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メルマガ 大前研一 ニュースの視点 有益な情報を得て、発想に結びつける No.003




メルマガ 大前研一 ニュースの視点 有益な情報を得て、発想に結びつける No.003

はじめに

私は30年ほど前から大前研一氏の著作を読み始め、読み続けています。
大前氏の著作や動画等から非常に有益な情報を得るだけでなく、考え方・発想法などを学んでいます。

大前氏のメルマガ購読を10年ほど前に開始し、今日も続けています。
ただし、すべての記事にきちんと目を通したとは言えません。
そこで、メルマガ購読の登録を開始した当時に遡って、読み直すことにしました。
そうすることで書籍との関連性によってより深く理解できたり、10年にわたる大前氏の考え方の変遷を感じ取ることができると考えました。

大前氏が頭脳明晰であることは異論がないと思います。
他にも頭が良い人たちは数多いますが、その人たちと大前氏が異なる点があります。

それは、大前氏は自分の考え方や発言に間違いがあった場合には、すぐに認め、訂正することです。他の頭が良いと言われる人たちは、プライドが高く、自分の間違いを認めたがらないだけではなく、訂正しようともしません。


🔶お知らせ

大前氏は私より年齢が一回り上です。大前氏は今年80歳になられました。
事情ははっきりしませんが、2023年6月29日に、BBT(ビジネス・ブレークスルー)の代表取締役を退任されました。

ビジネス・ブレークスルー大学の学長職に専念されるということです。社会人教育に対して情熱を注ぎ続ける姿に頭が下がります。
日本を再興するためには、社会人教育が不可欠であるという信念を持ち、今日でも社会人教育に励んでいます。

私は、他のところでも何度も書いていますが、30代の頃から大前氏に私淑しています。これからも変わりません。


KON460【ブリヂストンと電気自動車~顧客を理解して戦略を決める】 ~大前研一ニュースの視点~ 2013/04/05 (金) 8:26

🔴メルマガ全文


┏━■ ~大前研一ニュースの視点~
┃1┃ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
┗━┛『ブリヂストンと電気自動車~顧客を理解して戦略を決める』
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 ブリヂストン
 ブランド戦略を見直し
 電気自動車
 EV試作第3号車「シム・セル」を発表

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 ▼ タイヤメーカーのブランド戦略が、今必要か?
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 ブリヂストンの津谷正明最高経営責任者(CEO)は27日、グループ全体で
 整合性が取れた1つのブランド戦略をまとめたいとの見解を示しました。

 ブリヂストンの他、ファイアストン、デイトンなど複数のブランドを保有
 していますが、地域によって混在しており、ブランド戦略を統一すること
 で新興国を含めたグローバル展開を加速する方針です。

 正直、今になってなぜブランド戦略を見直す必要があるのか、私には理解
 出来ません。

 例えば、ファイアストンブランドは米国でもよく知られたブランドです
 が、特段傷ついたブランドでもありません。

 今、価格別にブランドを統一する意味があるのでしょうか?

 そもそも、タイヤにとってブランド力がどれほど重要か?という点につい
 て、消費者の立場から考えるべきでしょう。

 車を持っている人に、自分が乗っている車のタイヤメーカーを聞いても、
 まともに正解できる人はそう多くないはずです。

 車メーカーは摩擦、音、重量などを考慮して車種ごとにタイヤを共同開発
 しますから、タイヤメーカーに対する意識は高いですが、消費者はタイヤ
 メーカーをそれほど気にしていないのが実情だと思います。

 そして車メーカーがタイヤを選ぶ際は、技術的な観点から厳格にそれぞれ
 の車種にあったタイヤを選びます。

 あるいは、古くから付き合いが深いメーカーのものを選ぶということもあ
 るでしょう。

 いずれにせよ、ブランド力が大きな影響力を持っているとは感じません。

 ブランド戦略を見直すのは結構なことですが、その前にお客さんとなる消
 費者に目を向けて考えるべきです。

 お客さんの頭にあるのは、タイヤメーカーのブランドではなく、車メーカ
 ーのブランドではないでしょうか?

