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【ブラッドベリ1000日チャレンジ】#0025

■短編小説  闇の眼/星新一 ジャッジ:○
闇の中のリビングで両親が深刻に話している。
「なんで、うちの子だけ、こうなってしまったのか・・・」
研究者が研究対象としてわが子を観察している。
そんな話をしていると、息子がやってきて「また僕の話をしているの?」って聞いてくるので、そうじゃないというと、暗闇の中でも表情は見えてるよっと言わんばかりに、「隠してても分かってるよ」って言った。
そうだな~って言いながら両親は笑って、そうだ何か軽く飲もうって言って、グラスを用意して飲み物を注いだら勢い余ってこぼれてしまったので、電気をつけた。そうすると両親は見えやすくなったが、息子は何も見えなくなってしまった・・・。
そう、息子には両目がないが、暗闇では全て見えるという特殊な能力を持っている。

■詩・俳句・短歌・歌詞 進化樹/中島みゆきジャッジ:〇
誰か教えて 僕たちは今 ほんとうに進化をしただろうか
この進化樹の 最初の粒と 僕は たじろがずに向きあえるのか 
樹の成長と人の進化を上手く比べていて、分かりやすい。
しかも、「人はなんて幼ないのだろう 転ばなければわからない」という表現で、さらに上手く人が進化していないことを伝えている。

■論考 人間の心について/ 森本哲郎ジャッジ:○
心こそ自分の友であり、心こそ自分の敵である。
バガヴァッド・ギーダー
この一文で始まる。
作者が自分の心を見つめるためにインドに修行にいったときの話である。
目的地で、一部屋を与えられ、そこにいたのだが、だんだんやることがなくなって、事務所に聞きに行くと、自由に自分の好きなことをすれば良いと言われた。普通、やった~って思うけど、実は逆で、自分といろいろ対話しないといけなくなり、あんなことやこんなことをず~っと考えてしまい、心をいつも平静に保つということが、いかに至難であるか、心をさまざまな配慮から解き放って自由にさせるということが、どれほど困難な作業であるか、が分かったという。
しかも、普段、ほとんど意識せずにいた時分の心というものが、どれほど頼りないものであり、散りやすく、漠然としており、不可解なものであるか、いやというほど知った。心とは何か。だれもが自分の心を知っていると思い込んでいる、しかし、それは錯覚です。自分の心ほど、自分とって分かりにくいものはない。
確かに、言われてみればそうだな~って改めて思った。実は自分の心のことはよく分かっていない。
最後の一文は、まさにそのことを明確に表現しているものだった。
「自分の心に勝ったものにとって、心は自分の友となる。だが負けた者にとっては、心は自分の敵である。」
この言葉、深くて重い。
なかなか自分の心に勝てないからこそ、心を知ることの大切さが分かる。

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