イルカの午睡

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  • 対称図・Nの選択

    オセロタイプな世界へようこそ。

  • カイゴロク

    GB戦連載始めました!

  • サクラノ草紙@西湘納言

    書き散らしたエッセーやコラムをまとめました

  • 薔薇の記憶

    小さな庭で育てたバラたちの写真です。

  • 百年の千振

    しばらくのあいだ無料掲載します。 海辺の町を舞台に大正から平成へ凜々しく生きる娘たちの愛と勇気と友情を描きました。

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カイゴロク記事一覧

目次  はじめに  序 1 事変勃発・Bちゃんの入院 2 孫子の兵法・介護の兵法 3 倉庫街の悪夢〜家族介護敗北考 GBの二回崩れ 1 介護申請失敗 2 介護無用の老夫婦 3 Gの入院の効果 4 隠密掃除 5 豆の記憶 6 つむじ曲がりの帰還 7 介護坂は下り坂 8 大崩れ 幕間1 1 生協の変 2 消えた老人と自転車 相模の乱 1 入院前騒動 2 院内マル暴? 3 Bの混乱再び 4 忘却の薬   *閑話・携帯電話 5 夜襲始まる 6 Gよりメロン・夜間徘徊 7 対B介

    • 対称図をマガジンにまとめました。 今のところ3話です。 あと何話か続きます。

      • 最後の攻城戦・Gちゃんグループホームに入る

        8月。 Gちゃんは精神病院へ保護入院の身となり、とりあえず酷暑漬けの日々は終わった。 せん妄(幻覚と幻聴)はいまだおさまらず、怒りも減じていない。 私のもとへもひっきりなしに電話がかかってくるが、公衆電話の表示であれば電話に出ないという方針を貫いて相手をしない日々が続いた。 Gちゃんからの電話が鳴るのを耳だけで聞いて、私は次なる戦への備えに移っていった。 入院中であっても、眼科と心臓外来には通院の必要がある。 介護タクシーを手配し、院内付き添いを依頼する。 Gちゃんの通院

        • 夏の陣・Gの入院

          かかりつけ内科医の紹介状を持って、精神病院へ行ったのは午後のことで、外来の患者 さんはひとりもおらず、待合室には私とGちゃんだけである。 「すぐに医師が来ますので少しお待ちください」 ということで待っていると、3分ほどで先生が見えられた。 診察室ではGちゃんは初めは無言だった。 無理もない、自分が何故この病院で受診するのか、Gちゃんは理解していないのだ。 診察室で医師とGちゃんと私とで座り、 「どうされましたか」 と訊かれても、Gちゃんには答えようがなかった

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        記事

          最終戦 幻覚の夏

          Gちゃんは要介護2。 しかし日常のことはほとんどできない。 介護士さんの訪問日数をさらに増やそうかと考えて始めていた初夏。 Gちゃんの幻覚がいよいよ、いけないことになってきた。 電話はほぼ毎日、数回ずつかかってくる。 いわく、 『誰だか知らねえ若いもんが来て、2階で騒いでたから怒鳴ってやったら逃げてった』 『小鳥が郵便ポストに巣をかけて火を噴いてるだ』 『野球のノムラカントクが5球団ぶんの選手を連れて、うちへ来て泊まり込んでる』 『ノムラだけでなくナガシマも

          最終戦 幻覚の夏

          米騒動・ツチノコ騒動

          Bちゃんは退院後にも、定期的に通院する必要があった。 担当の医師の診断を受けるためなのだが、診断前にX線撮影や血液検査があり、それらの結果が出てからでないと診察が始まらない。 予約をしてあっても3時間待ちはよくあることで、なにせBちゃんはまだ、車椅子に長時間座っていられる体力がないから、診察終わりのころは可哀想なくらいグッタリ…ということになる。 さいわい施設は病院のすぐそばだ。診察が終わると同時に介護タクシーさんを呼び、Bちゃんだけ、先に送ってもらっていた。 その日、

          米騒動・ツチノコ騒動

          Bちゃん施設に入る

          Bちゃんのリハビリが始まった。 立ったり歩いたりはできないが、ベッドに横たわったまま足を上げたり、腕を上げたり、少しだけ座ってみたり。ちょっとずつ、身体機能が回復していく。 入院前の状態には戻れないし、自力歩行はたぶん望めないだろう。 それでもBちゃんの表情は日々明るくなっていった。 看護師さんには本当によくしていただいて、ケアのあいだに笑い声がたつ。 Bちゃんは素直にケアを受け入れて、必ずお礼を言って笑顔になる。 「Bさんの笑顔に、私たちも癒やされるんですよ~」 そ

          Bちゃん施設に入る

          要介護1から要支援1?

          松の内を過ぎるころ、さすがのGちゃんも寒さに悲鳴をあげ、ほったらかしてあったストーブを小屋から出して使うと言い出した。 「ファンヒーターでしょ? いきなり点火すると臭いかもよ。最初の一回は外でやったら?」 と言ったのに、 「でえじょぶだ」 自信たっぷりに室内で点火し、黒煙もくもくの異臭まみれになった。 ゲホゲホッ、言わんこっちゃない。 「バーサンが安物買うからこういうことになるだ」 って、安物なら、買ったのはGちゃんでしょ。 着火がおかしなことになっていて、ぶいーん……

          要介護1から要支援1?