 実際、車のシェアとその車が使っているタイヤのシェアはほとんど同じに
 なりますから、タイヤ単独のブランド力はほとんど関係がないと言えるで
 しょう。

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 ▼ 電気自動車のポイントは、量産体制を築き上げられるかどうか
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 慶応義塾大学発電気自動車(EV)開発ベンチャーのシムドライブは27日、
 始動から4.2秒で時速100キロメートルまで加速できるEVの試作第3号車
 「シム・セル」を発表しました。

 2015年の量産をめざすとのことです。

 シムドライブは、車輪のホイールにモーターを組み込む「インホイールモ
 ーター」
の採用による低コストなEVの量産化を掲げたベンチャー企業で
 す。

 会長には、その趣旨に賛同したベネッセコーポーレションの福武總一郎会
 長が就任しています。

 今回発表されたEVの性能を見ると、ものすごい加速力でシムドライブの技
 術力をうかがい知ることができます。

 時速も最高300キロ近くに達するそうです。

 ただし、重要なのは「性能」ではなく「量産化」です。

 インドなどで量産化をする計画だと思いますが、果たしてどこまで「量産
 体制」を築き上げられるでしょうか?

 2015年を目処にしているとのことなので、それまでが勝負時だと思いま
 す。

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 この大前研一のメッセージは3月31日にBBT Chで放映された  
 大前研一ライブの内容を抜粋・編集し、本メールマガジン向けに
 再構成しております。

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✅KON460のキーワード・キーセンテンス

1「タイヤにとって(の)ブランド力」

「お客さんの頭にあるのは、タイヤメーカーのブランドではなく、車メーカ
 ーのブランドではないでしょうか?」
という大前氏の意見に、私は賛同できません。

30~50代まで日産自動車のスカイラインGTやグロリア(セドリックの兄弟車)、フーガに乗っていました。

タイヤはブリヂストンと決めていました。ブリヂストンでなかった場合には、履き替えてもらっていました。この点は譲れませんでした。

2「インホイールモーター」

このメルマガを読み直してみて、驚いたことは、当時の日本はEV(電気自動車)の開発に携わっていたということです。タイヤの中にモーターを組み込むという発想はとても面白いと思いましたが、現代ではインホイールモーターを採用したEVは市販されていません。

インホイールモーターの欠点と課題
路面からの衝撃はタイヤを介しただけでモーター本体に伝達されるため、モーターや減速機には高い耐久性が求められる。
・モータ搭載位置が低くなるため、浸水や路上の異物などへの対処が必要になる。
・モーター設計の制約が大きい。
・モーターがブレーキと隣接するため、熱対策が必要になる。

このような欠点や課題が克服できなかったからだと推測されます。

3「量産化」

慶応義塾大学発電気自動車(EV)開発ベンチャーのシムドライブのケースが紹介されていましたが、プロトタイプ(試作車)ができても「量産化」ができなければ、ビジネスとして成り立ちません。

技術力を誇っても世界で勝負できません。
現代では、日本のメーカーではトヨタ自動車がHV(ハイブリッド車)や日産自動車などがEVを発売していますが、米国のテスラや中国のBYDがEVを量産しています。


KON461【アメリカ・中国・新興国経済~既存情報に工夫を加えて正しく理解する】 ~大前研一ニュースの視点~ 2013/04/12 (金)8:26


┏━■ ~大前研一ニュースの視点~
┃1┃ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
┗━┛『アメリカ・中国・新興国経済~既存情報に工夫を加えて正しく理解する』
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 米中経済
 上向くアメリカ・中国の景気
 新興国経済
 BRICSから東南アジアへ

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 ▼ 史上最高値と言っても、米国経済は浮かれる余裕はない
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 日経新聞は1日、「上向く米中景気」と題する記事を発表しました。

 これは米国株価指数のダウ工業株30種平均が5年5か月ぶりに最高値を付け
 たことを受けて、ウォルト・ディズニー、IBM、マクドナルドなど日本で
 も有名なグローバル企業が牽引したと紹介。

