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『お金の流れが変わった!』(5)

『お金の流れが変わった!』(5)

新興国が動かす世界経済の新ルール
PHP研究所 2011年1月5日 第1版第1刷


<目次>
第1章 超大国「G2」の黄昏
 Ⅰアメリカ-「唯一の大国」はいかにして崩壊したか
 Ⅱ中国-バブル崩壊はいつやってくるか

第2章 お金の流れが変わった!
 Ⅰ「ホームレス・マネー」に翻弄される世界
 ⅡEU-帝国拡大から防衛のシナリオ
 Ⅲ新興国ー21世紀の世界経済の寵児

第3章 21世紀の新パラダイムと日本
 Ⅰマクロ経済政策はもう効かない
 Ⅱ市場が日本を見限る日
第4章 新興国市場とホームレス・マネー活用戦略
 Ⅰ新興国で成功するための発想
 Ⅱ日本経済再成長の処方箋


ロンドン・オリンピックで日本選手の活躍が、毎日報道されています。
 
2012年8月6日現在、日本の金メダルは2つです。
女子柔道の松本薫選手と、男子体操個人総合の内村航平選手が金メダルを獲得しました。

メダル総数で前回大会(北京オリンピック)を上回ることは確実です。

なでしこジャパンがフランスに勝ち、いよいよ米国との決勝戦に立ち向かうことになりました。

男子U-23も7日17時(現地時間、日本時間8日午前1時)に強敵メキシコと決勝進出をかけて戦います。
44年ぶりのメダル獲得に向け、非常にモチベーションが高まっていると思います。

懸念材料は、エジプト戦で先取点を挙げた永井選手が左足の負傷で出場が危ぶまれていることです。
永井選手は日本チームにとって欠かすことのできない選手ですから、先発出場は無理でも、ここという場面でピッチに立ってもらいたいものです。

そして男女とも金メダルを取ってもらいたい、と願っています。


Ⅲ新興国ー21世紀の世界経済の寵児

ユーロ圏の不安は一向に払拭されていません。
スペイン情勢の動向に為替や株式が上下動を繰り返しています。
上振れ、下振れともリスクですから、いかにリスクヘッジするかは、
各国金融関係者の知恵と腕の見せ所です。
 

では、本題に戻りましょう。

しばらく前まで、BRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)が新興国として注目されましたが、今ではVIP(ヴェトナム、インドネシア、フィリピン)とかVITAMIN(ヴェトナム、インドネシア、タイとトルコ、アルゼンチンと南アフリカ、メキシコ、イランとイラク、ナイジェリア)が新・新興国と言われています。

大前研一氏は、これらの新・新興国を一般の評論家とは異なるの視点で捉えています。


BRICsやVITAMINに代表される新興国は、5000万人以上の巨大な人口を抱え、平均年齢が25から30歳前半である。

低賃金ではあるが優秀な頭脳、または勤労意欲を持つ国々なのである。

人材に恵まれていても政治が貧困で国内に雇用機会がなかったインド、フィリピン、コロンビア、トルコなどの国がここに入ってきたのは、ひとたび政治と経済が安定し、経済成長の兆しが出てくると、出稼ぎに行っていた人材が大挙して戻ってくるからだ。

彼らは語学力があるうえに、先進国で教育を受けたり、就業経験があったりして、経済発展の要になりうる。

              
                             
            

世界の金の流れが変わった理由を、次のように説明しています。

住むのは安全・安心な先進国、資金の運用は発展いちじるしい新興国、という流れがこの5年間くらいのあいだに定着してきたのである

21世紀になって世界のカネの流れが変わった。

その最大の理由は、(高齢化する)先進国や(高騰する石油で)OPECに過剰な資金が貯まる一方、自国では富を生み出さないどころか、目先の景気回復策と称してゼロ金利や低金利にしてしまっているからである。

住むのは安全・安心な先進国、資金の運用は発展いちじるしい新興国、という流れがこの5年間くらいのあいだに定着してきたのである

『お金の流れが変わった!』 大前研一の名言 1 〈500〉               


新・新興国の中のインドネシアについて、面白い調査結果があるそうです。

それは「インドネシアで『世界でいちばん好きな国はどこか』というアンケート調査をすると、75パーセントは『日本』をあげるという。

2位がアメリカンの30パーセントだから、まさに断トツである。
第二次大戦の最中、日本がオランダからの独立を加速させたことや、戦後いち早くODAを行い、日本企業が進出して雇用を創出したことなどが、その背景にあるという」ということです。


以上の記事を書いたのは、2012年8月7日のことです。


VITAMINの一角を占めるインドネシアについて、『日経ビジネス』が特集を組んだことがあります。

インドネシアには親日家が多いという話がありますが、必ずしもそうではないことが書かれています。

「日経ビジネスの特集記事」という私のブログから、『日経ビジネス』がインドネシアを特集した当時の記事の一部をご紹介します。

 今号の日経ビジネスはそんなイメージを払拭する内容です。

 今週の特集記事を読んで2つのキーワードに着目しました。

 『多様性(ダイバーシティ)』と『変質』です。

 まず、多様性についてお話しましょう。

 1人当りGRDP(域内総生産)の比較を見てみましょう。

 首都ジャカルタは1万46ドルですが、北マルクという地域はわずか570ドルです。

 1人当りの格差は、実に17.6倍にもなっています。


 5つの先入観とは?

