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「トルコをロシアから引き剥がせ」

September 20, 2022

Transcription

World leaders arrive at the United Nations in New York to discuss Russia’s invasion of Ukraine and the worldwide food crisis caused by the war.

U.S. Secretary of State Antony Blinken meets Turkey’s minister of foreign affairs at the U.N. to discuss the conflict between Azerbaijan and Armenia.

Leaders in Russian-controlled areas of Ukraine plan a vote to officially join the Russian Federation. Ukrainian officials dismissed the move.

And in Uganda, an Ebola outbreak is declared after health officials confirm one death caused by the rare Sudan strain.

訳例

世界の指導者たちがニューヨークの国連に到着し、ロシアのウクライナ侵攻とこの戦争による世界的な食糧危機について協議しました。

アントニー・ブリンケン米国務長官 は、国連でトルコの外務大臣と会談し、アゼルバイジャンとアルメニアの紛争について協議しました。

ウクライナのロシア支配地域の指導者たちは、ロシア連邦に正式に加盟するための投票を計画しています。ウクライナ当局はこの投票に意味はないとしています。

ウガンダでは、保健当局が珍しいスーダン株による1名の死亡を確認したことを受け、エボラ出血熱の流行が宣言されました。

勝手に探究

今日はアゼルバイジャンとアルメニアについてちょっと調べてみましょう。まずは場所と、周辺国との相関関係をチェック!

「ナゴルノ・カルバフ」とその周辺が紛争地です

こちらの地図(↓)には聞き覚えのない共和国(失礼!)がいくつかあり、この地域(コーカサス地方)の複雑さが伝わってくるようです。

アゼルバイジャンの飛び地(ナヒチャヴァン自治共和国)も気になります

シンプルな相関図はこんな感じです

アゼルバイジャンとアルメニアをトルコとロシアがそれぞれ支援しているんですね。ここで面白いのは、すぐ隣を支援していないところでしょう。

ロシア
アゼルバイジャン(トルコが支援)
アルメニア(ロシアが支援)
トルコ

しかも、米ロと違い、ロシアとトルコは結びつきが強く、決して敵対していいません。この図式だけでもなかなか複雑です。

※上記のサイトは関係各国の状況が分かり易く書いてあってオススメです

いろいろみてみると、結局、大国が絡む紛争には「エネルギー」が絡んでいるということが見えてきます。これ、もしかすると、エネルギーを牛耳る石油メジャーが脱炭素社会で生き残る道を探しているせいかもしれません。

というのも、石油メジャーの影響力が及ばないライバルが台頭し、世界を席巻し始めたからです。

そう、言わずと知れたロシアです。

ロシアは(原油生産量も世界2ですが)天然ガス生産量世界2位、埋蔵量は世界1です。ユーラシア大陸に広がる国土から、天然ガスを必要とする国家へLNG(Liquefied Natural Gas「液化天然ガス」)にせず、そのままパイプラインで供給できるという圧倒的なコスト安と安定性があり、他の追随を許しません。

また、ここ十数年では、脱炭素を訴える世の中の流れも味方し、石油から天然ガスへシフトがすすんでいます。「炭素税」なんてものもあり、今後しばらくは原油より環境負荷の少ない天然ガスの需要が増すのは間違いないでしょう。

しかも、ロシアのエネルギー企業は政府ががっちり掌握しており、大戦後我が世の春を謳歌していた石油メジャーは影響力を弱めています。

既得権益を持っていた彼らはなんとかこの状況を変えたいはず。

調べてみると、思った通り石油メジャーの1つ、BP(旧ブリティッシュ・ペトロリアム)はアゼルバイジャンに権益を持っていました。

そういえばF1も2016年(アゼルバイジャンGPとしては2017年)から開催しています。西側世界の資本主義的要素が強いF1が進出するだけの下地を作ってきたんですね。これはロシアへの牽制にはなっていそうです。

首都バクーの市街地コース

世界のエネルギー開発を「権益の争奪戦」と考えると、ロシアのウクライナ侵攻は、ロシアの天然ガス利用を拡大するEUを嫌った、石油メジャーとその影響力を受ける政治家や国家の戦略なのではないかとの見方が出来ます。

BRICSを始め人口が増加しこれから発展する地域はすでに中ロの手にあり手出しが難しい中、せめて石油を大量に消費してきた「お得意様」の先進国は失いたくないってだけなんでしょう。

EU(特にドイツ)がどういうつもりでロシアのガスに頼ったのかはいろいろあるのでしょうが、純粋に石油利用による環境汚染の懸念からガスや自然エネルギーにシフトしていたとしても、結果を見れば、機を見誤ったということになります。

ウクライナが戦場と化し環境に負荷を掛けた上に、自分たちも高いエネルギー代を請求され、拒めば凍える冬が待つという事態になってしまったからです。

物事を進める際は、落としどころを見極めないといけないということでしょうか。「正しい」ことを進めるのも簡単じゃありません。

さて、アゼルバイジャンとアルメニア。この争い、トルコをロシアから引き剥がすための謀略じゃないか、なんて気がしてきました。真実は分かりませんが、世界は繋がっている、そう感じたニュースでした。

参考にしたページ


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