温度差で風邪を引きそうな位にジャンルの幅が広いアイマス曲5選
アイマスでは全てが揃う。
そう言われる位にアイドルマスターはありとあらゆるものが幅広い。
総勢300人を超えるアイドルは、ありとあらゆるジャンルのキャラを網羅している。年齢は下は9歳、上は32歳。31歳にスクール水着を着せたり、26歳にチャイルドスモッグを着せたり、24歳にランドセルを背負わせたりする一方で小学生に恋愛の歌を歌わせたり、9歳に白ビキニを着せたりと、やりたい放題やっている。
しかし、音楽のジャンルはそれ以上に幅広い。
ボサノバ、R&B、メタル、ロック、ジャズ、EDM、ラップ、民族音楽、プログレ、シティポップなどなど、とにかく音楽のジャンルが幅広い。
やっていないジャンルを探した方が早い位に手広くやっている。幅が広すぎて、「アイドルってなんだっけ?」と曲を聴いている我々でも分からなくなる程である。
おまけに曲数も膨大である。
15年もの歴史の中で生み出された楽曲総数はオリジナル楽曲だけでも1340曲を越え、アレンジバージョンなどを加えると更に増える。
今回はそんな膨大なジャンルと、膨大な数の楽曲の中から、特にアイマス音楽の幅の広さを象徴するような楽曲を5つ紹介しようと思う。
Black Reverie -アンティーカ-
ゴリッゴリのメロディック・ブラックメタルである。
ストリングスとトレモロリフ、そしてドラムのブラストビートは完全にブラックメタルのそれである。
楽曲のゴシックなメロディアスさはエンペラーやクレイドル・オブ・フィルスのそれを彷彿させる程に怪しく、冷たく、そして激しく美しい。
アイドルソングでブラックメタルバンドを彷彿させるって言うのが訳が分からない。
この曲の中でも特にCメロ後の降りてくるようなクラシカルなフレーズはまさにネオクラシカルそのものであり、鳥肌モノのソロなので、是非とも全編通して聴いて欲しい。
こんなゴリゴリなメタルであるが、ライブではきちんと踊る。
この楽曲で踊るのだ。踊るし歌うし、ちゃんとアイドルの楽曲になっている。信じられないだろうが、ライブを見て、その目で確かめて欲しい。アンティーカは宇宙一のクール系アイドルグループなのだ。
ちなみにこの曲はラブソングだそうな。
作曲家はこの曲のカップリング曲を「素直になれない女の子のツンデレな気持ちが詰まっていて、胸がキュンキュンする。胸キュンソングに仕上がっている」と言っているが、何を言っているのか全然分からない。アイマスはファンのPも頭がおかしいが、制作陣も相当にイカレている。
なお、アイドルマスターにおいてHR/HMは主要なジャンルの一つであり、疾走感あふれる「Lunatic Show」、和のメロディを感じさせながらも重厚なギターサウンドで畳みかける「義勇忍侠花吹雪」、無骨な正統派メタルコア「EVIL LIVE」、ゴシックなメロディーが幻想の世界にいざなう「華蕾夢ミル狂詩曲~魂ノ導~」などなど、多数存在する。
なお、などなど、なのでこれ以外にもまだまだ存在する。X JAPANの「紅」も歌っている。
上記で挙げた曲は全てアプリゲームのアイドルマスターシンデレラガールズスターライトステージでプレイ出来るので、是非プレイして曲を聴いて見て欲しい。
また、Black Reverieはアイドルマスターシャイニーカラーズで聞ける。こちらはアプリだけでなく、ブラウザでもプレイ出来る。
https://shinycolors.idolmaster.jp/
余談だが、羅列した曲の中の「華蕾夢ミル狂詩曲~魂ノ導~(つぼみゆめみるラプソディア)」は歌っている神崎蘭子の、アイドルでもありながら普通の女の子でもある彼女の日常を歌っている歌である。
マジである。
