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ティアモ枚方でサッカー愛を語ろう!JFL24節 FCティアモvsFC刈谷 観戦記

緊急事態宣言が解除され、お酒を飲んで帰る人が増えています。コンビニのレジで順番を待っていると、さすがコスモポリタンシティ・神戸、色々な国の言葉が聞こえてきます。僕の後ろで待つ2人組の女性はかなりお酒を飲んでいるようだ。2人が会話する声は大きく、カタコトの日本語が店内に響いています。

「アノ人ノ時計ッテ、コピーヤデ。コピー。ニセモノツケテルネン。ソコマデシテ、ナンデ女ニモテタイ?」

ごめんなさい。たいていの世の男性はバカです。

なんだかんだ言っても、男性は女性にモテたいのです。

モテたいがためにダンディズムを勉強し、実行しては失敗する。失敗した経験から世を学び、何かを悟る。でもまた失敗する。繰り返すその失敗談を人は男の勲章と決して言わない。

特に20歳の頃はオトナの階段を全力で駆け上がろうと頑張ります。また、堂々とお酒が飲めるので、とにかく必死です。

僕が20歳だった1998年、当時流行したDragon AshのボーカルのKj(降谷建志)のような髪型であんなことやこんなことを頑張っていました。


ご存じかと思いますが、女優・藤原紀香氏がかつて結婚式を挙げた神戸三宮にある生田神社の西隣界隈では「いい感じ」のバーが点在しています。

恋愛関係なのか疑似恋愛なのか、真相は闇の中。夜が深くなるにつれて愛を語りたいカップルがこの界隈を彷徨っています。

たとえば合コンで知り合い、僕に好意があると思われる女性と「いい感じ」のバーへ行く絶好のチャンスが舞い込んできたとしましょう。

この状況は正しく、

あとはゴールにシュートを撃つだけ!

否や、流し込むだけ!! と言っても過言ではない。

なぜ、そう言い切れるのでしょうか。ウフフなチャンスのために、男性は夜の社会科見学と称して必ず「いい感じ」のバーを探しているからです。そして、女性のタイプ別に数軒ほどリストアップし、いつかその時が訪れることをずっと信じて待っています。

ところが、意気揚々と入った店は下見をした店ではないことが発覚します。カウンターに座った時点で。

全く読めない英語の筆記体と小さくそっと書いているカタカナ表記のメニューやそのお値段に度肝を抜かされます。

思わぬ大ピンチ。でも、僕は大丈夫。

紫煙をくゆらせ、ハッタリの余裕を装ってカクテルの注文をします。

さて、どうして上手く注文できたのでしょうか。

答えは簡単。サントリーのザ・カクテルバーで一通り名前を覚えたからです。ただし、ソルティードッグのグラスの縁に塩が付いていることは知る由もない。それでもピンチを切り抜けることができたことに感謝します!

ありがとう永瀬正敏!ありがとうサントリー!!

読者の皆さまは色々な種類が発売されたザ・カクテルバーの中でどの味が好きでしたか?そして、あのCMのキャッチコピーを覚えていますよね。

愛だろ、愛っ。

このキャッチコピーを令和のご時世に思い出すのは、JFL24節・FCティアモ枚方 vs FC刈谷の試合を観戦したからです。

この日のホームチームであるFCティアモ枚方は今年JFL1年目の大阪府枚方(ひらかた)市、寝屋川市、交野(かたの)市といった北河内地域を本拠地としています。かつてガンバ大阪に所属していた新井場徹氏、播戸竜二氏、稲本潤一選手の3名が2004年に設立したことで有名です(当時のチーム名はFCイバンイーナ)。

クラブ名・ティアモの由来はイタリア語で「愛している」という意味です。「地域を愛し、地域から愛される」チームという想いが込められています。

愛している。

ミドル世代はこの言葉の響きだけで強くなれる気がします。たとえ口先だけだったとしても、嘘から出たまこと、一緒にいる時間を重ねるうちにお互いを想う気持ちが自然と芽生えてしまうことも知っているからです。

僕はこの試合を観て、嘘でもティアモ枚方を愛しているとは言えません。けれども、決して無関心にはならなかった。その理由は枚方の地でもサッカー愛を感じ、サッカーに対する愛が深まったのは言うまでもありせん。

文中敬称略


枚方市民のかっちゃん、サッカー愛を語る。

中学校の教師でありサッカー部の監督をしている枚方市民のかっちゃん。大学卒業後、島根県の石見FCに所属し、中国社会人サッカーリーグでプレーしていました。当時の有名な対戦相手チームには創成期時代のレノファ山口FCやファジアーノ岡山FC、ガイナーレ鳥取の前身・SC鳥取、三菱自動車水島FCがいました。また、他のカテゴリーのリーグを含めてJFL昇格やJリーグ参入を目指しながらも志半ばで解散したチームもたくさん見てきました。ティアモ枚方の試合を初観戦した枚方市民として、元社会人サッカー選手として、教師として、それぞれの視点からサッカー愛を語っていただきました。

