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心・技・体をフレームワークにしてデザイナーのスキルを整理してみた

僕は「スポーツはビジネスと非常に似ているところがある。」と思っています。振り返ってみると、なぜか各スポーツの超一流選手のインタビューや対談の動画や記事をついつい見ています。雑学としていろんな理論を知りたいという探究心もあると思いますが、心構えや姿勢などは非常に学びがあると感じています。また、ここ最近、育成や教育という部分にも関わってきていて考える機会があり、自分なりに調べてみました。

まずは、超一流選手の練習や試合、競技自体のスタンスに関心があったので、繋がりそうな「心・技・体」から。

「心・技・体」とは

心技体(しんぎたい)は、精神力(心)・技術(技)・体力(体)の総称。スポーツ界でよく使う。「心技体のバランス」

コトバンクにありますが、説明が少ない。。。
それでもう少し調べていたら、国立国会図書館のデジタルデータベースにたどり着きました。心技体の語源となる古木源之助著 「柔術独習書」が見れます。(あの有名な嘉納治五郎が序文を書いている)
※語源は諸説あるそうです。
第二章に以下が書かれています。

第一身体の発育
第二勝負術の鍛錬(即ち護身の用)
第三精神の修養

以上三項の修行法は相互訓練して居れるを以て単に一つの法のみを研究すべきものにあらず

第一身体の発育が「体」、第二勝負術の鍛錬が「技」、第三精神の修養が「心」になります。

少し現代ビジネスマンに合うよう拡大解釈すると、
『心』…志、精神力、心の強さ、心構え
『技』…技術、スキル、アウトプット力
『体』…身体能力、取り組む姿勢、考え方、脳力

などといえるのではないでしょうか。

最後の一行は「お互いに関連するものだから、一つだけを取り上げて研究するものではない」という意味とのこと。(引用元
「どれか一つだけということではなく、バランスが大事だよ。」ということですね。

フレームワークにして使ってみる

「心・技・体」をフレームワークとして、デザイナーに当てはめてみたら、どうなるか考えてみました。(一例です)

「心」は、デザイナーの心構え・哲学 (Designer’s spirit / philosophy)
  ・細部までこだわる
  ・なんでもやってみる
  ・夢中になる
  ・好奇心

「技」は、デザイナーのスキル (Designer’s skill)
  
・審美眼
  ・アウトプット力 *
  ・ストーリーを語れる
  ・説明するチカラ
* デザイナーのアウトプットについてはこちら

「体」は、デザイナーの考え方・思考法 (Designer’s thinking)
  
・Whyから考える
  ・ユーザー中心
  ・リフレクション
  ・想像力

いかがでしょうか。
エンジニアやPMでも当てはめてみると、なにかヒントがありそうですね。(時間あったらディスカッションしながら出してみたい)

では、これらをどういう順で学んでいくのがいいのか。というのが、これまた有名な「守・破・離」ですね。

「守・破・離」とは

守破離(しゅはり)は、日本での茶道、武道、芸術等における師弟関係のあり方の一つ。個人のスキル(作業遂行能力)を3段階のレベルで表している。

Wikipediaにあります。

まずは師匠に言われたこと、型を「守る」ところから修行が始まる。
その後、その型を自分と照らし合わせて研究することにより、自分に合った、より良いと思われる型をつくることにより既存の型を「破る」。
最終的には師匠の型、そして自分自身が造り出した型の上に立脚した個人は、自分自身と技についてよく理解しているため、型から自由になり、型から「離れ」て自在になることができる。

個人のスキル(作業遂行能力)をレベルで表しているため、茶道、武道、芸術等だけでなく、スポーツ、仕事、勉強、遊び等々、世の中の全ての作業において、以下のように当てはめることができる。

:支援のもとに作業を遂行できる(半人前) ~ 自律的に作業を遂行できる(1人前)
:作業を分析し改善・改良できる(1.5人前)
:新たな知識(技術)を開発できる(創造者)

師匠が背中を見せて。ってのは古いですが、スキルレベルの進行順は普遍的と思っています。
※「型破り」というのは、基礎ができ応用段階で、「形無し」は基礎がないのでメチャクチャ。とのこと。(引用元

「心・技・体」のバランスを大事にしながら、まずは「守」である「基礎を叩き込むことが大事。」ということですね。
近道はなく、小手先ばかりのすぐに使えるスキルばかりではダメってことですね。自戒も込めて。

「道」に繋がった

「心・技・体」を調べていると、柔道をヨーロッパに広めた道上 伯 氏が「柔道の最終的な目的は心技体の錬成であり、それによって立派な人間になることである。」と伝えているそうです。(引用元

柔道は強くなり勝負に勝つのではなく「自己成長」が目的だったんです。これは他の「道」でも同じで、デザイナーやエンジニアなどの各々の「道」を極めていったら、マズローの欲求5段階説でいう「自己超越」になるのではないでしょうか。

みなさんご自身の職種の「心・技・体」を一度書き出してみてはいかがでしょうか。

・・・

余談

僕は、デザインプロセスでジョン・ラセター方式(=チームでデザイン)と宮﨑駿方式、または新海誠方式(=突出した個がひとりでデザイン)とあると思っていますが、すごく「宮﨑駿方式」と感じました。

日本はこの「道」の文化があるので、この宮﨑駿方式の方が好まれるし、突出した個のデザイナーが世の中に出てきているのかもしれませんね。(良いか悪いかではなく)

そして、この「道」の哲学は「禅」と同じように日本が世界に誇れる部分ではないか。と感じました。

・・・

最近では、日本でもチームでモノづくりするジョン・ラセター方式が話題になっています。それはプロダクトやサービスの短サイクル化により、再現性がより重要になってきたからと思います。宮﨑駿方式の良い部分は継承しつつジョン・ラセター方式の「チームでデザインする」のに必要な要素を足して、教育・育成・評価・キャリアを考えていければ良いですね。


※2017年11月21日のMediumから移行

※ 追記
発展形を考えたのでこちらもチェックしてみてください!


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