 また個人消費も勢いをつけているとし、課題は雇用回復ペースの遅さと指
 摘しています。

 一方、中国経済については中国政府が昨年夏以降に行ったインフラ投資の
 規制緩和の効果で、景気が底入れしたものの、実態は今なお官製経済と分
 析しています。

 記事で指摘していることはごく当たり前のことばかりですが、米国の経済
 が上向きの兆候を見せており、期待したい気持ちが高まっているのでしょ
 う。

 ただ、今回株価が史上最高値をつけたと言って過剰に期待しすぎるのもど
 うかと私は思います。

 確かに史上最高値ではありますが、「株価の伸びている期間」で見るとそ
 れほど特別な状況ではありません。

 3月18日号のBloomberg Businessweek誌には「かつての景気回復局面での
 株価の伸び」と題する記事が掲載されていました。

 S&P500インデックスの上昇率をみると、今回の景気回復局面では、2009
 年から2013年にかけての約1500日間で129%株価が上昇しています。

 ところが、実は歴史的には2000日を超える例もいくつかあり、最長期間で
 言えば1987年から2000年にかけて株価が582%上昇しています。

 今の状況に浮かれすぎて良いものか私は疑問に感じてしまいます。

 そして最近の米国の悩みは、株式市場の上昇に対して景気の高揚感がない
 ということです。

 すなわち、IBM、マクドナルドなど世界に展開して勝負している企業は業
 績が上向き株価が上がっていますが、それは国内の景気に反映されていま
 せん。

 実際、失業率は未だに7%台を超えており雇用環境が改善されたとは言え
 ません。

 株価と実体経済が乖離し始めているのです。

 これが最近の米国経済の特徴であり、実は日本も全く同じ状況になってい
 ます。

 また中国企業の直近の決算状況を見ると、消費財メーカーが厳しい状況に
 追い込まれています。

 太陽電池のサンテックが破綻し、国美電器、李寧、ZTEは赤字に転落しま
 した。

 景気の上昇局面では安売りで伸びたものの、消費が低迷し値引きした結
 果、赤字に転落してしまいました。

 これらの企業は高度成長期に固定投資を行い固定費が伸びてしまったた
 め、少しでも売上が減ってしまうと厳しいのです。

 かつての日本企業は石油ショックなどを経験し、必死に固定費を下げて生
 産性を上げる努力をしました。

 誕生してからずっと高度成長が続いてきたこれらの中国企業には、そうし
 た厳しい状況を乗り越えた経験がありません。

 内需の陰りが一気に消費財メーカーを直撃し、それに耐えうる経験が圧倒
 的に足りていないのだと思います。


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 ▼ ASEANの好調は、数年前からわかっていたこと
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 日経新聞は1日、「新興国牽引役はBRICSから東南アジアへ」と題する記事
 を掲載しました。

 これはBRICSが高成長を実現し、新興国ブームのきっかけを作ったもの
 の、リーマンショック後は南アフリカを除いて奮わないと紹介。

 一方、ASEAN各国は消費意欲が旺盛な中間所得層が大幅に増えていると
 し、またASEAN域内で国境を超えた生産分業体制が整っているのも魅力と
 分析しています。

 数年前からASEANのことを指摘していた私に言わせれば、「何を今さら」
 という気持ちです。

 インドネシアの有望さなど、何年も前からわかっていたことです。

 BRICSと東南アジア主要国のGDP成長率の推移を見ても、右肩下がりの
 BRICSに対して東南アジア諸国は好調を維持しているのがわかります。

 フィリピンは史上最高値、インドネシアも6%台の成長を続けています。

 洪水に見舞われたタイも頑張っていますし、マレーシアも堅調です。

 ASEAN諸国の特徴としては、中国と直接ぶつかることなく、補完関係にあ
 る国も多いということだと思います。

 対中貿易がプラスの国も多いのです。

 ゆえに中国に目をつけられることもなく、強かに生き残っています。

 ASEAN諸国の好調さは、ごく当たり前のことだと私は思っています。

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 この大前研一のメッセージは4月7日にBBT Chで放映された  
 大前研一ライブの内容を抜粋・編集し、本メールマガジン向けに
 再構成しております。

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✅KON461のキーワード・キーセンテンス

1「株価と実体経済が乖離し始めている」

10年前の2013年のメルマガですが、株価と実体経済の乖離は2023年でも実感していることですね。

株価は上昇していても、実体経済が正比例しているわけではありません。
人手不足やインフレに対し賃金の上昇が追いついていかないという点がその事実を実証しています。

新型コロナ禍後、中国経済の成長力が弱まったことが世界に暗い影を落としています。

2「BRICS」

懐かしい用語が出てきましたね。BRICSとはBrazil、Russia、India、China、South Africaの5カ国の頭文字を取って作られた用語です。いわゆる新興国の象徴でした。

この5カ国の中で高成長を達成したのはChinaとIndiaでした。

その後、BRICSという言葉は見かけなくなりましたが、最近になって「BRICSプラス」という言葉を時々目にするようになりました。

「BRICSプラス」誕生!世界市場への影響は?

