児童書だけどサバイバルマニュアル!『火曜日のごちそうはヒキガエル』

もし運悪く、だれかにさらわれて監禁されてしまったら、どうする?親としては、そんな話を小さな子供とするのはちょっとためらってしまう。子供が想像だけで泣いてしまったり、外の世界をおびえるようになる可能性もあるからだ。でも、頭の片隅にちょっとだけでも、そういう情報を入れておいてほしい……そんなジレンマを解消してくれるのが、この本だ。

『火曜日のごちそうはヒキガエル』。ラッセル・E・エリクソンが1974年に著した世界的ベストセラーだ。(児童書に疎い私は今回子供が図書館で借りてきて、初めて知りました…)

主人公は、ヒキガエルのウォートン。そうじが大好き。きょうだいのモートンとふたりで仲良く暮らしている。ある日、おばさんを訪ねるためにウォートンは冬の寒さをものともせず地上へ飛び出し、おばさんの家へと向かう。しかし、途中でミミズクにさらわれてしまう。ミミズクは、火曜日の自分の誕生日に、ウォートンを食べるつもりなのだ。

火曜日までは数日の猶予がある。ウォートンはミミズクの家で暮らしながら、脱出の機会をうかがう。大まかなストーリーとしては、よくある冒険譚である。しかし、この先のウォートンの姿勢は私をとても驚かせた。

死がすぐそばまで迫っていて、何もかもあきらめてもおかしくない状況の中で、ウォートンはつとめて「いつもどおりの自分」でいようとする。笑顔を作り、そうじをして、お茶を飲む。ミミズクに話しかけ、コミュニケーションを取ろうとする。

それらはまさに、「誘拐された時に無抵抗の人間が助かるために取るべき行動」だった。絶望に襲われないように気分を調整し、落ち着いて冷静な自分でいるために閉鎖空間の環境を向上させ、犯人と良好な関係を構築できるよう努める。以前、ネットで見かけたアメリカのサバイバルマニュアルにも同様のことが書いてあった。それを読んだ時、このマニュアルに子供用があればいいのにな〜と思ったのだ。まさかその子供用マニュアルが40年以上も前に、児童書として発売されていたとは!

もちろん、そういう読み方をするためにこの物語が書かれたわけではないだろう。でも、子供向けサバイバルマニュアルとして十全に機能すると子を持つ親としては思うし、頼もしさすら感じるのだ。

その後ウォートンは助かったのか、ミミズクはどうなったのか。それをここでつまびらかにすることは控えたいが、冒険譚としても息もつかせぬ面白さを持った作品なので、どうか最初から最後まで一気読みしてほしい。大人なら20分もあれば読めます。そして2度目は子供と一緒に読んで話し合おう。

なお、ウォートンが事件に巻き込まれるまでにはいくつかの「気になる点」がある。その点をチェックして、「ウォートン、ここを気をつけていたらミミズクにさらわれないですんだんじゃない?」と考えてみることで、事件に遭うことを未然に回避するための思考も養うことができるだろう。

文章レベルとしては、読み聞かせなら幼稚園からでも大丈夫。小学2年生の推薦図書になっているので、小学校低学年なら自分でも読めるような感じです。

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