おんなの道は星の道 -村上巴-
演歌である。まごうこと無き演歌である。
なお、これ以外にも「命燃やして恋せよ乙女」という演歌調の曲がある。もう驚いてはいけない。
この楽曲は作曲家が「天城越え」などを手掛けた弦哲也先生、作詞家にはその息子の田村武也先生、指揮・編曲家には「大阪のおんな」などを手掛けた南郷達也先生が手掛けている。
そして歌は民謡5段、三味線4段の実力を持ち、民謡は全国大会で優勝経験もある花井美春さんが歌っている。
『天城越えの弦哲也が作曲し、作詞家には息子の田村武也、編曲には大阪のおんなの南郷達也が手掛けた楽曲を民謡全国大会の優勝経験がある花井美春が歌う』と言うと、大物先生のバックアップを受けて大々的にデビューした新人演歌歌手の楽曲のように見えるが、1アイドルゲームコンテンツのキャラソンである。
サイゲームスの金と日本コロムビアのコネが潤沢に使われた結果がこれである。誰もが困惑している。
なお、他に大物作曲家を起用した楽曲には「ヒーローヴァーサス
レイナンジョー」がある。これはゴレンジャーなどの特撮楽曲を多く手掛けた渡辺宙明先生が作曲している。御年94歳での作曲である。
渡辺宙明先生は2022年6月にお亡くなりになっているが、同年の2022年2月の怪猫狂騒曲の楽曲を担当されていた、偉大なお方である。ご冥福を祈る。
昏き星、遠い月 -夜想令嬢 GRAC&E NOCTURNE-
ミュージカル風の楽曲である。
これはアプリゲーム内のイベント「昏き星、遠い月」のイベント楽曲で、演劇をテーマに劇中劇を繰り広げている。
西洋中世風ファンタジー世界を舞台にして吸血鬼を主題として繰り広げるダークな雰囲気が漂う演劇で、男装した少女と女装をした少年が出会うボーイミーツガールの要素や麗人とそれに使える吸血鬼狩りの騎士、復讐や愛憎が入り乱れるダークファンタジーとなっている。
曲もそのダークファンタジーな世界観を表現するように、一定のリズムで語るように歌う。最初は淡々と曲が進んでいくが、曲が進むにつれ、それぞれの登場人物の感情が爆発するかのように激しくなっていく。
曲中に言うセリフの「どうして俺たちを殺そうとするんだ!」は、特に感情が表れているので是非とも聴いて欲しい部分である。
なお、この曲も例に漏れずライブで歌うが、とにかく難しい。
曲調はほぼ一定で、歌も語るかのようでメロとかそういうのがとにかく分かりにくい。おまけにミュージカル風に芝居をしながら歌うので、プロンプも見えない。
「ライブで歌わせる気無いだろ」と言う楽曲だが、しっかりと歌わせる。
しかもリリイベを除いて2回ライブで披露した。御美事です。
なお、この楽曲を披露するときはアナウンスが流れて、観客は全員座らされる。演劇なので座ってみるべきなのである。アイドルライブとは。
ちなみにミュージカル風楽曲はこの曲とカップリング曲以外にもある。
「Parade d'amour」と言う楽曲は19世紀の欧州を舞台にしたラブストーリーで、男装したヒロインが士官学校に入学して男子生徒4人と交流し、仲を深めるというものである。乙女ゲーのそれを想像して欲しい。
またこの楽曲は曲中で男装したアイドル4人から「僕と結婚してください」と求婚されるパートがある。
そんな乙女になれる楽曲はアプリゲーム、アイドルマスターミリオンライブシアターデイズでプレイできる。
是非とも自分の好きなアイドルを編成して求婚されて欲しい。
Hotel Moonside -速水奏-
DJでもある井上拓氏が作曲した本格的なEDMである。
アイマスでは他の楽曲と同様に、EDM曲も多数存在する。種類も幅広く、アップテンポのユーロビート「絶対的Performer」、ハウス系の「Miracle Night」、K-POPのような「OH MY GOD」など、多数ある。
