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eコマース大乱戦 20兆円目前、市場争奪のゆくえ 2014.08.11,08.18 2/2 2014-08-19 19:56:10




<このページでは、『日経ビジネス』の特集記事の概要紹介と、管理人のコメントを掲載しています>


eコマース大乱戦 20兆円目前、市場争奪のゆくえ 2014.08.11,08.18 2/2 2014-08-19 19:56:10



CONTENTS

楽天 三木谷浩史・会長兼社長が語る寡占化の終焉

相次ぐ参入 拡大する市場

PART 1 スマホで攻める新勢力 「1人1台」時代の逆転シナリオ

PART 2 リアルの逆襲 もうショールーミングは怖くない

PART 3 すぐそこの近未来 成長市場に技術の追い風



第2回は、

PART 2 リアルの逆襲 もうショールーミングは怖くない

PART 3 すぐそこの近未来 成長市場に技術の追い風


を取り上げます。


今週の特集記事のテーマは

「BtoC(企業対消費者)」「CtoC(消費者対消費者)」
合わせると、国内EC市場は既に16兆円規模になったようだ。
うち、楽天・アマゾンによる流通総額は3兆円弱。
13兆円は2強以外が生んだ。
そして、わずか2年で市場は4兆円に膨らむ。
2015年、20兆円市場を巡る「大乱戦」この市場を制するのはどこなのか

です。


PART 2 リアルの逆襲 もうショールーミングは怖くない

「ショールーミング」という言葉をご存知ですか?

店舗で商品を見て、購入はより安価な通販サイトで済ませることをいいます。

店舗をショールームと見なすことから、この名称が生まれました。

実店舗を運営している会社は、顧客が商品を見るだけで、そこで購入しないために困ることが起きます。

10年以上前の話ですが、「ビブロス」(東京・高田馬場)という洋書専門店がありました。

当時、私は洋書輸入卸の「洋販」という会社で、経理担当者として勤務していました。

「ビブロス」を運営していた会社は、関連会社であったことと、勤務先と近かったこともあり、訪問することがありました。

ある日、「ビブロス」の従業員からこんな話を聞きました。

「最近、頻繁に来店する人がいるのですが、その人は決して店頭で洋書を購入しないのです。その人はこう言いました。『店頭では高いので、アマゾンのサイトで買っています』と。
つまり、実物の洋書を手にとって、内容を確認するために来店しているのです。このような人が増えると、対処のしようがなく、困っています。
『来店拒否』はできませんからね」

今から思うと、これが「ショールーミング」だったのです。

工具・資材専門店の「DIY FACTORY OSAKA」(DFO)を運営する大都(大阪市)は、実店舗のほかに、工具などの専門通販サイトも運営しています。

この会社の面白いことは、次の点にあります。

大都の山田岳人社長は、来店客がネットで購入することをむしろ促す。

「どう考えても、モノを売るだけならネットの方が優れているから」だ。

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2014.08.11,08.18 p. 034 


しかし、それでは実店舗を運営している意味がない、と思えますね。先にお話した「ビブロス」のように。

山田社長の考え方は次のようです。きちんとした意味があるのです。

山田社長は「ネットにはネットの、リアルにはリアルの長所がある」とする。

消費者がリアルの店に「ショールーム」としての機能を求めるなら、その機能を磨き上げ、ネットにはできない価値を提供すればいい。

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2014.08.11,08.18 p. 035 


具体的にどのようなことをしているのか、とても興味がわきますね。

同店では物販の売り上げは収入全体の半分強しかない。残りの4割ほどは専門メーカーからの「展示料」と、店で開催するワークショップやセミナーといったイベント収入などが占める。