8月22日から三日間にわたり、南アフリカ共和国の最大都市であるヨハネスブルグで、BRICS首脳会議が行われました。BRICS(ブリックス)は、ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ共和国(南ア)の頭文字(英語表記)をとった、比較的規模が大きい新興国のグループ名です。
毎年行われている首脳会談ですが、今年の同会談では、このグループに2024年1月から6カ国を加えるという、大きな決定がなされました。6カ国とは、アルゼンチン、イラン、エジプト、エチオピア、サウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)です。一部では大きくなるBRICSを、BRICSプラス、拡大BRICSなどと呼び始めています。

「BRICSプラス」誕生!世界市場への影響は? 
2023/8/29 トウシル
 


「BRICSプラス」誕生!世界市場への影響は?

KON462【サッチャー改革と英国経済~取り組みを実現して成果を出す】 ~大前研一ニュースの視点~ 2013年4月19日 (金) 8:26


┏━■ ~大前研一ニュースの視点~
┃1┃ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
┗━┛『サッチャー改革と英国経済~取り組みを実現して成果を出す』
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 英サッチャー元首相が死去
 ~8日・87才~
 「小さな政府」で経済自由化実現
 1979年から11年間首相勤め

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 ▼ 30代の若手を集めた、影のキャビネットによる小さな政府の実現
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 鉄の女と言われ、1979年から11年間イギリス首相を務めたマーガレット・
 サッチャー氏
が8日、脳卒中のため死去しました。

 強い指導力で国営企業の民営化や規制緩和を進め、小さな政府を目指し経
 済の自由化を実現する手腕は、他の先進国の経済改革に大きな影響を与え
 ました。

 日経新聞に連載されたサッチャー元首相の“私の履歴書”は、素晴らしいも
 のだったと思います。

 実際、彼女の記憶力、信念は素晴らしいものがありました。

 サッチャーさんは首相になった後、影のキャビネットを作りました。

 通常は野党が作るものですが、彼女はロンドン大学教授をリーダーにす
 え、そこに私のマッキンゼー時代の同僚や、ロイヤル・ダッチ・シェル、
 バンク・オブ・イングランドなどのイギリスの一流企業に在籍する30才か
 ら35才までの若手を7,8人集め、毎週水曜日の午後に必ず自分自身の時間を
 とっていました。

 そこでは、自分が出したポリシーがイギリス各地にどのように受け入れら
 れ、どうしたら上手くいくか。
 またポリシーとしてどういうものを出したらいいかを、全てこのメンバー
 に調べさせ、議論させました。

 私も一度、日英関係をテーマに参加しましたが、非常にユニークだと感じ
 ました。

 日本の安倍首相だと、年齢の高いアドバイザーを招集したり、臨時の会議
 や委員会を作って議論させたりします。

 彼女は、常設の優秀な若手7名プラス先生を集め、自分の部屋で一週間議
 論させ、自分のポリシーの言い方が難しくないかなど、全部若手の言いた
 いように言わせ、まとめていくのです。

 この仕組は猛烈な効果を発揮し、サッチャー改革を支えた施策だと思いま
 す。

 また、彼女は根っからの小さな政府論者で、10年以上経済戦略研究所の副
 所長でした。

 そして、イギリス病の根治に相当な信念をもって取り組みました。

 世論や朝日新聞の反応を気にする日本の政治家とはだいぶ違います。

 そのため潰れた産業や街もあり、恨みも買いましたが、絶対にぶれません
 でした。

 あまりにも急な改革に反発し、彼女の人気が急落した時期もありました
 が、その直前にアルゼンチンがフォークランドに攻め込みました。

 彼女は強硬な姿勢を貫きました。

 アンドリュー王子もヘリコプターのパイロットとして従軍したことでも知
 られています。

 結果的に彼女は罷免されませんでした。

 その後、ゴルバチョフとレーガンの間をとりもち、冷戦終了まで持ち込み
 ました。

 その意味で、彼女は信念に基づく傑出したイマジネーションを持っていた
 と思います。

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 ▼ 現在のイギリスを形作った、サッチャー改革7つのポイント
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 小泉元首相も小さな政府を提唱はしていましたが、郵政改革は選挙終了と
 ともに中途半端なまま、再官営化に向かってしまいました。

