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今週の、いちばん。第26回/チームには、「戻れる場所」が必要だ。

先日、生まれてはじめて“ビジコン”なるものに行ってきた。
略さず言うとビジネスプランのコンテスト。
今回の場合、現役の大学生が、与えられた課題に対し、限られた時間でそれを解決するようなプランを考え、発表するイベントだった。

僕は僭越ながら、学生さんの議論の仕方にアドバイスを与えたり、プランを審査する立場で参加していた。
これまで企画書は何百本と書いてきたけど、ビジネスプランを書いたことなどない。
だから、こちらの本を読んだり、今一緒に仕事をしている起業家の著者にアドバイスを求めるなどして、最低限の予習はしていった。

当日は、学生さんがつくった素晴らしいビジネスプランに、ただただ驚くばかりだった。
たとえば、「オーストリアに日本の文化を輸出し、一時の流行ではなく長期的に現地に根付くビジネスモデルを考えよ」なんて課題に、ほんの数時間でそれを解決するようなビジネスプランを考えるのだ。
ろくに勉強もせず合氣道ばかり練習していた学生時代の自分では、到底思いつかないだろう。

ただ、みなさんの発表はよかったけど、それに至る議論の仕方で少々気になったことがある。
ビジネスプランを考えるチームは、当日初めて顔を合わせるメンツが多かったのだろう。
だから、チームによっては、一度意見の対立が起きると、うまくコミュニケーションが取れず、なかなかそれを修復できないようだった。

こういう状態は、別にビジコンのチームだけじゃなくて、会社や他の組織でも有り得ることだ。
人が集まれば、それぞれ考え方も違うし、出てくる答えも異なる。
そのどちらが正しいかという視点だけでは、お互い譲れないで、議論がこう着することもある。

そういうときは、きっと「戻れる場所」、言い換えると「判断基準」が必要なんだろう。
たとえば、このチームは「誰」の「何」を「どのように」解決するためにあるのか。
その場所まで戻れば、どちらがより自分たちらしい解なのか、見えてくる。
言葉遊びのように聞こえるかもしれないけど、「考える」前に、「考え方を考える」ことも大事だと感じた一日だった。

今週の、いちばん「戻れる場所」を意識した瞬間。それは、10月4日、竹橋のビジネスプランコンテスト会場で学生さんの議論するさまを見た瞬間です。


*「今週の、いちばん。」は、その1週間で僕がいちばん、心が動かされたことをふりかえる連載です(下の「このマガジンに含まれています」のリンクから全部の記事が読めます)

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