小池武嗣(こいけたけし)

看護師として、ICUやCCU、フライトナースを経験。保健師として、沖縄の離島でサバイバ…

小池武嗣(こいけたけし)

看護師として、ICUやCCU、フライトナースを経験。保健師として、沖縄の離島でサバイバル生活を経験。現在は、聖隷クリストファー大学看護学部の在宅看護の教員。幅広い分野の経験を還元できるようなバーチャルリアリティ環境の構築およびコンテンツ作成が主な研究分野。必殺技は看護教育のDX。

マガジン

  • 「デジタル看護入門」看護のDXに必要な100のポイント

    数年前から、「看護教育のDX」を研究テーマとして活動している筆者が、できるだけわかりやすく「看護とICT」について解説していきます。実際の看護学校で活用できるようなさらにポイントをまとめた資料も同時進行で製作中です。解説動画なども同時進行で更新していきます。連載は100回を予定しております。いろいろな学校などでの講演や非常勤講師の依頼も随時受け付けております。

  • 離島の保健師をやってみた!「島で学んだ100のこと」

    10年前に沖縄の離島で保健師をしていました。沖縄で、しかも離島で、さらに保健師として暮らした約2年間の日々を振り返ります。100回で連載終了の予定です。

最近の記事

「デジタル看護入門」第19回 〜看護師さんのICT?〜

 なぜ看護師さんはICTが苦手なのかな~とふと考えることがあるのですが、もしかしたら、看護師さんそのものがICTな部分があるんじゃないかなと思うようになりました。おそらく、こいつは何をわけのわからないことを言っているのか、と感じている人がほとんどでしょうが、わりと真面目に考えたので、ぜひ聞いてください。  通常のICT(Information and Communication Technology)は「情報通信技術」の略ですが、私の考える看護師さんのICTは、「Infor

    • 「離島の保健師をやってみた」第16回 〜離島の食生活!〜

       島にはいくつかスーパーもあり、観光客や地元民向けの居酒屋系のお店が数店あります。スーパーでは食材からパンやお弁当などまでひと通り揃っていますので、普通に自炊は可能です。ただ、暑さや湿度がありますので、食品類はすぐに傷んでしまいます。ですので、昼ごはんなどはお店系で済ませることが多かったですね。夜も疲れていたら外食系でした。  まず、朝ご飯は、おおよそ昨晩のおかずなどの残り+炊飯したお米あるいはパンです。お米は、やはりあまりもたない、そして炊飯したお米もすぐに傷みますので、

      • 「デジタル看護入門」第18回 〜在宅における点滴管理とICT〜

         前に中心静脈栄養の点滴についてお話ししましたが、今回は輸液ポンプの説明をします。輸液ポンプは人工呼吸器と同様に、ほぼ病院などで使用されますが、在宅療養で決められた量や速度で点滴を行う場合、在宅でも輸液ポンプを使用することがあります。  輸液ポンプは、ひと昔前までは、機械も大きく、音もうるさく、きちんと点滴のルートを機械につなげても、すぐに「気泡」や「閉塞」などでアラームが鳴ったり、再確認しても、アラームが鳴り続けたりと、なかなか管理が大変でした。いまでは、さまざまなセンサ

        • 「デジタル看護入門」第17回 〜在宅での吸引処置とICT〜

           在宅療養で人工呼吸器を使用している場合、同時に必要な医療機器として、痰を排出させるための「吸引器」があります。「吸引」の頻度は、個人差はありますが、基本的に体位交換と一緒で、2時間おきには行うケアのひとつです。介護者の負担もあり、患者さんの苦痛も大きい医療ケアとなります。  そこで、まだあまりメジャーではありませんが、低定量持続吸引が可能な「自動吸引システム」が、少しずつ実用化に向けて、開発がされています。今のところ、ALSや筋ジストロフィーなどの神経難病の患者さんのよう

        「デジタル看護入門」第19回 〜看護師さんのICT?〜

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        • 「デジタル看護入門」看護のDXに必要な100のポイント
          22本
        • 離島の保健師をやってみた!「島で学んだ100のこと」
          20本