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ティアモ枚方って、最初は枚方市の老舗サッカークラブの枚方FCがプロ化するんだと勘違いしたのよ。1969年(昭和44年)から活動しているクラブで、幼稚園児から社会人サッカーまで各世代のカテゴリーにチームがあるでしょ?そこの社会人チームがプロ化するんだと思ってたら、何か詳しく聞いていくと色々と違ってた(笑)。黄金世代の稲本・播戸・新井場のチームがティアモ枚方してJリーグ参入を目指すと分かって腑に落ちたのを覚えてる。その経緯は知らないけど、勝ち上がっていくともっと上のカテゴリーに挑戦したい気持ちは分かるしね。同時に運営側も大阪府サッカー協会に問い合わせして、関西リーグやJFLに必要な年間予算とか念入りに調べて準備したはず。社会人チームってさ、選手兼監督兼代表者のワンオペチームって多いでしょ?その中で早い段階からチームと運営と別行動していた点は侮れない。

大阪府5部リーグから始まってJFLまで上がってきた実績、これは本当に凄いと思う。だってさ、大学生が就職して勤務先が遠方になった、本業の仕事で転勤する、家庭の事情などの理由で主力選手がクラブを離れて戦力ダウンする「社会人サッカーあるある」がなく勝ち進めてきた、これは大きいよね。実際には色々とあったかもしれないけど。とにかく地域リーグからJFL昇格するのも年々難しいのにしっかりと結果を残しているのは本当に凄い。

チーム運営も頑張って行政との連携もできている。その証拠にJFL昇格したから枚方陸上競技場のグランドがJFA基準に合わせて少し大きくなった。枚方市の大会でこのスタジアムを使うから、広くなったり芝生張替えしたりして貰えたのは嬉しいよ。

今の地域リーグの選手は部費を払っているのかな?上位チームの選手の中には「部費って何?」みたいな感覚があるかもしれない。その感覚がもし本当にあるとしたら、今の地域リーグはセミプロチームが主体で、純粋の社会人アマチュアチームが少なくなったと言える。言い換えたら、所属選手から集める部費だけの予算規模では勝ち上がるのが非常に難しい時代やね。それだけ日本のアマチュアサッカーのレベルが上がった証拠。そう考えると、僕は必要最低限の部費を集めたチームで創成期の中国地方のJクラブ3チームと対戦したって自慢できるかな?できないよね(笑)

ティアモ枚方って、JFLで意思統一など完成度の高いサッカーをするとは正直思わなかった。このサッカーを生徒も観て欲しい。普段観るサッカーがJリーグだけじゃもったいない。色々なサッカーを知らないと視野は狭くなるだけ。せっかく枚方にサッカーチームがあるんやから、観ないと絶対に損するね。今なら大阪王将とのコラボ企画でから揚げサービスがあるんやし、生徒は何がなんでもティアモ枚方を応援しないとあかん(笑)。

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※3名以上の来店及び対象店舗のみのサービスです。


社会人サッカーあるあるで薄れた第一印象

僕がティアモ枚方を初めて観た試合は、昨年のJFL昇格をかけた全国地域サッカーチャンピオンズリーグ 兵庫ラウンド最終日(以下、地域CLとする)です。印象を強いて言うならば、手堅いサッカーをしていた、というざっくりとした印象しか言えません。その理由として、この試合では社会人サッカーあるあるが2度起きたからです。

あるある①  副審のレフリーフラッグ

副審のレフリーフラッグは年季が入って色褪せていました。自前のフラッグだと思います。地域CLは日本サッカー協会管轄の大会です。それなのに色褪せた自前のレフリーフラッグを使わすなよ!協賛にモルテン社がバックアップしているのなら、新品を使って気分良くレフリングさせてあげてよ!!僕の想いが通じたのか分かりませんが、後半からは新品っぽいレフリーフラッグを使っていました。フラッグを上げる音が前半より力強く聴こえました。

地域CLを担当するレフリーは1級審判員です。1級審判員でもサッカー用具を限界ギリギリまで大事に使い続ける心意気に敬意を表します。地域リーグ以下では色褪せたレフリーフラッグをよく見ますが、日本サッカー協会管轄の大会で見るとは思いもしませんでした。この奥ゆかしいエピソードは語り継がなければいけません。

あるある②  試合中のアクシデント・背番号が剥がれる

対戦相手のJ.FC MIYAZAKI(現・ヴェロスクロノス都農)の選手にアクシデント。某選手のユニフォームは背番号をテープで固定していました。某選手の汗なのか接触プレーなのか原因は不明ですが、試合中に背番号が剥がれました。一度ベンチに戻り貼り直すもうまく固定できておらず、2度目の貼り直しを主審に指示されていました。

大会までにJ.FC MIYAZAKIの某選手のユニフォームが間に合わなかったのでしょう。ユニフォーム規定は上位カテゴリーになると厳しいです。現在の使用中のユニフォームが廃盤となった場合、追加選手のためにチーム全員分のユニフォームを買い直す、背番号だけを作り幽霊部員のユニフォームに付けるパターンなどがあります。

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このような社会人サッカーあるあるを地域CLの1試合で2度も起きると、ティアモ枚方が良い内容のサッカーをしていても印象が薄れてしまいます。しかし、ティアモ枚方の勝負どころを見極める力については深く覚えています。

これより得点シーンからティアモ枚方の強さや魅力を掘り下げていきます。ぜひご覧ください!
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勝負どころ  意思統一と信頼関係(以下、有料)

ティアモ枚方のサッカーで一番興味がある点は、勝負どころを見極める力です。きっと監督やコーチ陣が描くサッカーを選手も同じように描き続けているからだと思います。つまり、勝負の流れを読み切り、相手を圧倒することを練習から徹底しているのではないかと考えられます。

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