いらっしゃいませ。お好きなお席にどうぞ。

ご注文：ブレンドとチェリータルト。アーモンドがほのかに香る台の上に、卵の風味豊かなカスタードクリームと、みずみずしいダークチェリーをたっぷり乗せたタルトです。

 タルトを7割がた召し上がったところで、そのお客様は「あの、聞いてもらっていいですか？」と話しかけてきました。
「同じマンションの住人で、子供の同級生のお母さんが、マウントを取ろうとしてくるんです」
家族旅行はいつも国内と聞けば、「つまらなくない？　ウチは海外でないと旅行した気分になれないの」。
週末しか乗らないので車を手放したと聞けば、「車の維持費ってそんなに高い？　持ってた方がやっぱり便利よ～」
　最近は、会ってしまったら“急いでるので”と言って避けるようにしているが、同じマンションだとそうばかりもできない。
「先日もマンションの前で近所のママ友とおしゃべりしていたら、会話に入ってきて余計なことを言うので、さすがにキレそうになりました」

　そうですよねえ、「何のために、そんなこと言うの」って怒りたくなりますよね。そういう人って、わりとよくいませんか？　子ども時代には、すでにいましたもの。誰かが「うれしい話」をしていると、自慢話をかぶせてくるみたいな。私も前はよくカチンと来てました、時には「次に言われたら、何て返してやろうか」なんて思ったりして。でもいつの頃からか、考えが変わってきたんです。