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大前研一 名言集 『ロウアーミドルの衝撃』(7)

『ロウアーミドルの衝撃』(7)

「自分のことを中流」と考える日本人が、かつて多く存在しました。私自身もその一人でした。

しかし、いまや上流と下流だけといった二極分化の様相を呈しています。

派遣社員の首切り、正社員の激減、給与、賞与の大幅削減など従業員には逆風が吹き荒れています。

そうした現況を踏まえて、ロウアーミドル(中流以下)という概念を示しつつ、生き抜く指針を提示している本が『ロウアーミドルの衝撃』です。

現実から逃避せず、現実を直視し、少しでも明るい未来像を描けるようになりたいものです。
 
 

構造の変化によって生まれてきた新たなマーケットを開拓できるビッグチャンスと考えるべきなのである


日本全体を見れば収入が減少しているが、それは企業にとってマイナス面ばかりではない。
構造の変化によって生まれてきた新たなマーケットを開拓できるビッグチャンスと考えるべきなのである

『ロウアーミドルの衝撃』 大前研一の名言 1 〈265〉                     



IT化のメリットは、業務を効率化し、店舗費用や人件費の大幅カットを可能にし、ハイタッチなサービスをローコストで提供できるところにある


IT化のメリットは、業務を効率化し、店舗費用や人件費の大幅カットを可能にし、ハイタッチなサービスをローコストで提供できるところにある

『ロウアーミドルの衝撃』 大前研一の名言 2 〈266〉                             
                                  
         







日本ではあまり知られていないが、トルコの綿製品はエジプト綿と並んで世界最高級の品質を誇る
アメリカではこうした高級なタオルを、ロウアーミドルクラスの人たちが買えるようになっているのである


日本ではあまり知られていないが、トルコの綿製品はエジプト綿と並んで
世界最高級の品質を誇る

しかもトルコでは細かい刺繍の施された絨毯作りの伝統があり、1平方センチメートルあたりの針数が多く、手触りの非常に良い高級感の漂うタオル
生地を作ることができる。
アメリカではこうした高級なタオルを、ロウアーミドルクラスの人たちが
買えるようになっているのである


『ロウアーミドルの衝撃』 大前研一の名言 3 〈267〉                                                                     



➳ 編集後記

ロウアーミドル(中流以下)という概念を示しつつ、生き抜く指針を提示している本が『ロウアーミドルの衝撃』です。


🔶 大前氏は自分で考え出したことを自ら実践し、検証しています。仮説と検証を繰り返す行動の人です。

Think before you leap.(翔ぶ前に考えよ)という諺がありますが、Leap before you think.(考える前に翔べ)もあります。
あれこれ考えて、難しそうだからとか面倒くさそうだからやめようでは成長しません。
まず、やってみるという姿勢が大切です。


大前研一氏は、常に物事の本質を述べています。洞察力が素晴らしいと思います。私は、ハウツーものは、その内容がすぐに陳腐化するので読みません。


➔ 大前氏の今回の言葉も、私たちが忘れがちな重要なことに気づかせてくれます。

🔷 GPD(国内総生産)で、日本は中国に抜かれ、世界第3位となりました。

新興国の中からも将来、日本を追い抜く国が出てくるかもしれません。

そこで、これからは国単位のGDPで競うのではなく、国民一人当たりGDPで競う方向へ政策変換する時期に来ているかもしれません。

どこの国もかつて経験したことのない、猛烈な勢いで少子高齢化が進む日本が目指すべき道はこのようなことではないか、と考えています。

少子高齢化を減速させることに血道をあげることではなく、個人が幸せを感じられる社会に創り変える政策を提示することです。

そのためには、国会議員や官僚に任せきりにしないで、国民全体が議論に参加する意思を示すことだ、と考えています。

他人事(ひとごと)と考えていてはいけません。


⭐ 参考になるデータは下記のサイトでご確認ください。

世界の名目GDP 国別ランキング・推移(IMF)


2021年のデータですが、GDPの国別ランキング1位は米国で22,997,500(百万USドル 以下同様)、2位の中国は17,458,036、そして3位の日本は4,937,422です。


