西田 健志

神戸大学准教授。コミュ力を補うITコミュニケーションシステムを研究しています。消極性研…

西田 健志

神戸大学准教授。コミュ力を補うITコミュニケーションシステムを研究しています。消極性研究会メンバーで「消極性デザイン宣言」を出版。身近な消極性デザインなどについて書いていきます。 http://www2.kobe-u.ac.jp/~tnishida/index-jp.html

マガジン

  • 大学のデザイン

    大学の教育や運営にも観察を、プロトタイピングを、実験を。

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    消極的なままでも無理なく生きていけるように配慮してものごとをデザインする「消極性デザイン」にまつわる記事をまとめています。

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コミュニケーションの研究をするか迷っている人に捧げるnote

大学や学部の選択に際して、あるいは、進学してからのゼミ・研究室選択に際して、どんな分野を専攻するかは誰しも悩むものと思います。あまりにもいろいろな分野がありますからね。 そんな中でもコミュニケーションに関する分野はわかりやすく対応している科目が高校までになかったりするのもあって、どんなことをするのかくらいはガイダンスや資料などでわかるとしても、自分に向いているか(得意か、好きになれるか)などはイメージしづらいのではないかなと思います。 このnoteでは、私が考える「コミュ

    • JavaScript を教える理由(ほぼ無料)

      神戸大学の国際人間科学部で「プログラミング基礎演習1・2」という学部共通科目の担当をしている者です。この授業では JavaScript を教えています。取り上げている題材は以下の3つです: p5.js (クリエイティブコーディング) Chrome 拡張機能 Google Apps Script 授業テキストは以下のページで公開しています。 この note はほぼ無料で有料部分には演習問題を載せています。 本当は演習問題集を載せただけの note を作る予定だったので

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      • 優秀卒論を11本も選ぶ理由

        2021年度、神戸大学国際人間科学部グローバル文化学科(以下、グロ文)では「優秀卒業論文賞」を11本選びました。「11本は1学科の表彰の数としては多いのでは?」と感じる人もいるのではないかと思います。この記事ではその理由・狙いについて説明していきたいと思います。 新旧の選考方法比較グロ文は、その前身である国際文化学部が発達科学部と統合して1学科になってから5年目の学科で、この春で2回目の卒業生を出したところになります。優秀卒論の制度はそれぞれの学科で独自に運用されていて、1

        • ポケモンで学ぶ Excel データ分析 ― Pivot Table & Power Query

          ポケモンファンのみなさんも Excel ファンのみなさんもこんにちは。 この記事は以下の2タイプの人向けに書いています。 Excel 使いこなしたい勢:簡単な集計やグラフ作成くらいはしたことがあるけど、もう少しデータ分析などしてみたい人 ポケモン対戦ガチ勢:対戦記録を Excel に付けている、あるいはこれから付けようと思っている人で、その分析方法を知りたい人 この記事の要点を図にするとこんな感じになります。 ポケモンなんてやらないよ、対戦記録なんてつけてないよという方

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          続:学部改組ビフォーアフター

          2017年4月に誕生した神戸大学国際人間科学部から初めての卒業生が出るだけの月日が流れました。学部改組に合わせてカリキュラムもいろいろ変更がありましたが、2021年度から再びカリキュラムが改正されることになりましたので、どう変わったのかを書こうと思います。 グローバル文化学科のことしか書きませんのでご了承ください。 前回のカリキュラム改正については以下の記事をご参照ください。 4講座 → 3プログラム → 4プログラムグローバル文化学科をさらに分けた単位であるプログラムと

          続:学部改組ビフォーアフター

          コロナ禍の大学新入生が人間関係を築くには ― 学生からの提言レポートまとめ

          2020年度は大学の新入生にとって特に大変な1年になりました。多くの授業はオンラインで行われ、多くの行事は取りやめになってしまいました。対面できる機会が少ない影響で同級生や先輩との人間関係を築くのが難しくなり、孤独を感じること、普段ならちょっとした雑談から得られたであろう情報を見逃してしまうことなどが増えました。 2021年度はどう取り組むべきでしょうか?一教員として考える note です。 2021年度の大学が置かれる状況残念ながら、2021年度もコロナ禍はしばらく続く

          コロナ禍の大学新入生が人間関係を築くには ― 学生からの提言レポートまとめ

          自己紹介+匿名で生まれる新しい親睦会の可能性を探求してみた

          自己紹介って難しいですよね。初対面でオープンにしすぎると周りに引かれてしまうかもと思って、無難に旅行が好きとか読書が好きとかで終わってしまい、何にも印象に残らなかったりするとかがある。「バンドやってます」は言いやすいけど「アイドルオタクなので握手会が恋しいです」は言いづらいみたいな趣味嗜好格差なんかもある。 親睦会での自己紹介で大幅に手加減をしてしまったとしても、その後学校や職場で繰り返し会う中で少しずつ距離を縮めていって、少しずつ様子を見ながら自己開示していくことができれ

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          オンライン研究室合宿をしたけど打ち上げられなかった話

          私の研究室(文系文化で「ゼミ」と呼ぶことも多いです)では例年、夏休みの序盤の1週間を「本気ウィーク」と称して、一緒に集まって集中的に卒論や修論に取り組むことにしています。お昼ご飯はみんなで同じ店の出前を取る、おやつタイムはみんなでかき氷を作るなどして、毎日家には帰るけどいつもとはちょっと違う合宿気分が出るようにしています。最終日には1週間の目標をどれだけ達成できたかを共有して、打ち上げをします。 例年「本気ウィーク」をやってきた理由・授業期間中にはなかなか進まない研究を軌道

