趣味、特に鉄道・野球のことでここしばらく悩んでいた私ですが、最近ある決断をしました。

「特定の鉄道会社のファンを名乗るのは辞める。今後はフリーランスの鉄道ファンに転向する。」

この決断をするに至った背景には、とある出来事がありました。

2023年11月5日、阪神タイガースが38年ぶりとなる日本シリーズ優勝を達成。親会社の阪神電気鉄道（阪神電鉄）ではそれを記念し、普段は武庫川線で運行している5500系の「TORACO号」と「トラッキー号」（上の写真）を連結し、阪神本線・神戸高速線の定期普通電車として11月10～12日に特別運行しました。

ところが、周りの大半の鉄道ファンの方と異なり、私はこの特別運行をついぞ撮影することができませんでした。
10日→退勤後に狙うには時間とタイミングが合わず、出撃を断念
11日→夜行バスで旅行に行くことになっており、昼間は家族とのお出かけや他の用事もあり、結局タイミングが合わず撮影を断念
12日→そもそも首都圏に滞在中

撮れるのは11日だけ。何としても時間を作って撮ろうと思っていたのですが、最終的にそれは叶わず、私は相当気落ちし、X（旧Twitter）上で愚痴を撒き散らし、周囲の方に多大なご心配とご迷惑をおかけする結果になりました。

幸い、Xのフォロワーさんに、「鉄道趣味は自分のペースで楽しむものでは」「鉄道趣味は他の人が皆撮っているネタ列車を撮れなければ終わりというものではない」と諭され、また1週間ほどXを休止したこともあり、気持ちは立ち直りました。
ただ、不惑を迎えてもなお趣味を競争だと捉え、また一部の心無い輩、仲の悪い人の意見を間に受けて悩んでいるようではダメだと思い、これを機に以下のとおり鉄道趣味への向き合い方を改めることにしました。

１、そもそもネタ列車を1回撮り逃しただけで、関西私鉄ファン（阪神電車ファン）の資格がないというのはどう見てもおかしいのでは。
今回は主に阪神電車ファンとしてのあり方についての論議になりますが、たしかに私は、2023年11月10～12日の「TORACO号」と「トラッキー号」の特別運行を撮り逃しました。
しかし、その一方で武庫川線用の5500系については、2020年のデビュー直後から地道に記録を続けており、甲子園歴史館の副標やテレビアニメ「涼宮ハルヒシリーズ」の副標を掲げて走る姿も撮影しています。
この他にも、1990年代後半以降、今は見られなくなった梅田発着の快速急行や準急、近鉄乗り入れ前の西大阪線（現なんば線）の諸形式など、地道に記録を続けてきました。
端的に言うと、1回ネタ列車を撮影できなかったからといって、これまでの趣味活動の蓄積を誰からも全否定される筋合いは無いということです。

２、撮りたいヘッドマークやラッピングを撮影できなくて苦しい思いをするなら、いっそ特定の鉄道会社中心に推すのではなく、広く浅く国内外の鉄道に目を向ける、謂わばフリーランス的な鉄道ファンに転向した方が気が楽なのでは。

今回の特別運行に限らずとも、例えば能勢電鉄の妙見の森ケーブル惜別ヘッドマーク掲出編成や南海電気鉄道の鉄道150年記念ヘッドマーク掲出編成（2022年秋～23年春）など、本業の多忙その他でタイミングが合わず、撮りたいのになかなか撮れない列車は両手で数えられないぐらいある状況です。

贔屓の鉄道会社のネタになる被写体を撮れずじまいになってしまい、自分はその鉄道会社のファンとして失格なのではと思い悩むことが、ここ数年多くなっており、その解決策として「今後自分は特定の鉄道会社のファンを名乗らない」という結論に達しました。
仮に私が「特定の鉄道会社のファン」を名乗り、それにこだわろうとしても、私以上にその鉄道会社の列車の写真をこまめに記録している方がいくらでもいるわけで、そういう方と同じように「特定の鉄道会社のファン」を名乗るのはどう見てもおこがましい振る舞いになるわけです。
「特定の鉄道会社のファンとして失格」というほど厳しいニュアンスではありませんが、「特定の鉄道会社のファン」を名乗るのが恐れ多く感じるというのが正直なところでしょうか。

ならいっそ、鉄道会社や地域の枠にとらわれず、国内外のありとあらゆる鉄道を、運任せで、時に努力はしつつも、自分のペースでヘッドマークもラッピングも関係なく自由に追いかけるのが自分に合ったやり方なのではと感じました。

先日は宇都宮ライトレールやJR東日本、都営地下鉄浅草線、JR四国の列車に乗る機会がありましたが、地元にとらわれず広く浅く楽しむことで、こだわり過ぎて凝り固まっていた気持ちが前向きな方向に変わっていったように思います。
今後は地元の鉄道ばかりに目を向け、変な競争意識で自分を縛るのではなく、自由な気持ちで楽しめるようなスタンスを心がけることにします。