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アライ(Ally)にならないと決めた日 -LGBTQとDiversityを考える-

はじめまして。最近会社員の傍らライターのようなお仕事(と言えるほどでも無いですが)を始めまして、これは急いで文章力を強化せねば、と言うことでnoteで練習をしていくことにしました。なにしろブログを書いたこともない、twitterも2ヶ月前に初めたばかり、Facebookは幽霊部員というインターネット原始人で、かつ高校から現在の本職までずっと理系の道を進んできてしまったので、文章を書くことに全く慣れていないのです。なぜライターをしようと思った…まあ気を取り直してやっていきましょう。

さて今回の、つまり最初のお題ですが、LGBTQとAllyについて書くことにしました。しかも少し否定的な内容です。正確に言うと僕としてはそのつもりは無いのですが、読んだ方にはそのように受け取られると思います。それで構いません。最初のネタとしてはなかなかセンシティブなお題ですが、決めた理由は主に2つあって、1つ目は、沢山の批判を頂く可能性のある内容なので、間違いなく誰にも知られていないこのタイミングで、誰にも気付かれず砂漠の一粒の砂のように埋もれていってほしいと思っていること。(一方でたくさんの人に読んでもらいたいという承認欲求もバリバリあったりします。) 2つ目は、最近社内で「なぜアライ宣言をしないのか」と聞かれることが何回かあり、このような話題においては自分の考えをしっかりまとめておかないと、相手を不用意に傷つけたり人間関係を悪化させたりすると思ったからです。

では保険をかけまくったところで本題です。まずLGBTQやDiversityについてはここでは説明しません。一言で言うと、Diversityは多様性と訳されLGBTQはその中で性自認に関する多様性です。アライ(Ally)についてはご存じない方もいると思うので少し説明すると、LGBTQの当事者では無いが、彼らに理解・共感し、寄り添い支援する人たちのことです。英語のAlliance(同盟、協調)から来ているそうです。

僕が普段務めている会社は外資系の製造業で、Diversityについてもかなり早い段階から積極的に取り組んでいました。女性の活躍推進に始まり、男性を含めた育児休暇の取得、介護休暇の普及、それに合わせた福利厚生や研修の充実など、もちろん理想からは未だ遥か遠いとしても、かなり頑張って活動していると思います。そしてLGBTQに関しては現在も多くの企業が尻込みする中で数年前から積極的に取り上げており、そのような会社の姿勢は素晴らしいですし、その一員としてできる限りのことをしたいと思っています。そんな中今年に入り、“あなたもアライ宣言をしよう!”という取り組みが始まりました。アライであることを社内のイントラで宣言し、LGBTQの人たちが活躍しやすい社会、会社にして行きましょうというものです。実際に多くの人たちが宣言をし、素敵なコメントが溢れていました。僕も当初はその輪に加わるつもりでしたが、1日考えた結果、やめることにしました。ここからその理由を書いていきます。

まず最初に言っておきたいのは、僕はこのような活動やアライ宣言をした人たちを否定する気は全くありません。これから述べるのは全て僕の凝り固まった、そして偏見に満ちた私見であり、豊かな社会にとってLGBTQの理解が広まっていく(アライが増えていく)方が良いことは間違いないであろうからです。はい、これももちろん保険です。

*ここから先はわかりやすいL(レズビアン)やG(ゲイ)の例が多いですが、実際の性自認はもっと複雑なものです。

正直、どうでもいい

そもそも僕は赤の他人の、主語の大きい話としての性的志向に興味がありません。男性が女性を好き、女性が女性を好き、男性が男性を好き、全てどうでもいいと思っています。好みなど誰もが違うもので、マイノリティーに限らず、例えば友人Aくんが好きになる女の子と僕が好きになる女の子は違います。”AくんがBちゃんを好き”に対する”僕がCちゃんを好き”の違いと、”DくんがEくんを好き”の違いは僕にとってイコールです。それぞれ好みが違う、それだけの話。わざわざLGBTQというカテゴリ分けする必要性も感じません。僕にとって興味があるのは、生身の人間として知っている個人に対して、誰が誰を好きになるとか、それぞれどういう考えや想いを持ってるとか、そういう話です。Lだから、Gだから、とか関係ない。ただしそういう話を実際聞く時には、難易度が高くて大変だろうなとはいつも感じます。やはり異性を好きになる人の方が圧倒的に多いでしょうから、LやGの人が好みの人を見つけて結ばれる可能性は必然的に相当低くなってしまうだろうと。でもそれも0か1の話ではなくて、例えば学校のアイドルを好きになってしまった場合、それは異性だろうが同性だろうが圧倒的高難度です。好きになったからと言ってその人と結ばれるわけではない。これは誰しも共通で、LGの場合は難易度が高くなりやすい、そういうお話。なんだかよく分からなくなってきましたが、何が言いたかったと言うと自分はそもそもLGBTQというカテゴリ分けに関心が無いことに気づいた、です。では次。

