いわきFC、J2昇格へ

 いわきFCは、事実上の首位決戦と言われた第22節の藤枝MYFC戦を3-0(前半2-0)で快勝、残り12試合で、いよいよJ2昇格がうっすらと見えてきた。試合前、勝ち点45で首位のいわきFCに対して、藤枝MYFCは勝ち点38で、その差7ながら、6連勝中で試合数が2つも少なく、いわきに勝ってさらにその少ない2試合とも勝つとすれば、勝ち点47で首位に立てる状況にあった。
 藤枝MYFCの須藤監督は、見た目、苦み走った男前で、「サッカーはエンターテイメント。点を取られてもそれ以上の点を取って勝つ、攻撃的な試合をしたい」という男前のコメントをしていた。激しい試合が予想されたが、前半は、いわきFCが圧倒。藤枝MYFCにビルドアップも許さず、4分に日高、20分に鈴木とゴールを決め、早々と2点のリード。前回対戦は、2-0から追いつかれて、2-2の引き分けに終わったが、今回は、いわきFCが圧倒。2-0の慢心もなく、後半には、遠藤選手の初ゴールも生まれ、いわきFCの圧勝であった。途中、いわきFCの攻撃を受ける相手選手に対して、少し「気の毒だな」との印象を持つぐらいの圧勝であった。
 最終ラインから中盤へのパスを狙われるので、藤枝MYFCの中盤の選手は「プレスが来る」という恐れを抱くようになり、トラップやパスでのミスが目立つようになった。ただし、後半の立ち上がり、藤枝MYFCの攻撃が活性化した。いわきFCと同じように右サイド圧縮の戦術が功を奏して、何回がチャンスを作った。しかし、インテンシティで勝るいわきFCの前に、この戦術も徐々に機能しなくなった。終わってみれば、シュート1本(しかも前半だけ)の抑えられたのであった。
 この日、いわきFCのベンチワークも適切であった。藤枝MYFCの後半立ち上がりの攻勢を見て、選手交代で対処、12分に山口、谷村を投入、19分には、DF江川をFD有馬に代えて嵯峨を一列前に出す盤石の戦術。危なげなく勝利した。観戦していて気持ちに余裕があったのか、谷村選手の髪が伸びすぎているなど、試合に関係のないことにも目が行くほどであった。
 このまま行けば、J3優勝、J2昇格という道筋が見えてきた。残り12試合で、やっかいなのは、鹿児島(ホーム)と今治(アウェー)の2チームとの対戦であろうが、J3最多得点、最小失点のチームがそうそう苦戦するとも思えない。むしろ、いわきFCの戦術が上のカテゴリーでも通用するのかに興味が移った。この試合の直後に、川崎対鹿島を見たが、J1の選手たちは容易にプレスをはがす技術を持っているのだと改めて感心した。ただし、実況のアナがいわきFCの選手たちのコメントとして、「シーズン当初より連携が良くなってきた」を紹介していたのは、心強かった。進化しているのだ。
 J3を1年で通過したチームとしては、レノファ山口がある。2015年、36試合で総得点96点・得失点差+60、無得点試合がわずかに2、得点ランキング上位を独占という圧倒的攻撃力でJ2昇格を果たした。ただ、その後は、J2で上位になることはなく、8位が最高で、今期も低迷。一方、いろいろな前例を打ち破ってきたわがいわきFCは、チームマネジメントの違いがある。今後さらに注目度が上がっていく中で、マネジメントが力を発揮してくれるだろう。心から応援できるチームをありがとう。
 

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