特に井上拓氏が手掛けた楽曲の一部はイノタクサウンドと呼ばれる程にアイマス内で一大ジャンルを築いており、夜のクラブを感じさせるようなお洒落なEDMが多い。
そしてこの「Hotel Moonside」はクラブでかかっていてもおかしくはないほどにお洒落な楽曲であるが、本当にクラブで流れた実績がある。
新木場のクラブ「ageHa」である。
2016年9月22日に行われた「Re:animation」と言うイベントで突然のHotel Moonsideの建設ラッシュが始まったそうだ。
どうやらこのイベントでNhatoと言うDJがリミックスで披露したようなのだが、このイベントには一切アイドルマスターは関わっていない。彼の選曲チョイスによるものである。
なお「Hotel Moonside Remix」と調べると本家以外のリミックス楽曲が出てくるので、それらも是非調べて欲しい。
あんずのうた -双葉杏-
ここまで紹介して「アイマスらしい曲ってなんだろう……」と分からなくなってきたので、ゲーム音楽らしい正統派電波ソングの「あんずのうた」を紹介する。
「あんずのうた」は曲名の通りに双葉杏のソロ曲で、曲名に個人名が入っている珍しい楽曲である。これ以外の曲で個人名が入っているのは「フレデリカ、猫やめるよ」だけである。
この楽曲は発表されてから一部で話題騒然となった電波ソングで、コールマシマシな楽曲に加えて、歌詞の縦読み、曲の途中で替え玉を使う、そして曲中でニコニコ動画で流行っていた「エージェント夜を往く」の「燃やすわ 激しく」と言う歌詞の一部が使われるなど、メタにあふれる楽曲となっている。
「メルヘンデビュー」などの電波ソングは多数存在するが、2020年4月に発表された「OTAHEN アンセム」があんずのうたの正統継承者であり、令和版のあんずのうたと言えるだろう。なお、作詞作曲はあんずのうたと同じ佐藤貴文氏である。
あんずのうたも「メーデーメーデー(労働者のデモでよく使われる言葉)」と大概酷いコールをしているが、OTAHENアンセムはコールやMIX、ガチ恋口上、更には「お願い死んでくれ」などと言ったり、最終的には歌とコールが逆転する。「うんこー!」と叫んでウンコポーズもする。(正確にはうん、CALLだが)
曲のパロディもひどく、イントロはP-MODELの「美術館で会った人だろ」に酷似しており、曲のメロディもほぼクラシックの名曲で彩られている。
サビはまさかの「お願いシンデレラ」の酷い替え歌だが、メロディはカノンである。
ふざけて作っているようにしか見えないが、佐藤貴文氏はこの楽曲の政策に当たって地下アイドルオタクを取材したりと、大真面目に制作に取り組んでいるし、りあむの楽曲を作るという事で多大な経緯を払っている。
なお佐藤貴文氏はこの楽曲の直前に「新しい時代への挑戦×断崖絶壁を昇るような×ハードコアテクノ×チュパカブラ」の4要素を組み合わせた「断崖絶壁チュパカブラ」と言う楽曲も制作している。
最後に
いかがだったか?
アイマスの楽曲の幅広さを紹介したつもりだが、ここで紹介したのはその楽曲の中のごく一部で、まだまだ紹介しきれていない魅力にあふれている。
1000曲を越える楽曲一つ一つを自分で探し集めるのは大変な事だが、これからアイマスのサブスクサービスも開始されるので、その楽曲にも触れやすくなるだろう。
この記事を読んでアイマスの楽曲に少しでも興味を持たれたのなら、是非1曲でも聴いて欲しい。
少しでもアイマスが多くの人に知られることを願っている。
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