言葉を選ぶのがとても下手なキミの話

4月は誕生日だったのだ。
知り合ったばかりのキミに誕生日(平日)を伝えた3月の寒い夜、キミは「じゃあその週の土曜日とか。」って言ってて、当日を避ける気遣いと週末を指定する攻めの感じが平行してるのをとても奇妙に感じたのを覚えている(週末に人を誘うことはぼくにはすごく勇気がいる)

当日、シメのパスタでぼくらのディナーは終わった。
なんとなく空虚なテーブルの側でキミは、この店が自分にとってどれだけ大事なのか、そんな場所に人を招くのは自分にとって特別なことだとか、急につらつらと語りぼくはオロオロと戸惑い。そしたら

「以上をもって、締めの言葉と代えさせて頂きます。」

と、プライベートな場にはおよそ不似合いな言葉を発し

「ほら、甘いの苦手で、今日デザートないから、なんか締まらないけど。」

って更につなげてくれた。

そう、ぼくは甘いものが苦手で、デザートプレートいらなーいって伝えていたのだ。

言葉を選ぶのが下手なキミは、パスタで終わってしまうような、断ち切られるようなディナーは、きっと居心地が悪かったに違いない。

そんな断ち切られたディナーの切れ端を、不器用な言葉で丸くしようとする姿が、本当にキュートで、背が高くてオシャレなお店もたくさん知ってるキミの隣はいつも緊張するけど、心の底からフフって笑えた気がした。

それが最高の誕生日プレゼントだったのは、いうまでもなく。

感謝の言葉に代えて。


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