見出し画像

<本音・宜・吐露 & 弱音・宜・吐露>【七】 ~本音や弱音を宜しく程よく吐露します~

「負け惜しみから始めた考察」

昨日、ネットニュースを見ていたら母校の卒業式が2月1日に行われたという記事を発見。
道内の高校トップを切っての卒業式とのこと。

自分が高校生だったときは、2月中旬だった気がする。そのときでも母校は北海道で最初に卒業式が行われるということで、報道関係の人が来ていたと記憶している。

記事は北海道新聞デジタルの2月1日のものだった。会員限定記事だったので記事全文は見えないが、写真が掲載されていてそれは見ることができた。

写真は登壇して卒業証書を受け取っている場面。しかしその生徒の後ろにはそれ以外の卒業生が座っている様子が見える。見る限り全員が黒っぽいスーツを着て、白ワイシャツにネクタイという感じ。

私が卒業したのは1996年。そのときとはかなり様子が違うというのが正直な感想。
私のときは、以前に比べ落ち着いたとはいえ、卒業生が思い思いの格好をして卒業式に参加するような流れだった。

割合までは覚えていないが、特徴的な服装で参加する者がけっこういた。思い返してみると、着物がいたし、時代劇に登場するような裃もいた。新選組みたいな姿の人もいた。白を基調とした海軍の服装とか、派手なチェック柄のジャケットも記憶に残っている。寝巻みたいな人もいたと思う。

もちろん落ち着いた色のスーツにネクタイというのが主流ではあったが、特徴的な服装だとしても、会場から追い出されるということはなく、寛容な卒業式だった。私も友人から一緒に新選組の服装にしないかと誘われていた。しかし指定校推薦で進学することになっていたので、推薦取り消しなどを恐れ、無難にスーツを着て参加した。数年前に壇上で服を脱いでしまうパフォーマンスで推薦が取り消しになった先輩の噂を聞いたことがあった。さすがに新選組の服装くらいでは取り消しにはならない気がしていたが、ビビりの私はわずかなリスクも回避した。

そんなかつての卒業式の様子と、今回の記事にあった昨日の卒業式の様子は非常に対照的である。確かにかつては卒業式のパフォーマンスといえば母校の名前が上がるような先駆的な立場にあったのは事実である。しかし近年は札幌の公立高校の卒業式が注目されるようになっていて、服装が特徴的であるという範疇を超えて、着ぐるみなどで参加する生徒もいる映像を見たことがある。

パフォーマンスのインパクトもさることながら、この札幌の高校は北海道でトップクラスの進学校であり、文「舞」両道ということで、パフォーマンスが単なる色物ではないと認識され、卒業式のパフォーマンスはこの学校の代名詞として定着していったのである。

一方、我が母校はかつてほどの進学の勢いがないのが正直なところである。それにも関わらず、卒業式のパフォーマンスは以前と同じように続けてしまうと、色物の印象が強まりピエロになってしまう。

そもそも卒業式というのは、これまでの学び舎から巣立つ大切な式典であって、アピールとかパフォーマンスはその式典を盛り上げるためにあっても悪くはないが、それは決して主目的にはなりえないし、不可欠でもないと思う。

だから、以前から続いているということで、あたかも伝統のようなものとしてそこに特別な意味や価値を見出し、それにしがみつく必要はないだろう。今のご時世、SNSなどで不特定多数の人に発信は可能なので、どうしてもアピールやパフォーマンスをしたいのならば、そのようなチャンネルはいくらでもあるわけで、卒業式でそれをすることの必然性は薄まっていると思う。

という感じで理屈を並べてはみたものの、こんな考察をしようと思ったきっかけはシンプルに「負け惜しみ」である。自分が高校を卒業した後しばらくは、北海道の高校で卒業式の特徴的なパフォーマンスと言えば、依然として母校であり、そこに誇らしい気持ちを持っていたのである。しかしいつしか、進学実績もパフォーマンスの代名詞としての知名度も下降していき、別の高校がその代名詞の立場を担うようになった状況は、素直に悔しいし、悲しいのである。

そんな気持ちから「負け惜しみの考察」をしてみたのである。フロイトの防衛機制でいえば、「合理化」の典型例だろう。

母校の卒業式は自分のときと見た目こそ変わっているが、退場するときに流れる曲は変わっていないことを信じたい。校歌は校歌で好きだが、個人的には入学式で入場したときと、卒業式で退場したときに聴いたグリークラブによる学生歌「It's a long way」の方が強く印象づけられている。それまで校歌のようなものは日本語のものしか知らなかったので、英語の歌詞が単純にかっこいいと思って、すぐに虜になったのである。そしてこの曲は今聴いても鳥肌が立つのである。

#つれづれ   #コラム

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?