「ものごとに対して、5回、なぜ?を繰り返す」こと("The FIve Whys")の構造を知ることで、勘所をつかんで使いこなす

このエントリ読んで激しく賛同しているんですが、途中で気になったことがあったので一筆したためてみました。

気になったのは、以下のくだりです。

たとえば、あなたがブログを作れるサービスを提供しているとして、ブログを読んでる人から「全体的に文字サイズを大きくしてほしい」といったような要望が来るとします。 

 その理由としては、5つのなぜを繰り返すと

- 文字サイズを大きくしてほしい
- (なぜそうしたいのか) 読みづらいから
- (なぜ読みづらいのか?) 文字がごちゃごちゃしているから
- (なぜごちゃごちゃしてる?) メリハリがないから
- (なぜメリハリが少ない?) 多くのブログ執筆者が見出しをつけないから
- (なぜしない?) 見出しのつけ方がわかりづらいから

といった感じになります。(追記:5回繰り返して相手に聞くんじゃなくて、自分たちの中で、深掘りしてみる感じです!)

前提として首がもげるほど賛同してます。もげそう。

でもこれ、本来だったら「なぜ読みづらいのか?」あたりまでは、"自分に聞く"って制約せずに相手(ユーザー)に聞くほうが望ましいんじゃないかな?と思ってます。まあ相手に聞くことが可能であれば、の話なんですけど。
(もしかしたら、けんすうさんもそう思ってるかもしれないけど)

なぜ、そう思ったか。その前に、"5つの「なぜ?」"を繰り返すことの意味を詳しく分解してみます。

"5つの「なぜ?」"の構造

「なぜそうしたいのか?」「なぜ読みづらいのか?」という問いは、もうちょっと丁寧に問うと「なぜ(あなたは)そうしたいのか?」「なぜ(あなたは)読みづらい(と感じている)のか?」となるはずです。つまり、最初の要望からここまでの「なぜ?」はユーザーが主観的に感じている問題を抽出するフェーズにあたります。

まあ、それ以降の「なぜごちゃごちゃしてる?」という問いも、「なぜ(あなたは)ごちゃごちゃしてる(と感じているのか)?」と読み替えられるのですが、ごちゃついた画面を整理するためのアイディアは、大抵のケースにおいてサービス開発者だけで考えられるはずです。けんすうさんのエントリでも述べられている通りで、「ユーザーはそのサービスを作るプロではない」ですしね。
つまりは、ここから先の「なぜ?」は、その"ごちゃごちゃしてる"画面がなぜそうなっているのかを考察するフェーズにあたります。問題を踏まえつつプロダクトを考察することで、解決策を模索するのです。

というわけで、5つの「なぜ?」を繰り返すことの意味を詳しく分解すると、"相手が主観的に感じている問題を抽出して、その問題を解決するために現状を考察する"という構造で考えられることがわかります。

抽出した問題(=仮説)の確度を意識しよう

さて、ぼくがなぜ一筆したためようと思ったか。それは「文字サイズを大きくしてほしい」といったユーザーの気持ちを想像することのリスクを踏まえてほしいからです。

果たして、そのユーザーは、本当に「読みづらい」と思っているから「文字サイズを大きくしてほしい」と思ってるのでしょうか?

...まあ、これはなんかそう思ってそうですね。でも、それに続く「読みづらい」と 言っていることの原因が「文字がごちゃごちゃしているから」なのかどうかは、ユーザーの主観からは離れている気がします。

要は「”抽出した問題(=仮説)がどれだけ確からしいか”を考えてますか?」というのが、ぼくが気になっていたことでした。
まあ、仮説を立てずにユーザーの声を鵜呑みにするよか全然よいのですけどね。それでも、仮説は間違っている可能性があるので、仮説を信じて作ったものが失敗することがあることを認識しなくてはいけません。

なので、この仮説を確かめるために、ユーザーに「なんで?」って聞いたりします。でも、別にこれって実装して確かめるのが早ければ実装したっていいんです。要は、その仮説をなるべく簡単に検証できる方法を考えて実践して、仮説/解決策(ソリューション)の確度を高めていくのが大事なんだと思います。

おわりに

回りくどく話しましたが、もっとも大事なことは「問題設定を誤らないようにすること」です。「ユーザーはこれを問題に思っているんだ!」と仮説を立てたけど、その問題が間違っていると、どんな解決策も的外れになりかねません。けんすうさんが述べていた、以下の言葉にある"課題の質"とはこのことです。

「課題の質」と「解決の質」の両方とも高いものでないと、真にインパクトが出る結果を生み出すことはできません。

詳しくは 書籍「イシューからはじめよ」 に書いてありますので、是非。

言ってることそんなに変わんないので焼き増しエントリ感満載ですが、もしよければご参考までに。


ご覧いただきありがとうございます。サポートの使い道は特に決まっていませんが、筆者の食事代になり、新たな「おいしいやつ」が紹介されるやもしれません。