 1 インドネシアはBOP(Bottom Of the Pyramid、ピラミッドの底辺)
   市場である

 2 インドネシアは人件費は安い

 3 インドネシアは親日国である

 4 インドネシアはイスラム国家である

 5 インドネシアは資源国である


 
 自動車や2輪、日用品、飲料などの多くの日本製品が愛されている。

 しかし、「親日」とは限らないし、「親中国ではない」という意味でもないのです。外交において多様性が重視されています。


「変質」に話を戻しますと、インドネシア商工会議所(KADIN)・インドネシア委員会のソニー・ハルソノ委員長が述べた言葉が象徴的です。

「昔のインドネシア人は、日本人に会えばニコニコして頭を下げて話を聞いた。だが、そんな時代はもう変わった。私たちも言うべきことを言う」。

 丸紅からインドネシア財閥・シナルマスグループに
転じた小林一則専務はこう語っています。

 「かつて日本は、インドネシアにとっていい『親』だった。日本は、様々な技術をインドネシアに教えた。

 でももうインドネシアは成長して一人前になった。

 これからは教えるのではなく、彼らがどうなりたいのかをよく「聞く」姿勢が大切だ」。


インドネシアに対するイメージが変わったのではないでしょうか?

ちなみに、BOPは現在では、Base Of the Pyramid というそうです。
「ピラミッドの底辺」よりも「ピラミッドの土台」と表現したほうがピラミッドを支えるという意味を強調でき、ベターだろうということです。

語感の問題で、中身は何も変わらないですが……


詳細は → 下記のリンクでご覧ください。



➳ 編集後記

『お金の流れが変わった!』という本について

『お金の流れが変わった!』 は世界と日本の金融を考えると、以前とは全く異なる状況になってきたことを大前氏が、理路整然と具体的に、かつ分かりやすく解説している本です。

時の流れは急速で、昨日までの常識が今日には非常識になることは珍しくありません。

経営資源

経営資源として言われているのは、ヒト・モノ・カネ・情報・時間です。
他にシステム等が加わることもありますね。

はじめの5つに共通点がありますが、何でしょうか?

それは「流れ」です。

人流 (入社・退社・異動・昇進・降格)
物流 (売買・配送・輸出入)
金流 (売買に伴うお金の移動・給与・ボーナス)
情報流(情報を収集し、発信)
時間は、刻一刻と流れています。
 時間の流れは、過去→現在→未来ではなく、「未来→現在→過去」です。
 現在は一瞬のうちに過去になってしまいます。未来と思っていたことが
 現在になり、過去になります。

私たちは、「流れ」にコントロールされているとも考えられます。


✅ 現在の新興国

新興国とはどこの国? 中国は新興国or先進国? 新興国に明確な定義はないってホント?

このウェブサイトから重要なポイントを抜粋します。
(掲載日:2022年05月24日)

新興国は時代の流れとともに変化する

新興国(英語:Emerging Countries)とは、先進国に比べて政治や経済がまだ発展途上である国々の中でも成長率が高く、世界経済への影響も大きい国のことです。


新興国の明確な定義はない

実は新興国を定義する明確な基準はありません。

先進国と新興国を分類する様々な方法が存在し、それぞれの基準によって、同じ国が先進国にも新興国にもなる、ということが起きるため(中略)。


代表的な新興国のグルーピング

ネクスト11 (Next Eleven=ネクストイレブン)とは、N-11とも略される、ゴールドマン・サックス社が提唱した新興国グループの総称であり、BRICsに次いで経済大国への成長が期待される11ヵ国のことです。

ベトナム、韓国、インドネシア、フィリピン、バングラデシュ、パキスタン、イラン、エジプト、トルコ、ナイジェリア、メキシコを指します。

韓国が新興国に含まれていることに違和感を抱きますね。
サムスン電子やLG電子、現代(ヒュンダイ)自動車などの一部の財閥系企業が注目されますが、国レベルで考えると新興国の扱いをされているということです。


国内の所得格差が拡大し続けたまま経済成長を続ける中国は…?

その国が先進国であるか否かは、単に経済規模だけでなく、国民全体の豊かさも重要であるという見方もあり、そういう意味でも、中国はいまだに中所得国(発展途上国より所得が多く、先進国より少ない国のこと)とみなされる状況が多々あると言えるでしょう。


新興国が注目される2つの理由とは?