        記事

          「離島で保健師をやってみた」第15回 〜はじめての沖縄本島〜 その2

           はじめての沖縄本島の出張で、島にはない本屋さんでウロウロとしたあと、おなかが空いたので、食堂を探し始めました。麺類がなかなか島にはないので、それ系がいいなと思い、「沖縄そば」という看板のお店に入りました。そして「沖縄そば」を注文しました。ちなみに私は沖縄に行くまで、沖縄の知識はほとんどゼロでした。沖縄に行ったこともなかったですし、沖縄にも特に興味はありませんでした。そんなおまえがなぜ沖縄に行った!と思われるかと思いますが、なかなか人生とはわからないものですね(笑)。  で

          「離島で保健師をやってみた」第15回 〜はじめての沖縄本島〜 その2

          「離島で保健師をやってみた」第14回 〜はじめての沖縄本島〜 その1

           働きはじめて1週間ほどたったあと、課長さんから「沖縄本島の県庁や保健所に挨拶に行きましょう」といわれ、島に着いてから、はじめて島を出ることになりました。  この島の船は朝と夕方の2便だけで、朝の便だと沖縄本島につくのは11時頃です。夕方の便は沖縄本島発が16時頃です。つまり、朝10時より前の会議や行事がある場合、朝の船では間に合わないので、前日の夕方に出発します。夕方16時以降までかかる会議などの場合も、その日に島に帰れませんので、翌日に朝に帰ることになります。  です

          「離島で保健師をやってみた」第14回 〜はじめての沖縄本島〜 その1

          「デジタル看護入門」第16回 〜在宅での栄養管理とICT〜

           前回までは「呼吸器」関連の話でしたが、今回からは「栄養」関連の話をします。人工呼吸器と同様に、ひと昔前までは、点滴いわゆる「持続的静脈内注射」をしている状態で、在宅療養することは、非常に困難でした。今でも、一般の方々は、点滴や人工呼吸器を使用している状況で、自宅に帰ることができるなんて、あまりイメージができないのではないでしょうか。在宅療養における、いわゆる「点滴」による栄養管理を行う場合、少し特殊な中心静脈栄養法(Total Parenteral Nutrition:TP

          「デジタル看護入門」第16回 〜在宅での栄養管理とICT〜

          「デジタル看護入門」第15回 〜在宅医療とICT その2〜

           前回に続いて、在宅における酸素療法について、お話しします。   ★HMV(Home Mechanical Ventilation:在宅人工呼吸療法) 在宅人工呼吸療法とは、呼吸器の慢性疾患や、難病などにより、神経・筋疾患など障害があり、呼吸の補助が必要な患者さんに対して、在宅で人工呼吸器を使用する治療法です。前回、説明しましたが、HOT(在宅酸素療法)は、自分で呼吸ができるが、ガス交換が不十分のため、酸素を補う治療法で、このHMVは、呼吸そのものが自身では難しいため、その補

          「デジタル看護入門」第15回 〜在宅医療とICT その2〜

          「デジタル看護入門」第14回 〜在宅医療とICT その1〜

           前回の最後に、在宅療養をしている患者さんにも人工呼吸器が使用されているというお話をしましたが、今回は、在宅医療における医療機器、とくに呼吸器系の解説をします。いくつか種類がありますので、簡単にご紹介します。 ★HOT(Home Oxygen Therapy:在宅酸素療法) おそらく呼吸器系の疾患の患者さんの在宅療養で、一番歴史のある療法かと思います。昔は、機械ではなく、直接、あの大きな酸素ボンベから直接、酸素吸入を行っていましたが、現在では、空気中から酸素を取り出す、吸着

          「デジタル看護入門」第14回 〜在宅医療とICT その1〜

          「離島で保健師をやってみた」第13回 〜離島に着いたときのエピソード3〜

           島に着いて、道行く人たちから「?」という顔でよく見られました。島には、観光客がたくさんきますが、島の人間とそうでない人たちはすぐに見分けがつくようです。観光客でもないし、島の人間でもなさそうな私は、なじむまで時間がかかりました。保健師という職業柄、顔を売っておかないといろいろと不便もあるので、積極的に島を散策したり、行事に参加する必要がありました。もともと人見知りがちな私は、そういった島の住民の方と打ち解けるまでの努力はわりとたいへんでした。  実際に保健師として働き始め