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2014.08.11,08.18 p. 035
 


つまり、「家賃収入」とイベント会場での講習会などの「副収入」が大きいのです。

来店客にしてみれば、工具の購入を検討しているが、使い方がよく分からない場合、ワークショップで教えてもらえるというメリットがあります。

山田社長が「ネットにはネットの・・・」とは、こういう意味だったのです。

次に、セブン&アイホールディングスの動きをご紹介しましょう。

巨大グループですから、行なうこともスケールが違います。

そごう・西武、イトーヨーカ堂、赤ちゃん本舗など、傘下企業の商品をネット経由で「いつでもどこでも買える」ようにするのが眼目。

軸となるのが、国内で約1万7000店に達するセブンイレブンだ。

リアル拠点がない企業は物流大手の値上げ圧力に屈するしかない。だが、自前の物流網があれば自由度は飛躍的に高まる。約4000カ所のヤマト運輸の営業拠点数をはるかに超え、約2万ある郵便局(簡易郵便局を除く)の数にさえ迫るセブンの拠点網は、ネット各社から垂涎の的だ。

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2014.08.11,08.18 p. 036 


さらに、この話には続きがあります。本当の凄さは、こちらにあると言えます。

鈴木敏文セブン&アイ会長が「将来はユニクロの商品を届けることもあり得る」と豪語するように、セブンがあらゆるECの「宅配インフラ」に化ける 可能性もある。そうなったとき真の意味で、EC専業に押され気味とされてきた「リアルの逆襲」が始まる。

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2014.08.11,08.18 p. 036 


もう一つの大きな変化は、「ポイントがネットとリアルの橋渡し」をしていて、その勢いが加速していることです。

次の図表をご覧ください。
「楽天スーパーポイント」「T-POINT」「Ponta」の3つのポイントが「ポイント」です。


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消費者の立場から見ると、3つの「ポイント」の上手な使い分けが重要です。

小売業界の課題について、『日経ビジネス』は次のように指摘しています。

小売業界が直面しているのはオンラインとオフラインを総合し、いかなる「売り場」を消費者に提供するかという課題だ。ネットを忌むべき敵と見なし、その利点を取り込めない企業は、早晩、競争力を失う。

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2014.08.11,08.18 p. 037 


PART 3 すぐそこの近未来 成長市場に技術の追い風

ヤフーは、昨年10月に、ECモール「Yahoo!ショッピング」の出店手数料を無料にしました。

そして、この8月20日、「Yahoo!トラベル」を全面リニューアルします。

「最も大きな変化は、自ら宿泊施設と契約して在庫を抱えること」
(p. 038)です。

これだけではよく分かりませんね。

つまり、こういう意味です。

これまでは、他社の宿泊予約サイトの情報をまとめて掲載していたにすぎなかったが、今後は「楽天トラベル」や「じゃらんnet」といった既存大手と同じ土俵に立つ。

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2014.08.11,08.18 p. 038
 
 


ただ、ヤフーにメリットがあるのか、と思いますね。
もちろん、十分にメリットがあるから思い切った決断をしたわけですが。

「出店手数料」などの収入を捨てる代わりに、それ以上の金額が見込まれる「広告収入」を獲得しようとしているのです。

ヤフーはEC無料化策の具体的な数値目標を公表していないが、10兆円の流通総額を目指し、その5%にあたる、5000億円の広告収入を一つの目安としているようだ。ヤフー全体の売上高、3862億円(2014年3月)を上回る。

そこへたどり着くために、ヤフーは既存ECモールお無料化だけでなく、あらゆる分野への新規参入を狙っている。

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2014.08.11,08.18 p. 039 


2万店で低迷していた出店数が激増 ●「Yahoo! ショッピング」のストア数
eコマース大乱戦 20兆円目前、市場争奪のゆくえ


今後のeコマースの動向について、楽天の三木谷浩史社長は次のように述べています。

今の競争とは異質な地殻変動がいずれ起きる。うまく説明できないが、消費者の行動が変わり、リアルとオンラインの関係性も変わる。20年、30年後、インターネットは今と全く異なる形になるだろう。

