見出し画像

鴫野考 川を想う

今日テレビで道頓堀川にニホンウナギを探す番組を観た。かつては飛び込んだら汚すぎて腹を壊して死ぬと言われていたあの川も、だいぶんと水質改善が進み、今やウナギの聖地になっているとか。捨てられた自転車がいい隠れ家になっているという話もあったが。
ここ鴫野もまた都市河川に囲まれたまちである。緑橋との間に第二寝屋川、放出との間に平野川分水路、蒲生四丁目との間には寝屋川がある。これら川の付替えで姿を消しているが、千間川、猫間川、楠根川というのもあったらしく、今や細長い公園や緩やかなカーブの道路としてその面影を残している。
鴫野に引っ越してきたころ、この川がネックだった。上流で捨てられたらしい生活ごみが流れ、夏には臭いもきつい。何より大雨で氾濫しないか不安。コンクリートの粗末な堤防に親水空間もなく、橋から見下ろすくらいしかない。
暮らし始めると運河のまちとも言いたくなる気持ちも多少理解できるようになった。OBPの高層ビルに落ちる夕景、サギやカモ、名前の分からない水鳥、たまにぱちゃんと音だけが跳ねる鯉や迷い子のような大きな亀、風の道。
この都市河川たちがもっと魅力的になれば、このまちにも新しい景色が生まれるだろうと思う。大阪の水景といえば、飲食店から川にデッキを張り出した北浜テラス、見る者と見られる者が一瞬の交わりを生む道頓堀川などの遊覧、不法占拠の店を合法的に再現した大正タグボート、中之島のアーバンピクニック的な川遊び、大正と住之江をつなぐ渡船、城北川のキャンドルナイトというのもあったな。いずれかの模倣でなくていい。
ちょっと川面のそばまで近づけたり、通勤通学に使えたり(ちなみに川を辿れば、北浜の川沿いにある会社までだいぶ近いはず)、もっと鳥や魚やウナギや虫や植物たちが見られたり、小樽運河のようにロマンチックな灯りが川面を彩ったり。
考えるだけでもわくわくする。この川たち次第で、鴫野もまた化けると思うのだ。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?