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現役編集者が、「 #ウェブの面白い文章 」を50日かけて5本選んでみた。−2−

はじめまして(の人にも読まれたら嬉しいです)、編集者の滝啓輔と申します。普段は講談社のウェブメディア「現代ビジネス」「マネー現代」の編集をしています。

このnoteは、僕が今やっている「 #1000日チャレンジ 」についての記録です。50日ごとに「まとめ」を書いていて、今回が2回め(100日まで)です。

僕の「 #1000日チャレンジ 」の内容とルール

「そもそも何で #1000日チャレンジ やっているの?」「どうしてこの内容にしたの?」という答えは第1回に書いてるので(長文です…)、もし興味のある方はご覧ください。

いちおう、ここでもポイントだけ拾って書いておきますね。

・僕の「 #1000日チャレンジ 」は<独断と偏見で「 #ウェブの面白い文章 」を1日1つシェアする>ことです。
*普段は以下のようにTwitter(100日目をリンクしました)と、後述するスプレッドシートに記録しています。

・「面白い文章」は個人的に、以下のように定義をしています。

・くすっと、あるいは声を出して笑えるものはもちろん「面白い」
・自分が想像もつかなかった事実、考え方を教えてくれるのも「面白い」
・本来の面白いと外れていても、どうしても読んでほしい文章も「面白い」

・「こういう文章は選ばない」という禁じ手も決めています。

・自分、あるいは自分の所属する編集部が関わった文章は選ばない
・自分の担当した書き手、近しい人の書いた文章も、極力選ばない

・毎日、ニュースサイトから個人のブログ、noteまでなるべく幅広くチェックするようにしていますが、もちろんウェブという大海のごくごく一部しか見られていません。ご容赦ください。

はい、ここまでが前置きです。では、本題に入ります。

2019年8月22日〜10月10日までの「  #ウェブの面白い文章 」5本

今回も、選ぶの、非常に大変でした。

いちおうセレクトの流れを書くと、この期間読んだ50本のタイトルをバーッと、テキストファイルにコピペするんです。で、そのタイトルを見比べて、改めて面白かったなと思うタイトルに「★」マークをつけ、それを5本になるまでに絞り込むのですが……、最初15本くらい★マークついちゃって、そうとう焦りました。

泣く泣く落とした文章、いっぱいあります。お時間ある方は、文末のスプレッドシートで、ぜひ選外の記事もご覧いただけたらと。

では、独断と偏見で選んだ5本を。

①「容姿が悪く、交際経験が一度もない」47歳女性に鴻上尚史が本音で応える

鴻上さんの人生相談、毎回面白いですよね。本当、捨て回がないと言うか。その中でも、この回は図抜けて素晴らしかったと思います。

「サバ缶さん(=相談者)を傷つけてしまうかもしれない」とためらいながら書かれた回答は、必ずしもバラ色の答えではないんです。でも、とても誠実な姿勢で選び抜かれた言葉で、やはり「希望はある」。名文だと思います。

②『地球の歩き方』を100冊読んで発見した、「最も詩的な一節」を発表する

これは面白い「文章」であり、「企画」だと思いました。もうアイデア勝ち!……っていうとそれは本当は正しくなくて、このアイデアと、それを実際に完遂した行動力、根性がすばらしい。

読む楽しみを奪うのはよくないと思うのですが、一つだけ孫引きさせていただくと、

夜明け前にアクセルオン。雲の白。森の緑。湖の青。
立ち寄ったガソリンスタンドで味わうコーヒーの深い香り。
時速75マイルで駆ければ、灰色の町が後ろへ吹っ飛び風だけが追いかけてくる。
『地球の歩き方 アメリカ・ドライブ 2017~2018』より

ペーパードライバーの僕も、思わずドライブしたくなる一文でした。それにしても、風だけが追いかけてくるねぇ…

③なぜ志らくは嫌われるのか

まず、志らくさんのファンの方がご覧になっていたら、申し訳ありません。僕、立川流だと談春さんが一番好きで(赤めだか以降を書いた文章をいつか読みたい…)、

志らくさんについては、正直、さほど関心がなかったんです。

でも、このタイトルを見たとき、俄然読まねばと思った。ということは、僕自身、志らくさんに対して、なにか思うところがあったんでしょうね(TVなどで拝見した印象からでしかないですが)。

肝心の「なぜ」の答えはぜひリンク先でご覧ください。僕はリアルに膝を打ちました。

④香港デモは「オタク戦争」? 最前線のガチ勢“覆面部隊”の意外な正体とは

僕も毎日毎日、ウェブメディア編集者としてタイトル付けをしていると、「便利な言葉」がわかってきます。この「意外な〜」って言葉もそうなんです。本当は意外な結論じゃなくても、これをつけておくと面白そうに見えてしまう。

ただリンクした記事は、掛け値なしに「意外」です。そういう人たちが前線に立っていたとはと思って、ワクワク(という言葉が適切でないと知りつつ)読みました。ただ、この記事を読んだときよりさらに香港の情勢がきな臭くなっていて、最近は関連記事を読むのがつらいことが多いです。

なお、宣伝になってしまってうのですが、この記事を読んだあとに、偶然担当している小出 フィッシャー 美奈さんからも香港について原稿をいただき、すぐに公開しました。

日々、「 #ウェブの面白い文章 」を見ながら、自分たちのサイトではどんなアンサーを返したらいいかなと思案しております(身内びいきになるのが嫌で、「現代ビジネス」「マネー現代」「FRaU」の文章は除外していますが、本当に、面白い文章たくさん掲載している自負はあります)。

⑤「風俗嬢に恋をしました」では伝わらない

鴻上さんの人生相談から始まり、くしくも、人生相談、しかも恋愛についてのそれで締めることになりました。

僕、cakesの有料会員なので、いまでもこちらの記事を全文読めるのですが、普通の方は冒頭しか読めないと思います。それでも、この文章のすごさって伝わりませんか?

だって、相談文はたったの10文字、「風俗嬢に恋をしました」としかないんです。この「だから、どうした」的な、いろいろと「たりない」相談に、幡野さんが全力で答える(応える)。人生相談に求められるのは、これくらいの真摯さなのかもしれません。この50日で、いの一番に選ぼうと思った文章でした。

あまり蛇足を書くのも恐縮ですが、今回「人生相談」モノを2本選んで、それが面白いというか、すごいなと感じられたのは、「誰かのため」の文章だったからかもしれません。

以上の5本のうち、1本でも読みたいなと思えるものがあれば幸いです。

なお、最後に自分が普段「 #1000日チャレンジ 」を記録しているスプレッドシートもリンクしておきます。

大体、深夜に更新しているので、日付がズレている日が多いですが、ご容赦を。残すはあと900日。その間、少しでも「 #ウェブの面白い文章 」が話題になればと思っております。

今のところ、全ノート無料にしていますが、「おひねり」いただけると励みになります!