          「離島で保健師をやってみた」第13回 〜離島に着いたときのエピソード3〜

          「デジタル看護入門」第13回 〜人工呼吸器とICT〜

           前回は、呼吸の観察に関する医療機器を解説してきましたが、今回は、おそらく看護師さんが一番苦手とする医療機器である「人工呼吸器」です。なぜ苦手なのか、それは人工呼吸器の種類や機能がとても多く、さらにICT技術の進化により、どんどん人工呼吸器もバージョンアップされているからです。進化が遅い医療機器も紹介してきましたが、人工呼吸器に関しては、進化がとても速い医療機器のひとつです。  人工呼吸器は、呼吸不全の患者さんへ使用されます。人工呼吸器を使用する目的は、呼吸の状態を改善する

          「デジタル看護入門」第13回 〜人工呼吸器とICT〜

          「離島で保健師をやってみた」第12回 〜はじめて離島に着いたときのエピソード2〜

           保健師としての採用は6月からでした。数日前の5月下旬に島に到着しましたので、実際に働き始めるまで、数日、時間がありました。その間、島を見学したり、身の回りを整えたりしていました。  着いた日からの2〜3日は、すごく精神的に追いつめられた日々を過ごしました。島に着いた日の夜、ものすごい孤独感におそわれました。離島の船は、基本的に夜は運行しません。夜は船がでなくて、離島に取り残される感覚が激しく自分を襲い、不安と恐怖でいっぱいでした。少しずつその感覚は慣れていきましたが、キュ

          「離島で保健師をやってみた」第12回 〜はじめて離島に着いたときのエピソード2〜

          「離島で保健師をやってみた」第11回 〜はじめて島に着いたときのエピソード1〜

           今回は、離島の保健師として採用が決定して、はじめて島に着いた日の話をします。  沖縄の小さな離島には、まず行くまでがたいへんです。朝一番で東京を出発し、電車→飛行機→モノレール→タクシー→船とあらゆる乗り物を経て、夕方に目的地の島に無事に着きました。バタバタとあわただしい1日でしたので、無事に着いた瞬間は、本当にホッとしました。  島に着いたら、採用時にお世話になった、役場の住民課の課長さんと非常勤の保健師さんが、船着き場で待っていてくださいました。今でもそのときの情景

          「離島で保健師をやってみた」第11回 〜はじめて島に着いたときのエピソード1〜

          「デジタル看護入門」第12回 〜呼吸の観察とICT〜

           前回までの解説で、パルスオキシメーターと聴診器について、お話ししました。今回も「呼吸」に関する内容ですが、じつは呼吸数や呼吸の程度を測定する機器は、厳密にいうと心電図モニターで間接的に測定する機器(心電図モニターの3誘導の装着部位(赤・緑・黒)が、呼吸による胸郭などの動きで、それぞれの移置が変化することにより、呼吸状態を感知して、呼吸の程度と呼吸数を測定しています。)くらいしかありません。呼吸の程度や呼吸数については、ICT技術が進化しても、医師や看護師の直接的な観察、つま

          「デジタル看護入門」第12回 〜呼吸の観察とICT〜

          「デジタル看護入門」第11回 〜酸素飽和度測定器とICT〜

           今回は、ひとむかし前までは、一般的な患者さんのバイタルサインとしては、それほど測定されていなかった「酸素飽和度」いわゆるサチュレーションです。パルスオキシメーターが高価であり、まだあまり普及していなかった頃は、ICUなどの重症患者さんのベッドサイドモニターなどで「酸素飽和度」を測定するしか方法がありませんでした。ICT技術などの進歩により、パルスオキシメーターがコンパクトになり、体温計のように持ち運びができるようになり、そして安価になりました。今では看護師さんひとりひとりが

          「デジタル看護入門」第11回 〜酸素飽和度測定器とICT〜

          「デジタル看護入門」第10回 〜聴診器とICT〜

           聴診器は、日常的に医師や看護師さんが医療現場で用いられている、ごく身近な医療機器です。聴診器は、開発されてから、約200年ほどの歴史がありますが、実は今まで、あまり進化してこなかった、ある意味、めずらしい医療器具でもあります。といいますのも、おおくが患者さんの呼吸音や心音を直接、聴診器で聴診する方法に、あまり不便を感じていなかった部分もあり、聴診器を使用する医療従事者もある程度、限られていたため、あまり新しい技術の投入や、聴診器の改良などが行われなかったという背景があります

          「デジタル看護入門」第10回 〜聴診器とICT〜