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56・アフターマシ息子・仕事編①あそこがオレの原点~R・Stones dirty work


息子は 家での百円の食器洗いから、マック お寿司の宅配などのバイト、ガテン系でガッチリ働いたり、女の子の服屋に勤めたりと よく働いていたが 父親の入院で、うちの自営の仕事を手伝うようになった。

うちの自営の仕事場は、狭い事務所に古い倉庫が付いていた。
倉庫は雨が降ると浸水しそうでハラハラ。
エアコンつけても、夏はチョー暑く 冬はチョー寒い。
倉庫の中では、猫が子猫を産む。夫と息子はショックで落ちこむ。(二人とも動物に優しいのだ)
ボランティアで子猫を引き取ってくれる団体にTELして ダンボールに入れて置いたら、母猫が危険と思ったのか 次の日にはダンボールはもぬけの殻だった。
猫がいなくなると今度はネズミと格闘。
事務所の出入り口には、ハチが巣をかける ブーン。
最初はトイレもなかった。やっと工事現場にあるようなトイレが設置された。
もちろん外トイレだから、夏暑く 冬寒い。水も凍る。

感心するのは、そんな仕事場に不満も言わない夫と息子である。
私だったら、不満タラタラ、何でこんなとこしかないんだと(家賃をケチってるから当たり前なのだが)悲観するのは目に見えてる。
夫は昔貧乏 タタオは以前ガテン系 の苦労人同士 たいした不満もないらしい。


仕事場は環境は悪いが、それでも家賃はかかる。
あるとき
夫「この間 すごい安い土地があったから、仕事場にならないかと思って、タタオと見に行ったんだ」
私「へぇ~どうだった?」
夫「それがひとつはすんごい階段の上でさ。とても荷物なんて運べないような。 で、もうひとつ行ってみた」
私「そこは階段じゃないの?」
夫「階段はないんだけど、行けども行けども山ん中でさ。
八つ墓村かなんかのカマふり上げた老婆が20人ほど付いてきそうなところなんだよ!
私「ははは。タタオは何て言ってた?」
夫「タタオは絶句だよ。
それが、好評分譲中って書いてあるんだ」
私「好評分譲中じゃなくて、絶句分譲中じゃないの?!」


このように仕事場にはなかなか苦労してるので、
私「いつか宝くじが当たったら、あの仕事場何とかしてあげたい」
と言ったら
タタオ「でもあそこがオレの原点だから」
 
な、なんと!
私・・・古くて不便な環境で可哀そう
タタオ・・・仕事の基盤を作ったオレの原点
同じ場所でも、思い方にこの差!
私ったら、まったくよけいなお世話だった。
大切なのは、環境を整えてやることじゃなく
どんな環境でもそれを糧にできるガッツだったのだ・・・




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