 改革を続けることは非常に難しいものです。

 BBCのサッチャー元首相追悼番組では、労働党の人が口汚く罵っていまし
 た。

 どうしても恨みを買ってしまうものです。

 サッチャー改革のポイントは、民営化、財政、税制、規制緩和、金融政
 策、社会保障、労働組合でした。

 特に、税制では所得税率を83%から40%下げたのは素晴らしい。

 金融政策では、シティを世界金融の中心にするということもしました。

 ウィンブルドン化を伴う施策でしたが、この一連の改革がなければ、今の
 イギリスはトップクラスの国から脱落していたかもしれません。

 彼女がいなければ、あのまま衰退が続き、活力も全くなく、金融業も発展
 しなかっただろうと思います。

 ちなみに、現在、英景気の3番底が懸念されています。

 カナダ中銀のカーニー総裁をイングランド銀行の総裁へするという抜擢人
 事も発表しています。

 成長率も右肩下がりで失業率もサッチャー時代の20%弱より低いですが、
 8%台と上昇し、景気はあまり良くありません。

 ですが、EU諸国と異なり共通通貨を使っていないので、通貨調整できるの
 で楽な面はあると思います。

 私は、イギリス人だけではなく、世界は彼女のような政治家の英知に感謝
 するべきだと思っています。

 特に、レーガンとサッチャーは非常に相性が良く、小さな政府を掲げ、お
 互いに徹底的な規制撤廃を行っていきました。

 日本はサッチャー革命の入り口にもきておらず、サッチャー革命の前のイ
 ギリスと同じ状況です。

 大きな政府へとひたすら向かっています。

 おそらく、サッチャー改革のなんたるかを、日本の政治家でわかっている
 人はいないと思います。

 日本の政治家がサッチャーのことを理解するのはまず無理だと思います。

 少なくとも、10年勉強しないと駄目だと思います。

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 この大前研一のメッセージは4月14日にBBT Chで放映された  
 大前研一ライブの内容を抜粋・編集し、本メールマガジン向けに
 再構成しております。

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✅KON462のキーワード・キーセンテンス

1「マーガレット・サッチャー氏」

英国の首相を務めたマーガレット・サッチャー氏。「鉄の女」というあだ名をつけられました。信念を貫いた人という印象を持っています。

毀誉褒貶相半ばしたようですが、政策を実行するうえで、誰にでも良いということはあり得ません。

必ず、犠牲が伴うものです。それでも正しいことを行なうのだという強い信念を最後まで貫き通せるかどうかが、真の政治家であるかどうかの分かれ目となります。

マーガレット・サッチャー
Wikipedia


2「小さな政府」

小さな政府とは、「民間で過不足なく供給可能な財・サービスにおいて政府の関与を無くすことで、政府・行政など公組織・国営企業の規模・権限・介入を可能な限り小さくしようとする思想または政策である」(Wikipedia)

言い換えれば、民間でできるだけのことはやりなさいということです。

3「ウィンブルドン化」

ウィンブルドン方式とは、「金融ビッグバン後、英国の金融機関が次々と海外金融機関に買収されたことをさす。自国開催ながら英国選手がなかなか活躍できないテニス大会になぞらえていったもの」(goo辞書)

言ってみれば、場所を貸すだけで、そのでプレーするのは他国の企業や選手ということです。

サッチャー氏はそれでも良いと判断し、実行しました。英国の金融街・シティを守りたかったからではないかと思います。

英ロンドンの金融街シティーの正式名称は「シティー・オブ・ロンドン」でロンドン市の1行政区を指す。面積は3平方キロメートルほどだ。「スクエアマイル」とも呼ばれる。
イングランド銀行(中央銀行)や証券取引所のほか世界の主要な金融機関が軒を連ねる。IT(情報技術)や会計、法務などのサービスを手がける企業も多い。シティーだけで年間700億ポンド(およそ11.4兆円)を稼ぎ出す。

日本経済新聞 2022年5月6日 1:00  



KON463【異次元緩和効果と金相場~現状の背景と実態を理解する】 ~大前研一ニュースの視点~ 2013/04/26 (金) 8:26

┏━■ ~大前研一ニュースの視点~
┃1┃ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
┗━┛『異次元緩和効果と金相場~現状の背景と実態を理解する』
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 異次元緩和効果
 新発10年物国債利回り 一時0.65%
 金相場
 金の国際相場が急落