同性婚と通常の結婚には差があるべき

現在のLGBTQのムーブメントとして最も重要な点は、「選択の自由を勝ち取ること」であると思っています。自由意志が尊重される現代社会で、同性婚が法律で認められていないとか、まして同性愛が犯罪扱いとか、LGBTQではないですが夫婦で同姓にしないといけないとか、時代錯誤過ぎる。20世紀前半の大科学者でコンピュータの発展に大きく寄与したアラン・チューリング(イギリス)は、同性愛の罪で逮捕され、不当な扱いを受け、仕事を失い、41歳という若さで亡くなりました。彼がせめて現代のような社会に生きていたら…閉ざされた社会は未来の可能性さえ奪うのです。(彼の物語はベネディクト・カンバーバッチ主演『イミテーション・ゲーム』で映画化されました。苦しいですがめちゃくちゃ良作です!)

だから、同性婚の権利が認められるべきだという主張には100%賛同します。ただそれがもし、税制や福利厚生の面でも通常の結婚と同じ権利を与えよ、という主張だとしたら、絶対に反対します。その理由は、この社会を維持していくためには子どもが必要だから。子どもを生んで、育ててという最も重要で大変な責務を担っている人たちが誰よりも優遇されるべきだから。これは、自分たちのお金で老後の面倒はちゃんと見るから、という問題ではありません。無人島で100億円持っていようが何の意味もないように、今の社会ではまだ、次世代にバトンを引き継いでもらわなければなりません。自分より若い世代が社会を動かしてくれないと、いくらお金があっても生きていけないのです。それを認識して待遇の差を受け入れるべきです。もう少し話を広げると、今僕は独身ですが、もちろん独身も多様性の一つの形です。異性や同性のパートナーと生きるのと同じように、1人で生きていくという道を選ぶ。幸い日本は独り身に非常に優しい社会ですが、既婚者は税金や福利厚生の面で優遇されています。もちろん、僕はこの差を当たり前のこととして受け入れていますし、同性婚のカップルもそう考えるべきだと思っています。(例えば養子を取った時点で同じ扱いになるとか、そういう制度ならありだと思います) でも、異性の結婚でもいろんな理由で子ども作らない人やできない人がたくさんいるじゃん!と。仰る通り。その通りなのですが、作らないと思っていてもできることはあるし、その中で待遇に差をつけるのはあまりに管理が大変になり過ぎるので僕は気にしません。そう、思いっきり不合理です。でも合理的であることを至上とはしていないので別にいいのです。ここで言いたかったのは、同性婚ができるという選択の自由は認められるべきだけど、もし一般的な結婚と同等の権利を求めているならそれは違うでしょう。ということです。ただここで書いたことは全て僕の妄想であり、LGBTQの方が実際には何を目指しているのか僕は知りません。こんなこと思っていない、ただ認めてほしいだけだ。それだけで終わる話かもしれません。その場合はひたすら謝るしかありません。。

結局同じ穴のムジナ

次に出てくるような人は、当事者のほんの一部であろうことは理解しています。しかしこれは前段と違い、現実に、確実に存在する人たちの話です。では始めましょう。

僕の友人に世界的IT企業の日本法人で働いている人がいます。彼女は帰国子女でも無く留学経験もありませんが、その極狭な門をくぐり抜け現在のポジションを獲得しました。本当に尊敬する友人です。さて彼女のチームには、身体的には男性ですが性自認は女性、いわゆるT(トランスジェンダー)の方がいるそうです。彼(と言うべきかわかりませんが、答えを持っていないのでこう呼びます)は会社にも女性の格好で来るそうですが、それに対して周りも特に気にしていないそうです。ここまで前置き。

さてある時友人が社内でプレゼンすることになり(LGBTQは無関係)、頑張って準備して英語で発表しました。ところが、なんとか発表を終え良かったね〜ヤレヤレなんて言っていたところに、彼が友人のデスクまで来て物凄い剣幕で怒り出したそうです。曰く「今のこの時代にあんな話し方をするなんてありえない!!お前はおかしい!!」と。最初は何を怒られているのか分からず呆然したそうですが、よくよく聞いてみると、プレゼンの中で一般的な話をする際にsheやheを使っていたことが逆鱗に触れたらしく。「そこはTheyを使わなきゃダメだろ!!!」と。彼女はすごく優しい人なので、その出来事の後ものすごく落ち込んでいました。また今まで特に気にしていなかったのに彼とどうやって接していいかよく分からなくなってしまったようです。でも僕なら口には出しませんが心の中でこう言います「そういうことするから反発招くんだよバーカ!!」

