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「盲目的な恋と友情」著:辻村深月

読書好きとは言っても、読む本のジャンルは様々だと思います。
私の場合小説は5%くらいではないでしょうか。
大体のパターンは、誰かに勧められて読み始めることが多いです。
今回の本もやはり、会社の後輩に勧められて読み始めました。
本からの出会いってとても幸せなつながりだと思います。

小説をあまり読まない自分でも、名前だけは知っていたので相当有名かもしれませんが、今自分の中で大ヒットしている作家さんです。
小説なので、中身には触れないように書いていきます。

今回は2014年5月20日に新潮社より出版された『盲目的な恋と友情』の紹介です!


①心情描写のリアル具合が半端じゃない!

小説でハマるパターンの一番は、登場人物に共感できるかどうかです。
この話は、出てくる人物に没入してしまって、精神がおかしくなってしまいそうでした。
途中、
「もうこれ以上ページめくれねぇ。。。」
というのが何回もありました。
それくらい、ストーリーとそれに乗っかる心情がリアルに描かれています。
また、ところどころ自分のしてきた経験と重なる部分があり、より没入できたのかもしれません。
物語を読むことによって、自分の過去の体験を追体験しているような気分になりました。

②世界の切り取り方が絶妙!

人間同士、本質的には理解し合えることはあり得ません。
同じ空間を共有していたとしても、理解していること、感じていることはバラバラなはずです。
哲学の有名な話に「赤いリンゴ」の話があります。
リンゴを赤いと人々はいうけれど、見えている「赤」が全く同じ赤なのかは絶対にわかりません。
人はあくまで個人の世界にだけいきているのです。
この物語の中では、それが生々しく描かれています。
「人間ってやっぱり、自分の見えている世界が全てなんだな。。。」と強く思いました。

③人の狂い方がリアルすぎる

精神的に追い込まれた時、人がどのように考えどのように決断するのかがとにかくリアルでした。
どうしても嘘くさくなってしまうのがフィクションの常ですが、この物語ではそんなことありませんでした。
特に狂気の渦中にいる人が、外側からどう見えているのかというところは惹き込まれる見所だと思います。
狂気を目の当たりにするというのはそうそう起きる出来事ではありません。
狂気に飲み込まれていく経緯含め、本当にリアルでした。
また、狂気の渦中にいる人を同じく狂気の渦中にいる人が見るとどうなるかというのも少し見えてきました。
「これが人なんや。。。」と愕然としてしまう気持ちとともに、快楽に近いゾクゾク感があります。

まとめ

とてつもなくリアルに人間関係を描いた作品です。
個人的には、めちゃくちゃ気分が落ちている時に読むと一緒に墜ちちゃうような気がします。
人に勧める時には「元気な時に読んでね!」と言いますが、自分で読むときはダウンしている時に読みたくなる本だなと感じています。(マゾかもしれませんがそんなものです)


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