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深海のテキストエディタ

どんなに書けないときでも、これがあれば大丈夫。と思えるテキストエディタがある。

OmmWriterというアプリを愛用して、今年で7年目。もうこれ無しで文章を書ける気がしないくらい。使うたびに「いいなあ、きみが居てくれてよかった。」と何度でも思ってしまう。

機動すると、ぶわりと画面全体を覆って、書くこと以外、何もできなくしてしまう。自分のぱらぱら散りがちな集中力も、書くための画面と向き合うしかない状態になれば、とりあえず数文字なら書き始めることができる。そしてちょっとでも書いたなら、助走の数文字を皮切りにどんどん筆が走ってくれる。

このテキストエディタの特徴は、音がついている。もちろん消音で使うこともできるが、無視してしまうには惜しいくらい、集中力を邪魔しない丁度いい音楽が数種類から選ぶことができる。タイプ音も、好きなものに設定できる。

(私は、BGMは列車の走行音にして、雨だれのタイプ音を組み合わせるのがとくに気に入っている。雨の日に列車に乗っている気分で、どこまでも書ける気がしてくる。)

イヤホンを装着して、静かな音を聞くともなしに、耳に添わせながら文字を紡いでいると、人里離れた庵に閉じこもっているような、世相の音も届かないような深い海の中に潜っているような気持ちになってくる。自動的に、ぐっと集中して書くことができる。

物づくりをするひとは「ゾーンに入る」という表現をよくつかう。集中力が研ぎ澄まされて、はっと気がつくと全てが終わっているような、否応なしに作業が爆速ですすんでしまうあの感触。亜空間に意識がもっていかれたかのように、圧縮した時間の中でぎゅっと集中出来たときのあの状態のことだ。

OmmWriterを使うたびに、このアプリはもしかするとゾーンに入るための、小さなトンネルなのかも、と思う。人為的にゾーンに入るための装置のような気がしてしまうほど、他のことに目うつりするのを防ぐ仕掛けがふんだんに散りばめてある。

そして使えば使うほど、「この音を聞いたら、この画面を見たら、わたし書くモードになります。しゅっ。」と体が切り替わるかんじがする。書く気になんてとてもなれない、くたびれた深夜にだって、自分のどこにまだ気力が残っていたのかびっくりするほど、書けてしまったりする。

思考の邪魔をしない限りなくシンプルなデザインも、気分で数種類から選ぶのもたのしい。何年もつかっているが、いまだにたのしい。

有料ではありますが、月額課金制ではなく、買い切りで使えるすてきなアプリなので、Macで文章を書かれる方にはとてもおすすめです。
⇒App Store


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たけのこスカーフ
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