僕自身はここまでの経験はありませんが、似たようなことはありました。数人でLGBTQについて話していた時にここに書いたようなことを話したのですが、終わり際に、「うまく反論できないけど、あなたの考え方は間違ってるしおかしいと思う」と言われました。

…僕は彼ら彼女らの意見を否定する気はありません。個人の思想、考え方は自由だし、他人の意見に対する反応も自由です。それに、僕の考えが古くて偏見に満ちているのも事実だと思います。ただし、異なる考え方を認めず自分の常識で相手を否定する。これってまさにあなた達が今まで社会から受けて苦しんできたことではないのですか?

「多様性が重視される時代にそれに合わせないお前はおかしい!」

「男が女の格好するなんておかしい!」

これ同じこと言ってませんか?

LGBTQに限らず僕がこういうムーブメントでたまに感じる違和感は、自分たちが正しいと思うあまり、異なる思想を排除したり自分たち側に無理やり変えようとする人たちが出てくることです。Diversityを標榜する活動が、市民権を得るに連れて正義を主張し出す。でもそれって多様性と真逆の価値観ですよね。フランス革命期の政治家ロベスピエールは王族・貴族政治の打倒を掲げて支持を得ましたが、打倒後は自らが独裁者となり最終的に処刑されました。プレイヤーが変わっただけでやってることが同じであれば、また別のポジションから反発する運動が出てきます。その連鎖を食い止めるキーワードこそ多様性だと思うのです。

僕がアライにあえてならない理由もここにあって、アライであるべきだ、という意見が社会の多数派を占めてくると、そうでは無い人たちが”間違っている”かのような空気になります。実際、友人は彼に罵倒された時「無配慮でごめん」としか言えなかったそうです。確かにLGBTQやアライの活動は時代の流れとして正しいように思える。僕も反対しません。でも何が正しいのか、間違っているかは今生きている人間にはわからない。後からこうだったかもしれないと思えるだけです。あのヒトラーだって選挙で国民から選ばれた。だから常に自戒や疑問を投げかける必要があると思うのです。「なんでコイツは自分たちに賛同しないんだろう?」砂漠の粒ほどであってもそういう存在であるために、僕はアライでは無いことを決めました。

Diversityとは

最後にDiversityとは何だろうということについて考えて終わりにします。まず僕がアライ宣言しない理由がもう一つあって、アライの理念として、LGBTQへの「理解、共感」があることです。(アライの定義も色々とあると思いますが、少なくとも僕が働いている会社での宣言書にはこの2単語が登場します) そして、僕は彼らへ「理解」も「共感」もしません。正確に言うと「実際に会話すれば理解したり共感する部分もあるかもしれないが、そんなこたあ話してみないとわからない」です。僕がするのは、LGBTQの人たちがいるという事実を認識して尊重するだけ。

僕の中の多様性の定義は、「お互い理解なんてできないということを理解して尊重する。その中で気持ちよく生きるために最大公約数を探すこと」です。プロ奢ラレヤーさんのこのツイートがまさにそんな感じ。

またRADWIMPSさんの『最大公約数』という歌がありますが、これがまさに多様性について歌ったような歌。(本来は恋愛モノです) 大学入学直後にこの曲が入ったアルバムをずっと聞いていて、もしかしたらそれが今の僕の考え方にも影響を与えているかもしれません。

“何を与えるでもなく 無理に寄りそうわけでもなく
つまりは探しにいこう 二人の最大公約数を”
“僕が君に描く想い 君が僕に抱く想い
違ったって 一つじゃなくて いいと思う
分かり合えない想いは 無理に頷くためではなく
いつかの楽しみに そう とっとこ”

理解や共感を重要視してしまうと、それが得られなかった時に「なんでこの人はわかってくれないんだろう?」という思考になってしまいます。それが時に相手を攻撃したり変えようとすることに繋がる。でもそんなの当然なのです。あなたも隣の人のことを100%理解なんてしていないし、相手もそう。自分自身のことすらわからない時も沢山ある。そういう考え方の方が気楽だし、高尚な理念など無くてもそれがDiversityの本質に一番近いと思います。では最後に、最も使い古されたであろう言葉の一つを書いて終わりにしたいと思います。それでは。

「みんな違ってみんな良い」


*Topの写真は8月にManchesterで行われた「Manchester Pride Parade」で撮ったもの。偶然旅行で出くわしたのですがCrazyでFunkyな最高の祭りでした。

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