理由1:新興国では生産年齢人口が増加している
理由2:新興国の多くが資源国である

生産年齢人口(15~64歳)が増加しているのは、先進国と比較して、平均年齢が低いからです。人口ピラミッドを見ると、ピラミッドの土台を支える年齢層が厚いということです。

日本はその逆です。ピラミッドの上の部分が分厚くなっています。
つまり、土台がグラグラしていて支えることが難しくなっているのです。



私が考える大前研一氏の考え方

🔶 大前氏は自分で考え出したことを自ら実践し、検証しています。仮説と検証を繰り返す行動の人です。

Think before you leap.(翔ぶ前に考えよ)という諺がありますが、Leap before you think.(考える前に翔べ)もあります。

あれこれ考えて、難しそうだからとか面倒くさそうだからやめようでは成長しません。
まず、やってみるという姿勢が大切です。


大前研一氏は、常に物事の本質を述べています。洞察力が素晴らしいと思います
私は、ハウツーものは、その内容がすぐに陳腐化するので読みません。


➔ 大前氏の言葉は、いつでも私たちが忘れがちな重要なことに気づかせてくれます。


🔶 大前研一氏と私は年齢がちょうど一回り(12歳)離れています。

しかし、その年齢以上に遥かに頭の中身と行動力に差がある、と大前氏の著作を読むたびに痛感します。

構想力、コンサルタント力、提案力、実行力……。

どれをとっても私が及ぶようなものは何一つありません。

それでも、いや、だからこそ大前氏の著作やメルマガを通じ、大前氏の考え方を素直に受け入れることにしているのです。

時には、かなり過激な表現も見受けられますが、それは大前氏がそれだけ真剣に物事を考え、モノマネではなくオリジナルな提案をし、自ら実行しているからです。

そうした姿勢をいつも背中から見ていて、頼もしく感じ、(勝手に)この人に師事し、グル(思想的指導者)と仰いでいるのです。



⭐ 関連書籍



🔶 大前研一氏と私とは年齢が一回り違います。大前氏は1943年2月21日生まれで、私は1955年6月30日生まれです。
大前氏は、私にとってはメンター(師匠)です。もちろん私が勝手にそう思っているだけです。


🔶 大前氏は評論家ではありません。言うだけで自分では何もしない人ではありません。大前氏は行動する人です。だから大前氏の提言は説得力があるのです。


大前研一オフィシャルウェブ

このウェブサイトを見ると、大前氏の出版物一覧を見ることができます。
私は、大前氏の全出版物の半分も読んでいませんが、今後も読んでいくつもりです。
⭐ 出典元: 大前研一 オフィシャルウェブ



大前氏は1995年の都知事選に敗戦後、『大前研一 敗戦記』を上梓しました。




🖊 大前氏の著作を読むと、いつも知的刺激を受けます。
数十年前に出版された本であっても、大前氏の先見の明や慧眼に驚かされます。

『企業参謀』(1985/10/8 講談社という本に出会ったとき、日本にもこんなに凄い人がいるのか、と驚嘆、感嘆したものです。

それ以降、大前氏の著作を数多く読みました。

『企業参謀』が好評であったため、『続・企業参謀』(‎ 1986/2/7 講談社が出版され、その後合本版『企業参謀―戦略的思考とはなにか』(1999/11/9 プレジデント社)も出版されました。





🔶 大前氏は経営コンサルタントとしても超一流でしたが、アドバイスするだけの人ではありませんでした。自ら実践する人です。有言実行の人です。起業し、東京証券取引所に上場しています。現在は代表取締役会長です。


大前氏の本には、ものの見方、考え方を理解する上で重要な部分が多くあります。大前氏の真意を深く考えなくてはなりませんね。

この元記事は7年前にAmebaブログで書きました()。
「新・大前研一名言集(改)」はかなりの量になりました。
私にとっては、いわばレガシィです。

その記事を再編集しました。


✑ 大前研一氏の略歴

大前 研一(おおまえ けんいち、1943年2月21日 - )は、日本経営コンサルタント起業家マサチューセッツ工科大学博士マッキンゼー日本支社長を経て、カリフォルニア大学ロサンゼルス校公共政策大学院教授やスタンフォード大学経営大学院客員教授を歴任。
現在、ビジネス・ブレークスルー大学学長、韓国梨花女子大学国際大学院名誉教授、高麗大学名誉客員教授、(株)大前・アンド・アソシエーツ創業者兼取締役、株式会社ビジネス・ブレークスルー代表取締役社長等を務める。 (Wikipedia から)


大前研一氏の略歴補足

大前氏は日立製作所に勤務時、高速増殖炉もんじゅの設計を担当していましたが、原発の危険性を強く感じていたそうです。

その後、世界一の経営コンサルティングファームのマッキンゼーに転職。
マッキンゼー本社の常務、マッキンゼー・ジャパン代表を歴任。

都知事選に出馬しましたが、まったく選挙活動をしなかった青島幸男氏に敗れたことを機に、政治の世界で活躍することをキッパリ諦め、社会人のための教育機関を立ち上げました。BBT(ビジネス・ブレークスルー)を東京証券取引所に上場させました。

大前氏の書籍は、日本語と英語で出版されていて、米国の大学でテキストとして使われている書籍もあるそうです。


⭐ 今までにご紹介してきた書籍です。















⭐ 私のマガジン (2022.09.09現在)




















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