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みーる「パム裏の詩」解説

一部の方からリクエストをいただいたので、「無料のソフトウェアでもこんな感じで曲を作れますよー」という事例として、みーる の「パム裏の詩」という曲を題材に、曲の構造を簡単に紹介させていただきます。(よくよく振り返ったら一部有料ソフトも使ってましたが、ほとんど無料のモノで替えが利くと思うので、その辺のお話を・・・)

全体は、こちらからお聞きください。
→ デモ(Soundcloud) https://soundcloud.com/snowdome_production/pamuura

基本的には、先述の話も踏まえて、一般的なバンドサウンドを、無料のソフトウェアだけで仕上げるという。そういう目的意識を持った曲です。
なんというか、「青春パンク」的なモノの、シミュレーションというか、解析結果、のような曲です。歌詞はこちら。青春、って感じで。自分も高校時代とか、友達グループみんなでチャリを走らせ、パム裏まで海を見に行ったモノです。まあ、そんな話はさておき。↓

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あと、使ったことないですけど、「Garage Band」って結構優秀な音を出してくれるので、ここに書いてることとか、そっちを使った方が早い、って人の方が多いのかもしれません。
ただ、30年近く「打ち込み」をやってた人間には、逆に「Garage Band」の「わかりやすい」ユーザーインターフェイスが、逆にわかりづらかったりするんですよね。という訳で、俺にとって一番スタンダードで、一番使い慣れているableton Live(9からアプデしていない・・・)を前提にお話を。

作詞・作曲・編曲:Yuhei Takeya

<イントロ><Aメロ><間奏>
C G Am Em F Em B♭M7 G
C G Am Em F G C C

<Bメロ>
Em Am Em Am F Em B♭M7 G

<サビ>
C G Am Em F Em F G


コード進行的には、普通なんですけど、サブドミナント→ドミナントの流れ、サビのようにF→Gが普通なんですが、FをDm7で代替する、というありがちなところをもう一段落としてB♭を足すということをしてます。「コード譜」って概念で見ちゃうとCの代わりにB♭が鳴っている不協和音的な誤解をしちゃいがちなんですが(意図的にミスリードしてるフシもありますが)、一番下で鳴ってるんでDmのソースを構造として持つB♭M7という解釈が正しくて、和声をコード譜的に見ちゃダメで、ちゃんと瞬間的な横断面を見ないといけないというミソです。
この流れがあるからこそ、サビで、普通のFが来て、Gからの、Cにすんなり落ちた時に、よりスッキリ感があるというか。

0:01 イントロ ギター(クリーン)sforzand+METAL-GTX
0:22 イントロ ギター(アンプシミュレーター経由)IGNITE AMPS Emissary+IGNITE NadIR
0:44 間奏 ギター(クリーン)
1:07 間奏 ギター(アンプシミュレーター経由)

ギターの音は、このsforzandというサウンドフォントのプレイヤーとMETAL-GTXというフォントの組み合わせが、無料だって信じられないくらい優秀です。
当然、それだけではポロポロしか鳴らないので、ちゃんとアンプから音を出す必要がある訳で、IGNITE AMPS Emissary+IGNITE NadIRという、前者がヘッド、後者がキャビのシミュレーター。こうやって単体で聴くと、まあ、無料のシミューレートかな?って感じですが、アンサンブルの中に組み込むと、それなりに聞こえます。
あと、自分の場合は、同じデータをLとRにそれぞれパンして、違うアンプのセッティングで鳴らす、ということをやって厚みを出したりします。それでもたった2トラックですからね。もしかしたら、バンドのレコーディングとかでも、少ないデータ数で同じような方法で厚みを出すとか、アリかもしれませんね。
あと、打ち込みだからこそ、というか、弾ける人は弾けるんでしょうけど、パワーコードも単純に1-5-1なとこを1-5-7とか、1-5-9とか、そういうことも混じえてみたりします。

0:01 間奏 ドラムス MT POWER DrumKit 2
0:22 間奏 ベース ableton Live 9
0:44 サビ パーカッション ableton Live 9

ドラムが、これも無料なんですが、MT POWER DrumKit 2というVSTiを使っています。非常にシンプルだし、単体で聴くと、まあ、こんなモンかな?くらいなんですが、これもアンサンブルに混ざると非常にいい感じです。これが、非常に頻繁に、バンド相手の現場仕事を専業とされているPA屋さんに「これ、何を使ってるんですか!?ドラムの音めちゃくちゃいいですね!」って言われます。何にも工夫せずにそのまま鳴らしてますが、非常に評判の良いプラグインです。
フレーズ的なこだわりとしては、スネアが普通に偶数拍で鳴るのが凄く嫌なんですよね。普通で。普通なのが苦手なんですよね。まあ、そういう人種を一般的に「変態」とカテゴライズするのかもしれません。閑話休題。ズッタンズッタンのタンのトコロで叩きたくないというか。サビ以外のフレーズは全て偶数拍を避けて、スネアが鳴ります。これは、ただの、作家の趣味嗜好です。

ベースとパーカッションは、プリセットのモノを使っています。ベース、実は2トラック使っていて、ヘボヘボのプリセット音が上で鳴っていて、隙間があって、凄く下の方でサイン波的なシンプルな波形で同じフレーズを鳴らしています。ちょっとスカスカ過ぎたので。ちゃんとピック弾きっぽい音にしたらどうなるかなぁ?とか、出来上がった後で思ったので、何か機会があればちょっと手直しするかも?

0:01 イントロ ピアノ KORG M1
0:21 イントロ シーケンス ableton Live 9
0:45 アウトロ ストリングス ableton Live 9

ピアノは、一番最初に作った段階のデモの音をそのまま残しているというか、曲全体のデモ、まずピアノで作るんですよ。まずは、全体の進行とか、アンサンブルとか、ピアノで組み立てて。その時に打ち込んでた音をそのまま使う、ってあるある。まあ、厚みを出すためだけに残したトラックなので、KORG M1である必要はないと思うんですよね。何でも代用できると思います。
その他のシーケンスとか、アウトロのストリングスとか、おまけです。

そんな感じで作った曲でした。お気に召されましたら、ぜひ通販サイトからCDをお買い求め願います。
あと、「あ、こういう曲はこんな簡単に作れるんだ」って思ってもらえたら、むしろ嬉しいです。そんなに、とんでもなく大変なコトとか、上級者っぽいことはしてないので、なんとなく「曲を作ってみたいなあ」ってくらいの段階の人に、何か参考になれば、これ幸い、と。

御質問等がございましたら、コメント欄等にて承りますので、御遠慮なくどうぞ。

通販サイト https://snowdome.kawaiishop.jp/items/40435640
みーるTwitter https://twitter.com/xmiiru

(2021/03/07)


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