用もなくマスクをして歩いている人を、和製ミッフィーと呼んでいる。最近見かける黒いマスクの人、あれは和製黒ミッフィー。

マスクというのは、絆創膏みたいで。あの人たちの口元は、きっとミッフィーみたいに×担っているに違いない。マスクで絆創膏をして、×の口を隠している。

ミッフィーがかわいいのはね、それは口が×だからよ。×だから何も言わない。口を開く輩は大嫌い。口答えして、はむかって。思うとおりにならなくて、私のことをぐちゃくちゃにする。瓦礫の山だ、破壊だ、荒野だ。何にもなくて無価値のばかもの。私のものにならないもの。

あの人たちは、きっとかわいい。マトリューシカのように突っ立って。黒い瞳で遠くを見つめている。そうでしょう？あなたたちは、ウサギさんになりたいから、顔におおきな絆創膏をして、街を歩く。

あなた方はミッフィーになりたくて、私たちはミッフィーが好き。小さな、相互作用のやさしい世界。

こんなまやかしは、いずれぶっ壊れちゃうんだろうね。うふふ。