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 ▼ 先進国へお金が流れ始めたというのは、全くの勘違い
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 新発10年物国債の利回りは15日、一時前営業日よりも0.03%高い0.65%ま
 で上昇しました。

 一方、東京証券取引所が18日発表した売買動向によると、黒田総裁率いる
 日銀が「量的・質的金融緩和」を発表した翌週の4月第2週に海外勢は日本
 株を1兆5865億円買い越し、週間で過去最高を更新したことがわかりまし
 た。

 このような事態を受けて、日経新聞は「世界の投資マネーが新興国から先
 進国へ回帰し始めた」などと報じていますが、私は賛同できません。

 もう少し資金の性格を見抜いてから記事にすべきだと思います。

 今、日本に流れてきている資金はサヤ取り業者の短期的なものです。

 決して長期滞在型の資金ではありません。

 買い越しのピークから売り越しのピークへの変化など、一瞬で起こってし
 まうでしょう。

 今、日本国債の利回りはかなり乱高下しており、危険な状況だと私は見て
 います。

 利回りが上がった時に一気に外国のヘッジファンドが仕掛けてくると、今
 や外国人保有率が10%に達していますから、長期保有していた人も不安心
 理に煽られて日本国債を売ってしまうでしょう。

 すると利回りはさらに上昇し、暴落へのトリガーを引くことにつながりま
 す。

 日本の為替と株で昨年の秋から1000億円規模で収益を上げている某ヘッジ
 ファンドの担当者と最近会う機会がありました。

 彼らは民主党政権は長く持たないと踏んで、一般的な日本人よりも先に動
 き始め、円安が進行し、うまく儲けることができたというところでしょ
 う。

 安倍総理の政策を信用して預けようという、長期滞在型の資金ではありま
 せん。

 米国にお金が戻っているのは、本当だと思います。

 シェールガス革命の影響を考えれば、頷けるところです。

 しかし日本の場合は違います。

 そもそも全世界に4,000兆円もあるホームレスマネーのうち、7兆円が日本
 に流れたからと言って、先進国へお金が流れ始めたなどと言うのはおかし
 な話です。

 しっかりとそのお金がどのような性格を持っているのかを見抜く目を持っ
 て欲しいと思います。

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 ▼ 金相場も日本円、日本国債と同様、荒れ始めた
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 金相場は12日、米大手金融機関が大量の売りを出したという情報が市場に
 流れたのがきっかけに週明けの15日も大幅な下落が続き、下げ幅は2日間
 で200ドルを超えました。

 2000年からずっと上昇傾向にあった金の価格が、1,800ドルに迫る勢いか
 ら一転、1,500ドルを下回る日も出てくるという、急激な下落傾向を示して
 います。

 CNNの番組では、金のトレーディングに25年間携わっている人が、「あん
 な動きを自分は見たことがない」と、先日のわずか2日間で200ドル以上の
 下落をした相場に驚きを隠せない様子でした。

 金相場は必ずしも日本の影響ではなく、キプロスの影響も大きいと言われ
 ていますが、金、日本円、日本国債の相場が少し荒れ始めているのは確か
 です。

 サヤ取り業者は何かしらの信念を持っているわけではありません。

 すなわち、安倍総理と黒田日銀総裁が正しいと信じているわけではないで
 しょう。

 今は乗っかったほうが儲けやすいと思っているだけです。

 タイミングが来れば、あっさりと離れていくことは明白です。

 おそらく黒田総裁がきちんとした出口戦略を持っていないと踏んで、自分
 たち自身で明確な出口戦略まで考えていると思います。

 日本円、日本国債、金相場といったものの動きを見るとき、日本の報道機
 関などを見ても視野が短期的になりすぎる傾向があります。

 もっと広い視野で見て、なぜそれが起こっているのか?を自分で考えられ
 るようになってほしいと思います。

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 この大前研一のメッセージは4月21日にBBT Chで放映された  
 大前研一ライブの内容を抜粋・編集し、本メールマガジン向けに
 再構成しております。

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✅KON463のキーワード・キーセンテンス

1「見抜く目」

見抜く目を持つためには、知識と経験、考え方(分析力)が必要です。どれも欠かせません。一朝一夕では身につきません。

先入観を持たないことも重要です。表層面を見ただけで判断し、理解したつもりになっていては、見抜く目は養えません。

2「出口戦略」

出口戦略とは、「軍事的もしくは経済的な損害が続く状況から損失・被害を最小限にして撤退する戦略である」(Wikipedia)

同じ撤退でも損害・被害を最小限にすることを第一に考える戦略ですから、これはこれで重要です。

なぜなら、十分に検討し、これならうまくいくはずだと確信し実行したが、結果失敗に終わりそうな状況に至った場合を考えてみましょう。

これ以上推し進めてもあらゆる観点から精査しても逆転の見込みがないとなったら、残るのはどのように撤退すべきかという1点のみです。

これも立派な戦略です。


⭐今回のメルマガ(1ヵ月分)についての感想

いかがでしたでしょうか?