では、国民一人あたりの名目GDP 国別ランキングを見てみましょう。

世界の1人当たり名目GDP 国別ランキング・推移(IMF)


こちらも2021年のデータです。
1人当たりGDPの国別ランキング1位はどこだと思いますか?
1位はルクセンブルクで136,701(USドル 以下同様)です。

ルクセンブルクといえば、タックスヘイブン(租税回避地)として有名ですね。その国が1人当たりGDPの国別ランキングで1位なのです。
2位はアイルランドで99,013、3位はスイスで93,720です。

では米国、中国、日本は何位でしょう。

順に見ていきます。
米国 6位 69,231
中国 65位 12,359
日本 28位 39,340

人口を見てみましょう。もちろん、中国が世界一であることは誰でも知っていますね。

世界の人口 国別ランキング・推移(国連)

こちらは2020年のデータです。

1位は中国で1,439,324(千人 以下同様)、2位はインドで1,380,004、3位は米国で331,003です。

先進国で人口が増加し続けている国は米国だけです。さすがに移民の国です。

日本は11位で126,476です。

何が言いたいかと言えば、中国の人口は米国の人口の4.3倍、日本の人口の11.3倍ですから、この比率で1人当たりのGDPに換算すると、中国は対米国で297,693(USドル 以下同様 69,231✕4.3)、対日本で444,542(USドル 以下同様 39,340✕11.3)にならないといけません。

比較する場合、どのような基準を採用するかによって大きな違いがあるということが分かります。


大前氏は1995年の都知事選に敗戦後、『大前研一 敗戦記』を上梓しました。




🖊 大前氏の著作を読むと、いつも知的刺激を受けます。
数十年前に出版された本であっても、大前氏の先見の明や慧眼に驚かされます。

『企業参謀』(1985/10/8 講談社という本に出会ったとき、日本にもこんなに凄い人がいるのか、と驚嘆、感嘆したものです。

それ以降、大前氏の著作を数多く読みました。

『企業参謀』が好評であったため、『続・企業参謀』(‎ 1986/2/7 講談社が出版され、その後合本版『企業参謀―戦略的思考とはなにか』(1999/11/9 プレジデント社)も出版されました。






🔶 大前氏は経営コンサルタントとしても超一流でしたが、アドバイスするだけの人ではありませんでした。自ら実践する人です。有言実行の人です。起業し、東京証券取引所に上場しています。現在は代表取締役会長です。



大前氏の本には、ものの見方、考え方を理解する上で重要な部分が多くあります。大前氏の真意を深く考えなくてはなりませんね。

この元記事は8年前にAmebaブログで書きました(2014-05-24 18:43:51)。「新・大前研一名言集(改)」はかなりの量になりました。私にとっては、いわばレガシィです。
その記事を再編集しました。



✑ 大前研一氏の略歴

大前 研一(おおまえ けんいち、1943年2月21日 - )は、日本経営コンサルタント起業家マサチューセッツ工科大学博士マッキンゼー日本支社長を経て、カリフォルニア大学ロサンゼルス校公共政策大学院教授やスタンフォード大学経営大学院客員教授を歴任。
現在、ビジネス・ブレークスルー大学学長[1]韓国梨花女子大学国際大学院名誉教授[1]高麗大学名誉客員教授[1]、(株)大前・アンド・アソシエーツ創業者兼取締役[1]、株式会社ビジネス・ブレークスルー代表取締役社長[1]等を務める。    (Wikipedia から)


大前研一氏の略歴補足

大前氏は日立製作所に勤務時、高速増殖炉もんじゅの設計を担当していましたが、原発の危険性を強く感じていたそうです。

その後、世界一の経営コンサルティングファームのマッキンゼーに転職。
マッキンゼー本社の常務、マッキンゼー・ジャパン代表を歴任。

都知事選に出馬しましたが、まったく選挙活動をしなかった青島幸男氏に敗れたことを機に、政治の世界で活躍することをキッパリ諦め、社会人のための教育機関を立ち上げました。BBT(ビジネス・ブレークスルー)を東京証券取引所に上場させました。
大前氏の書籍は、日本語と英語で出版されていて、米国の大学でテキストとして使われている書籍もあるそうです。









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