          オンライン研究室合宿をしたけど打ち上げられなかった話

          学ばないから自由になれない10月の僕

          欅坂46の「僕」はそろそろ素敵な大人に出会ってよかった。 映画「僕たちの嘘と真実 Documentary of 欅坂46」のネタバレを微かに含みますのでこれからネタバレ0で見たい方はご注意ください。 2019年に制作され、CMソングとしても使われていたが発売されることがなかった欅坂46幻の9thシングル「10月のプールに飛び込んだ」が、およそ1年の時を経て2020年10月発売のラストアルバムに収録されることになり、先日のラジオで全曲&歌詞が解禁された。 以下、歌詞未読の

          学ばないから自由になれない10月の僕

          ポケモンGO複垢問題の解決策を提案

          ポケモンGOにフレンド機能とPvP(プレイヤー同士の対戦)ができてから、「1人で複数アカウントを使う行為(通称「複垢」)」がますますヘイトを集めています。PvPで有利になるからです。規約違反です。 どう有利になるのか、ポケモンGOをやっていない人でも理解できそうなものをいくつかピックアップします。 ☆強いポケモンを倒すのに必要な人数を(一人二役以上することで)集められる可能性が上がる。強いポケモンをゲットする機会が増える。 ☆ゲットしたポケモンを交換すると個体値(ポケモン

          ポケモンGO複垢問題の解決策を提案

          大学教育改革を振り返る(神戸大学2016~2019)

          2016年から神戸大学で行われた教育改革について現時点(2020年1月)で私が観測できた範囲から振り返りたいと思います。なお、大学内でも様々な角度から振り返りとさらなる改善に向けて議論が行われており、一部は既に決定・広報の段階にあることを申し添えます。 このために綿密・広範な調査を行うほどのモチベーションは今のところありませんので、私の視点からの個人的な報告主体になります。しっかりと分析したい方は広く関係者に当たるなどしていただけたらと思います。 行われた改革内容は以下の

          大学教育改革を振り返る(神戸大学2016~2019)

          課題とグループワークのデザイン

          日々、講義のやり方をアップデートする大学教員の書いている記事です。(なのでこの記事もアップデートされていくものと思われます。) 授業の課題は何のためにあるのでしょうか? 学生の提出してくる課題の出来が悪いのはなぜでしょうか? 教員の側が認識を改めることで改善することができます。 授業の課題は、学生の評価をすることが主目的ではなく、学生が自分自身でよく考えて、手を動かして授業の内容をより効率的に身に付けるために行うものです。そう認識することで、提出して終わるのではなく、そこ

          課題とグループワークのデザイン

          育児専念期間の取得「全員」義務化

          こんな政策はどうでしょう?第2弾 (第1弾 自動運転はもう実用化できる) この週末もワンオペお留守番とお出かけとで休んだ気があまりしないまま終ろうとしています。うちの子らとも少しずつ言葉で意思疎通を図れるようになってきましたが、まだまだ大変です。大げさに言うと少子化の原因を日々肌で感じています。 少し前に男性の育休取得義務化が議論されていたように思いますが、あれはどうなったんでしょうね。私は育休は取らずに来てしまったのですが、ワンオペが毎日続くと想像しただけでもクラクラし

          育児専念期間の取得「全員」義務化

          自動運転はもう実用化できる―ノロノロ深夜限定なら

          こんな政策はどうでしょう?第1弾(シリーズ化予定)。専門家ではなく、ワクワク重視なのはご容赦ください。 自動運転を実用化するにあたっての大きなハードルの一つと言われているのが「不慮の事故が起きたときに誰がどう責任取るの?」問題。これこそ法律できっちりとルールを決めてしまえばよい問題です。 まだ先の話だという気もするかもしれませんが、とにかく今すぐ自動運転車が公道を走れるルールを作ることには意味があります。早く実地運用データが得られれば、技術向上にもつながって将来的に有利だ

          自動運転はもう実用化できる―ノロノロ深夜限定なら

          西田健志へのお仕事の依頼について

          大学教員としての教育・研究が本業です。おかげさまで、十二分に刺激的で忙しい毎日を送らせていただいていますが、ありがたいことにこんな私を必要として声をかけてくださる方がいるおかげで様々な仕事を経験させていただいております。今後、仕事依頼をくださる方の参考になることを願い、これまでの仕事をここにまとめておきます。 ちなみに本業の情報はこちらにまとめています。 講演・講義・メディア出演一般の人向けに技術的に難しいことを控えめに、でも研究者らしさのあるトークをするのはそこそこ得意

          西田健志へのお仕事の依頼について

          下っ端大学教員の私が提案したけど実現できなかったこと

          2010年、今の勤め先に赴任して最初のうち意外だったのが、講師(当時)の私も「教授会」に出席して、教授の方々と同じ一票を持っているということ。来たばかりの人には???となる謎のルールや謎の決定が多いけど、何はともあれその場にいられるわけです。「白い巨塔」なんかで見たイメージとは全然違って、下っ端が生意気を言っても「元気だね」くらいで許してくれそうな空気です。 だんだん慣れてくると、細かい話し合いはトピックごとのもう少し小さな「委員会」という会議で行われていることなどがわかり

          下っ端大学教員の私が提案したけど実現できなかったこと