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水ようかんがあると、冬が新しくなる話。

ふいに、夫が「水ようかん作りたい」と言い出した。

戯れのひとりごとかと思ったら、本当にスーパーで練りあんこの缶と粉寒天を買ってきて、鍋に火をかけたと思ったら、10分も経たぬ間にとろとろの、あんこ色の液体が出来ていた。

あんこと、水と塩。それから粉寒天のみ。これを一晩冷やせば、ふるふるの水ようかんが出来るのだった。失敗のしようがないくらい、簡単に。

明くる日、無事に固まったつるつるの茶色を、角切りにして食べた。お歳暮などでもらうたびに喜んで食べていたけれど、思えば今まで自らすすんで買ったことはなかった。だけど、電撃に打たれたように気がついてしまった。私はこの甘味がとてつもなく好きなことに!!

夏の季語である水ようかんだが、あたたかい部屋の中で食べるのもたいへんにおいしい。雪が降るほど冷えた日にあつあつの鍋をたいらげて、体も口もあたたまったところに、冷え冷えの水ようかんを迎い入れたときの、品のよいプラマイゼロ。熱気がささやかな甘みとともに、さっと払われる気持ちよさ。

それから、熱いコーヒーと合わせるのも最高だった。水ようかんで冷えた口の中があたたかいもので、ゆるまって溶けていく心地と、コーヒーとの調和がよろしい。毎日だいじに少しずつ、お茶のおともにしていたが、本日ついに完食してしまった。残されたからっぽの容器に寂しくなりかけたけど、これは自宅で作ったものだと思い出して、ほくほくしている。

粉寒天が家にあるかぎり、200円のあんこ缶を買ってくれば、絶え間なく作り足すことができる。冬のささやかなデザートに、コーヒーやお茶のおともに、簡単につくれる水ようかんはいかがでしょう。


●作業時間5分以内の、水ようかんレシピ。

・あんこ缶…210グラム(井村屋のもの。要缶切りです!)
・水1カップ
・粉寒天…小さじ8分目
・塩…小さじ3分の1

1・水1カップと粉寒天を鍋に入れて、中火にかける。沸騰するまでかき混ぜる。

2・弱火にして缶切りでこじあけた、あんこを鍋の中に投入。

3・そこに塩をふたつまみ投入。2分くらいかき混ぜてあんこがまんべんなく溶けたら、作業終了。

4・粗熱がとれたら、四角い容器に入れて一晩冷やせば翌朝つるつるの水ようかんが完成しています。

*思う存分お召し上がりください。カステラとあわせて、シベリアごっこをするもよし、豆乳かんとあわせて、茶色とクリーム色の組み合わせのうつくしさに見とれるもよし。水ようかんのある生活は、冬を新しくします。

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