の姿が人が少なくなった観客席にあったからです。

また、試合観戦していたであろうF.C.大阪のグッズを持ったサッカー少年たちが花園ラグビー場の広場でボールを蹴っているのを見かけました。しかも、アディショナルタイムの失点で倒れ込む選手の姿を物真似をしたりしていました。

小さなエピソードですが、このようなエピソードが積み重なり合って「ラグビーの街」だけではない、「ラグビーとサッカーの街」東大阪市となっていくはずと思わざるを得ません。

現地でしか味わえない体験ってやっぱりある。

来週の奈良クラブのホームゲームでもこのような想いに駆られるのかもしれない。そう期待しつつ観に行こうと思う。


2021年9月12日 奈良クラブ vs ホンダロックSC 観戦記(以下、有料)


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