          Gの独り正月

          Bちゃんの施設入居が決まったあとで、豊臣による北条攻めの折の徳川本陣跡へ私は再び行ってみた。前年の暮れにここへ来たときは、 「400年と少し前に家康さんがここにいたんだ……」感慨。だった。 今回は「一歩前進しました」報告のつもり。でございます。 年が明ければ1月の末にBちゃんは施設に入る。 もうすぐ入居の支度も始まり、手続き、金策と、準備作業に入ることができる。 Bちゃんがショートステイのことを覚えているかどうかはわからないが、丁寧な看護と、快適な暮らしがあれば安らぎの

          Gの独り正月

          人質奪還

          GBの世代は(例外はもちろんあるであろうが)高齢者介護施設に対して、いい印象を持っていない。 GBが現役世代だったころ、施設の中の高齢者は蔑視と憐れみの対象であり、 「老人ホーム=姥捨て」 と考えられていた。施設に入るということは、家族に見捨てられ、あとはお迎えを待つだけという印象が強かったらしい(最近でもこの感覚の人はいる。SNSを見ているとたまに見かける)。 さきの夏、Bちゃんをショートステイさせようと、私が判断して施設に預けた直後の、Bちゃんのすさまじい反発の理由は

          冬の陣・布陣

          Gちゃんが不思議世界にどんどん入って行くのと入れ違いに、Bちゃんはゆっくりと浮世へ戻って来つつあった。 11月、Bちゃんは意識がもどる時間が増え、声をかけて手を握ると、弱々しくではあったが指を動かして、反応してくるようになった。 まだ人工呼吸器は取れず、管を口にくわえているので声は出せない。 腹腔内の状態は一進一退からしだいに回復へと好転し、内部の悪いものを外へ出す処置が功を奏し、あらたな抗生物質の投与、透析などのいくつもの手当を受けて11月半ば、Bちゃんはついに危地を脱

          冬の陣・布陣

          換気扇・危機一髪

          Gちゃんの見守りも兼ねて、私は実家の家の中の片付けを再開した。 ゴミ溜め一歩前の小屋をなんとかしたかったが、ここにはGちゃんの大事な大工道具がところ狭しと詰め込んであるので手が出せない。 Gちゃんのお宝満載の小屋は後回しにして、次に気になっていたのは台所の換気扇と調理台下、流し下の開き、床下収納、それと、以前から、 『これはもう、トイレごと捨てるっきゃない!』 と、私が見放したトイレである。 換気扇は20年間無掃除である。 さきの冬と夏にあたうる限り努力したが、ぜん

          換気扇・危機一髪

          Gと介護の不思議なセカイ

          その年の秋。 結腸が破れたBちゃんは市立病院に緊急搬送され、6時間に及ぶ手術の後、入院した。 事変勃発・Bちゃんの入院  ↑GB包囲網の1話目がここにあたります。 重度の便秘を原因とする結腸穿孔により、破れた腸から腹腔内に飛び散った多くの内容物は体内のあちこちで毒素となって悪さをし、高熱、腎不全、頻脈その他を起こし、Bちゃんは意識不明のまま再度の呼吸停止となったりして、危険な状態が続いていた。 私は毎日、Gちゃんを連れて集中治療室へ面会に通っていた。 Bちゃんは手術

          Gと介護の不思議なセカイ

          Nの選択4に行く前に、ほったらかしてたGB包囲網を片付けたい さすがに年月経っちゃってるので実情に合ってない箇所も多いけれど中途半端が気になり。数日でupしちゃおうかと思います。

          Nの選択4に行く前に、ほったらかしてたGB包囲網を片付けたい さすがに年月経っちゃってるので実情に合ってない箇所も多いけれど中途半端が気になり。数日でupしちゃおうかと思います。

          キャー うっかり削除して消え失せたとばかり思ってた文章、ダッシュボードのところで「削除済みでも本人だけは閲覧できる」ってあって、表示もできるじゃありませんかー 粗忽過ぎる私だった…

          キャー うっかり削除して消え失せたとばかり思ってた文章、ダッシュボードのところで「削除済みでも本人だけは閲覧できる」ってあって、表示もできるじゃありませんかー 粗忽過ぎる私だった…

          答えを探し続けている

          児童の保護について、長らく考え続けている。 まだこれぞという答えが見えていないのだが。 今よりは収入が潤沢だった頃ペアレントをしてしていたことがある。 月額5000円弱を国際専門機関を通してチャイルドに送り、援助を行うというものであり、私の場合はペアレントを降りるまでの10数年の間、6名ほどの子供へ資金を届けてもらうという活動だった。 チャイルドには、ノートや筆記用具、通学に必要な様々なものを持たせることができ、家庭の貧困の度合いにもよるが、児童労働を一時的に止めて、勉強

          答えを探し続けている