その時、根本的に全く異なるプレーヤーが出てくる。僕はそれを常に考えている。

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2014.08.11,08.18 p. 041
 


『日経ビジネス』は次の言葉で結んでいます。

リアルの小売市場は、消費行動の変化やサプライチェーンなど技術の進歩によって姿を時代ごとに変化させてきた。

ネットが普及してわずか20年。ECも確実に再定義されていく。その兆候をいち早くつかんだ者が新たな覇者となる。

まだチャンスは誰にでもある。
 

eコマース大乱戦 20兆円目前、市場争奪のゆくえ 
2014.08.11,08.18 p. 041 



🔷編集後記

この特集記事(元記事)が公開されたのは、9年前のことで、アメブロでも9年前(2014-08-19 19:56:10) のことでした。

この9年間で、eコマース業界は様変わりしました。
いや、正確に言えば、勝ち組は更に強くなり、生き残りをかけて戦っていた企業の中から負け組となり、脱落し姿を消した企業は少なくありません。

解散したり、吸収合併されたりして現在では私たちの目に触れることがなくなった企業があります。今後も熾烈な戦いが続く中で、勝ち残っていく企業はどこでしょうか?

そして、各社各様の「ポイント」戦略はどうなっているでしょうか?
この9年間で新たな「ポイント」を引っ提げて参入した企業が多くあります。

特に次の2社が注目に値します。

NTT docomoを吸収合併し、dポイントを全面改良し導入したNTTと、Tポイントとの提携を解消し独自のPayPayポイントを導入したソフトバンク。

dポイントとPayPayポイントの2つが「楽天スーパーポイント」「T-POINT」「Ponta」の3つのポイントの牙城を崩し始めています。

今後、どこが真の覇者になるか予想がつけにくい状況です。

利用者にとってメリットとなることは、使いやすく、ポイントの貯まり方が早く、大きいことに尽きます。

それらを比較検討し、選択し、時には併用してあなたも運用しているはずです。私もそうです。

注意すべき点は、ルールの改正が頻繁に行われることです。改悪となるケースさえあります。

例えば、今まで100円で1ポイントだったものが、200円で1ポイントになったり、5倍のポイントがもらえたのが、3倍に変更になったり……。

もちろん、セールス期間にはポイントが数倍になることもあります。

ポイント経済圏の競争が激化しています。

現状を見てみましょう。

【2023年版】楽天ポイント、Pontaポイント、dポイント、Tポイントを徹底比較 (価格.comマガジン 2023年5月28日)

4大共通ポイントと呼ばれる「楽天ポイント」「Pontaポイント」「dポイント」「Tポイント」。特定の店舗でしか貯まらない「自社ポイント」と異なり、「共通ポイント」は企業・業種を超えてさまざまな店舗・サービスで貯めて、支払いに使うことができるのが大きな特徴です。

4大共通ポイントと関係性のあるサービス・店舗

4大共通ポイントの概要と主要な加盟店

詳細については下記のウェブサイトでご確認ください。
あくまで現時点でのサービス内容ですので、今後大きく変わる可能性があることに留意してください。


少し古いデータになりますが、ポイントが貯まりやすいランキングがあります。

利用の多いポイントサービス上位は「楽天ポイント」「Tポイント」「Pontaポイント」(IMPRESS 2021/10/27 9:00)

SBI生命保険が実施した「ポイントサービスの利用状況に関する調査」によると、利用することが多いポイントサービス、最もポイントが貯まっているサービス1位は「楽天ポイント」だった。調査対象はポイントサービスを利用している20代~60代の男女1110人、期間は2021年10月7日~10月8日。

利用場面が多いポイントサービス1位は「楽天ポイント」

あなたはこれらのポイントのどれを日常的に使っていますか?
私は楽天ポイントとTポイントが多いです。
近所での買い物にはTポイントを利用できる店舗がありますので、Tポイントが中心になります。

尚、Tポイントは来春からVポイントと統合することが決定しました。

TポイントとVポイント統合発表 来年春に新「Vポイント」提供へ(NHK 2023年6月13日 17時23分)

レンタル事業大手「TSUTAYA」を展開するカルチュア・コンビニエンス・クラブと、三井住友フィナンシャルグループは、両社のポイント事業を統合し、来年春をめどに新しい「Vポイント」のサービスを提供することになりました。



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