大前さんの目のつけどころ、分析力、問題解決の具体策の提示、歯に衣着せぬストレートな言葉に快感を覚えます。

経験と実績に裏打ちされた言葉には、揺るぎない「力」があります。

メルマガは書籍と異なり、限られた文字数の中でポイントを絞り、いかにして自分の主張を解りやすく読者に伝えるかが重要です。

ただし、嘘を書いたり、奇をてらった表現は一時的に注目されることがあっても、同じことを続けていると信頼されなくなります。

大前さんはそうしたスタンドプレーは決してしません。する必要がないのです。

大前さんも人間ですから時には間違うこともありますが、間違ったらすぐに改めます。そこが凡人とは異なる点です。変なプライドは捨てて、間違いを認める人間は信頼されます。


✒ 編集後記

「メルマガ 大前研一 ニュースの視点」を読み返してみると、当時のことが断片的に思い出されてきました。10年という歳月が流れましたが、ところどころ記憶に残っていた個所があり、またその後の経過を確認することができています。

マーガレット・サッチャー氏のように毀誉褒貶が相半ばしても、信念に基づいてやり抜くことができる人物は、たとえ当時は批判されようと、後世になって高い評価を得る可能性があります。

大前研一氏の先を見通す力や発想力、構想力、分析力、発信力、その他にも多数ありますが、私には何一つ追いつけるものはありません。

それでも、大前氏をグル(「指導者」「教師」「尊敬すべき人物」「師匠」)と仰ぎ、書籍や動画などを通じて、これからも間接的に指導を受けたいと思っています。


✑ 大前研一氏の略歴

大前 研一(おおまえ けんいち、1943年2月21日 - )は、日本経営コンサルタント起業家マサチューセッツ工科大学博士マッキンゼー日本支社長を経て、カリフォルニア大学ロサンゼルス校公共政策大学院教授やスタンフォード大学経営大学院客員教授を歴任。
現在、ビジネス・ブレークスルー大学学長、韓国梨花女子大学国際大学院名誉教授、高麗大学名誉客員教授、(株)大前・アンド・アソシエーツ創業者兼取締役、株式会社ビジネス・ブレークスルー代表取締役社長等を務める。 (Wikipedia から)

大前研一氏の略歴補足

大前氏は日立製作所に勤務時、高速増殖炉もんじゅの設計を担当していましたが、原発の危険性を強く感じていたそうです。
MITで原子力工学の博士号を授与されています。原子力の専門家でもあり、世界的に著名な経営コンサルタントでもあります。

世界一の経営コンサルティングファームのマッキンゼーに転職。
マッキンゼー本社の常務、マッキンゼー・ジャパン代表を歴任。

都知事選に出馬しましたが、まったく選挙活動をしなかった青島幸男氏に敗れたことを機に、政治の世界で活躍することをキッパリ諦め、社会人のための教育機関を立ち上げました。BBT(ビジネス・ブレークスルー)を東京証券取引所に上場させました。

大前氏の書籍は、日本語と英語で出版されていて、米国の大学でテキストとして使われている書籍もあるそうです。


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2013/03/03 0:28
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メルマガに登録して、最初のメルマガが配信されたのは2013年3月8日(金)のことでした。
大前研一 ニュースの視点の通し番号にKON・・・となっています。
KO は Kenichi Ohmae です。N はナンバーです。


さて、私に最初に配信されたメルマガのタイトルは下記のようになっていました。

KON456【北方領土問題と韓国の新大統領~長期的な時間の流れで考える】 ~大前研一ニュースの視点~

通算で456件目だったのです。そのため、1~455のメルマガを読むことはできません。

ところが、調べてみたところ、2006年3月24日(当時は#106)以降であれば読めることがわかりました。


いずれの日にか、バックナンバーも取り上げます。


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