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ならべてたのしむ(1)スプルスエールとブラックボトル

ならべてたのしむシリーズ第1弾。

ビールと、そのビールに所縁のある他の飲み物を、揃えて並べて飲み比べて、混ぜてみたりもして楽しんでみよう、という試み。

栄えある、いや特に栄えはない第1回は、ビール:スプルスエールとウイスキー:ブラックボトルである。

クラン・ブリューイング スプルスエール
Clan Brewing Spruce Ale

スコットランドはクラン・ブリューイングの、スプルスを風味付けに使ったハイアルコールなエール、ABV8.0%。

スプルスはエゾマツの一種であるトウヒの英名で、ホップの代用として用いられた。このスプルスエールでは、スプルスの枝を投入したそうだ。豪快だな。
これをアイラ・モルトの樽でエイジング。アイラ島のどの蒸留所の樽かは非公開。

ゴードングラハム ブラックボトル
Gordon Graham's Black Bottle

アイラ島にある7つの蒸留所のモルト原酒を使ったと言われるブレンデッド・スコッチ、ABV40%。

含みのある言い方には理由がある。
ブラックボトルはもともと、アイランズ・モルトを中心とした、ピーティさがかなり強めのブレンドだったらしい。
これを後年に再現しようとして、ブナハーブンをメインにアイラ島7蒸留所のモルトをブレンド。それが1995年から2003年からの8年間で、その後はハイランド・モルトの割合が増えたのだとか。
今どうなのかは調べてもわからなかった。
ムゥーッ! 買う前によく調べるべきだった!

とまれ、公式にはアイラ島7蒸留所ブレンドなのだから、このまま進めることとする。

まずは、それぞれ

スプルスエール
松脂じみた脂っぽい香りはスプルスの枝由来か。ピート香とスモーク香はアイラ樽由来だろう。ピーティとスモーキーの奥に、黒糖めいた甘い香りがある。紹興酒じみた発酵臭もあり、メイラード反応が進んだものと思われる。
味わいは……酸味が……なんということか……酸味がある……。これはあれだ、劣化してる。保管に失敗したということだ。ううッ。本来は濃厚なモルトの甘みが特徴のようだ。片鱗はあるが、酸味が前面に出ている。悔やまれる。

ブラックボトル
まずはストレートで。スモーキー強め、ピーティ控えめ。アイラ・モルトのブレンドというので、強烈なヨードと塩の洪水を覚悟したが、なんと上品なスモーキーさか。甘さとともにアルコールの辛さがあるが、全体的に穏やかだ。
ほんの少し加水すると、アルコール感が抑えられ、甘みが強まる。柑橘ぽい香りと、苦みも少し出てきた。トワイスアップだと印象は変わらないが、薄いと感じる。
ロックにしてみる。冷やすとほんのりスモーキーで甘みが強調され、飲みやすくなった。ハーフロックはトワイスアップと同じく、薄い。
少しアルコール刺激が強いので、ストレートよりは水を数滴がいいのかもしれない。

交互に飲んでみる

スプルスエールが本来のコンディションではないぽいのでなんとも言えないが、相性は悪くない。

しかし、スプルスエールの方がピーティとスモーキーが強いので、負けるなブラックボトル! と応援したくなる感じ。ブラックボトルではなく、もっと個性の強いシングルモルト、ラフロイグとかラガヴーリンとかカリラとかの方が良かったかもしれない。

ブーストしてみる

スプルスエールにブラックボトルを少量注ぐ。
交互に飲んだときと同じく、相性は悪くない。悪くないが良くもない。

と思ってたら、少し時間をおいたらなんかこなれて良くなったぞ! 温度が上がったのも影響しているかもしれない。
スモーキーが強調され、酸味が和らぎ、甘みも強くなり、すごくいい感じだ!
よし、残りはブーストして飲みきろう。アルコール過剰摂取だが、いたしかたない。

未来へ

保管に気を使おう。あるいはビール用の冷蔵庫買うべきか。ビール冷蔵庫を買ってしまえば、もう後戻りはできない

次はフードとのペアリングも考えてみよう。

後、下調べは大事。

今後の予定

●クラン・ブリューイング インペリアル・スタウト
ローランド・モルトの樽でエイジングしたインペリアル・スタウト。ローランド・モルトは銘柄非公開なので、ローランドのブレンデッドを探している。ローランドのブレンデッドで手に入りそうなのは、ダグラスレインのザ・エピキュリアンしかない。
こいつも劣化してたらどうしよう。

●ハービストン オーラ・ドゥ スペシャル・リザーブ 12
定番ブラックエール:オールド・エンジン・オイルを、ハイランドパーク12年の樽でエイジングしたもの。合わせるのは当然、ハイランドパーク12年だ。オールド・エンジン・オイルも並べて試してみるとしよう。

2019年7月16日訂正 アラン→アイラ(3箇所)

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